FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前日までの大幅下落に対する値ごろ感買い

日経平均株価は小幅に反発してスタートしたが、間もなくマイナス圏に沈む展開になった。しかし、その後は値ごろ感が意識され持ち直し、再びプラス圏に浮上する展開になった。NYダウ先物やアジア株が総じて底堅い動きとなったことが、指数を下支えした。目先的に底打ちした可能性はあるものの、新型コロナウイルスの新たな変異株『オミクロン』は引き続き警戒された。結局、前営業日比113円高の2万7935円と4営業日ぶりに反発して終了した。信用評価損率は11月26日申し込み時点でマイナス9.66%と、前の週のマイナス8.2%からマイナス幅が1.46ポイント悪化し、悪化は5週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク回避姿勢後退で113円台前半でもみ合い

ドル/円は、前日に伝わったパウエル米FRB議長のタカ派的な発言で、FRBの早期利上げ観測が高まるなかでドル買い・円売りが先行し113.55円付近まで上昇した。日経平均株価が4日ぶりに反発し、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。しかし、新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)の感染が世界的に拡大するとの警戒感が広がっているため、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、短期筋による利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、113.40円付近へ緩んだ。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、113.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。オミクロン株に関する続報や今晩発表される米経済指標を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小幅な値動き終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ経済は強烈な通貨安が追い風:リラの魅力増に繋がらない

NY午後には、エルドアン大統領は『利下げが投資や雇用、生産、成長を後押しする』と一連の金融緩和を擁護し、『2023年の選挙前に金利は大幅に低下し、インフレ率も低下するだろう』とも述べた。トルコ最高権力者のエルドアン大統領が低金利の必要性を声高に叫び続けており、リラ/円は本日も地合いの弱さが続きそうである。昨日発表されたトルコの7-9月期GDP(前年比)は7.4%と同国経済の回復基調が確認され、米ゴールドマン・サックスも2021年成長見通しを9.5%から10.5%に上方修正した。ただし、好調に見えるトルコ経済は強烈な通貨安を追い風とした製造業などの輸出関連が中心であり、リラの魅力増にはまったく繋がっていない。

 

南アの失業率は過去最高の悪化:ランド買い材料を探すのが難しい

昨日発表された7-9月期の南ア失業率は、2008年の四半期労働力調査(QLFS)を行って以来、前期に続き過去最高となる34.9%まで悪化した。南アの半分の経済活動を閉めている、ハウテン州とクワズール・ナタール州では、7月の暴動による不安で経済活動が悪化したことも、失業率上昇の大きな要因になっている。なお、拡大失業率は44.4%から46.6%まで増加し、若年層(15-24歳)失業率も63.3%から66.5%と前期よりさらに悪化し過去最高を記録している。失業率の悪化、オミクロン株の蔓延と各国の南アへの渡航規制だけでなく、この数カ月悪化している電力負荷制限、鉄鋼組合のストライキ、与党アフリカ民族会議(ANC)の支持率低下など、南アのポジティブ要素を探すのが難しい状況である。しかも、原油価格が下がっている(南アでは通貨安でガソリン価格は上昇している)ことで、コモディティ価格の上値が重いことも、ランドには悪材料となる。

 

米サイバーマンデーのオンライン売上高は前年比マイナス:CNBC


米CNBCが報じたところによると、米サイバーマンデーのオンライン売上高は前年比1.4%減の107億ドルとなった。前年比マイナスは調査を開始した2012年以来で初めてのことである。

 

パウエル米FRB議長証言から22年下半期利上げの軌道

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は上院銀行委での証言で最近のオミクロン変異株によりサプライチェーンの混乱がさらに悪化し、労働市場の回復にも影響を与える可能性に言及した。さらに、インフレ見通しの不確実性を高めるとした。
同時に、インフレ高進が広範に及び、『リスクが高まった』と言及した。持続的なインフレ高進の脅威が拡大しつつあると警告した。また、議員の質問に、「インフレが『一過性』との文言を撤回する時期」と答え、高インフレがもはや一時的ではないと懸念を表明した。11月FOMC以降のデータもインフレの上昇が示されていると説明した。経済は強く、インフレ圧力が強まっており、数カ月早く資産購入縮小を終了することが可能だとの見解で12月のFOMCでテーパー加速の選択肢を協議する計画も明らかにした。インフレ高進の定着を防ぐために手段を用いると表明した。

テーパーペースが現行の2倍となった場合は2月に資産購入縮小終了し、3月から5月にかけて利上げの選択肢が広がる。新型コロナの新たな変異株、オミクロンの不透明感が強いが、FRBはQE縮小を来年春にも終了し、2022年下半期に利上げを開始する軌道にあることが確認された。金利先物市場では22年の2回の利上げを織り込んだ。

 

米国の回復は引き続き堅調:イエレン米財務長官

イエレン米財務長官は30日、上院銀行委員会で証言し、米国の回復は引き続き堅調だと確信しているとの見解を示した。先進国全体でインフレが進行しているとも指摘した。バイデン米大統領の看板政策の一つである1兆7500億ドル規模の気候変動・社会保障関連歳出法案『ビルド・バック・ベター(よりよき再建)』については、財政赤字や債務削減を悪化させることはないと表明した。責任を持って財源の捻出が可能だとした。また、金利が上昇した場合でも、金利負担は管理可能だと述べた。

 

米国市場では11月ISM製造業景況指数が公表:予想では61.0

10月実績は60.8だった。新規受注指数が低下した。全ての業種で原材料調達にかかる時間が過去最長となった。11月については、若干の改善が予想されるものの、供給制約が引き続き経済活動の重石となっていることから、小幅な改善にとどまる見込みである。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独小売売上高(予想:前月比1.0%/前年比▲1.7%)
○16:00   11月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○16:00   11月トルコ製造業PMI
○16:30   11月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○17:30   11月スイス製造業PMI(予想:64.2)
○17:50   11月仏製造業PMI改定値(予想:54.6)
○17:55   11月独製造業PMI改定値(予想:57.6)
○18:00   11月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:58.6)
○18:30   11月英製造業PMI改定値(予想:58.2)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:15   11月ADP全米雇用報告(予想:52.5万人)
○22:30   10月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.0%)
○23:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○23:45   11月米製造業PMI改定値(予想:59.1)
○24:00   10月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○24:00   11月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:61.0)
○24:00   パウエルFRB議長とイエレン米財務長官が米下院金融サービス委員会でコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法について証言
○2日00:30   EIA週間在庫統計
○2日00:30   11月メキシコ製造業PMI
○2日03:00   11月ブラジル貿易収支(予想:13.00億ドルの赤字)
○2日04:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○石油輸出国機構(OPEC)閣僚級会合

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