FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:新変異株に対する警戒感強く上値の重い展開

米国で初の感染者が確認されるなど、引き続き新型コロナウイルスの新変異株『オミクロン株』に対する警戒感が強く、全般的に軟調に推移した。これを受けて日本株も軟調なスタートになった。NYダウ先物がしっかりとなっていることで、一時はプラスに浮上する場面があったものの、上値水準では戻り売りが出てくるため、再び押し戻される動きとなった。結局、前営業日比182円安の2万7753円と反落して終了した。11月第4週の海外投資家は2483憶円の売り越しとなり、3週連続となった。東証マザーズ指数は終値で32.22ポイントの3.04%安となり、3ヵ月半ぶりの安値となった。

 

東京外国為替市場:全般様子見ムード強く113.10円付近でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の下げ幅縮小に支えられ、113.10円付近へ下落した。低下していた米長期金利が持ち直したことで、ドルの買い戻しにつながった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、113.10円前後で取引された。明日発表される11月米雇用統計を前に、全般様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

11月の資金供給量はコロナ対応で高水準

日銀が2日発表した11月の資金供給量(マネタリーベース、平均残高)は前年同月比9.3%増の659兆円だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた経済を下支えするために日銀は大規模緩和を実施しており、資金供給量は高水準となっている。11月の平均残高の内訳は日銀の当座預金が同10.9%増の536兆6367億円、紙幣の発行高が同3.1%増の117兆3108億円、貨幣(硬貨)の流通高が同0.7%増の5兆525億円だった。当座預金の伸び率が前の月から縮小したため、マネタリーベース全体の伸び率も10月の9.9%から縮んだ。縮小は7ヵ月連続だった。マネタリーベース11月末の残高は660兆4444億円だった。

 

韓国の11月CPIは10年ぶりの伸び率で追加利上げ観測強まる

韓国統計局が2日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.7%上昇し、2011年12月以来10年ぶりの伸びとなった。前月の3.2%上昇から加速した。食品やエネルギー価格が押し上げ要因となり、中央銀行の2%目標を8ヵ月連続で上回った。インフレ圧力の高まりを受け、韓国銀行(中央銀行)が来年1月14日の政策決定会合で追加利上げを行うとの観測が強まった。

 

ビットコインはリスク回避へ抵抗力増す

代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインが底堅く推移。新型コロナウイルスの変異型『オミクロン株』の発見で世界の金融・資本市場がリスク回避に傾いたが、値下がりに抵抗力をみせている。長期投資家が暗号資産を運用対象とする傾向が定着してきたのが背景とみられる。ビットコインのドル建て価格は日本時間の2日13時時点で5万6000ドル台で推移している。11月に付けた過去最高値の6万9800ドル台を2割下回るものの、これは前月に早期の米利上げ観測の伴う米ドル高に連動して売り込まれた影響である。南アフリカでのオミクロン株発見が伝わる直前に付けていた5万8000~9000ドル程度と比べると下げは限定的だった。

 

トルコリラの為替介入は単に売り場を提供するだけ

トルコ中銀が、『為替レートの不健全な価格形成』の是正するため外貨売り市場介入を直接実施したと発表すると、リラは対ドルを中心に急騰した。対円では9.13円まで大きく上昇した。しかしながら、エルドアン大統領が『高金利政策を支持しない』意向を再び示すと、あっさりと8.40円台まで上値を切り下げた。NY午後にかけては8円半ばで方向感なく取引された。引け間際には、エルドアン大統領がエルバン財務相を更迭したとの報道が伝わっている。エルドアン大統領は『必要に応じて介入を実施できる』と述べているが、低金利への信奉を大統領が捨てない限り、為替介入はただ単にリラの売り場を提供するだけに終わってしまう。明日の11月トルコ消費者物価指数(CPI)ではインフレ加速が予想され、実質金利マイナス幅の拡大が確実視されているため、リラを売りたい向きはなかなか減りそうにない。

 

南ア国内の感染拡大がランドの重石に

昨日南ア国立伝染病研究所(NICD)によるとオミクロン株が最初に検出されたのは11月8日で、11月の南ア国内の感染はデルタ株よりもオミクロン株が中心だったことが判明した。新型コロナ遺伝子解析では74%がオミクロン株だったことが明らかになっている。また、南アでは昨日1日で8561件の新たなウイルス感染を記録するなど、オミクロン株の感染の勢いは早く、南ア国内の感染拡大がランドの重石となる。すでに専門家の中では、南アは第4波の波に入っているという声が多く、今後の南ア政府の対応も注目される。

 

3日に11月米雇用統計が公表:テーパリングが加速するか確認

先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の11月分は前月比+53.4万人と、10月+57万人から伸びが鈍化したものの予想を上回った。また、新規失業保険申請件数も減少基調が続き、季節的調整も影響したものの最新のデーダでは1969年以来の低水準を記録し、労働市場の強さがあらためて表明された。全米の製造業を示すISM製造業景況指数の雇用も53.3と、3カ月連続で上昇し4月来で最高となるなど、サプライチェーン混乱などで回復が抑制されると懸念されていた製造業の雇用も需要の強さに支えられた。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はすでに経済が強くインフレ圧力が強まっているため、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、11月に決定した軌道よりも早いペースでの資産購入縮小を進める選択肢を協議することが妥当だと方針を発表。雇用統計が良好な結果となった場合は、この軌道をより確実にする。ドルも底堅い推移を継続すると見られる。


■市場予想:失業率:4.5%(10月4.6%)非農業部門雇用者数:前月比+54.5万人(+53.1 万人)民間部門雇用者数:前月比+52.5万人(+60.4万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+5.0%(+0.4%、+4.9%)

 

欧米市場イベント

○16:30   10月スイス小売売上高
○19:00   10月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比3.5%/前年比19.0%)
○19:00   10月ユーロ圏失業率(予想:7.3%)
○21:00   7-9月期ブラジルGDP(予想:前期比横ばい/前年同期比4.3%)
○21:30   11月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.0万件/200.0万人)
○22:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○3日01:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○3日01:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合

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