FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:モデルナのCEO発言からリスク回避売りで急落

前日の米国株高を好感したほか、自律反発狙いの買いが先行した。ただ、南アフリカで確認された新型コロナウイルスの変異株『オミクロン株』が引き続き警戒されていることもあり、買い一巡後は伸び悩み、徐々に上げ幅を縮小する展開になった。市場では『MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が定期銘柄入れ替えを行うのに伴い2000億円超の資金流出が観測されており、それを見極めたいとのムードが生じて買い手控えられている』との声が聞かれた。また、新型コロナウイルスの『オミクロン株』を巡り、モデルナの最高経営責任者(CEO)が既存のワクチンは有効性が下がると英フィナンシャル・タイムズが報じたことをきっかけに売りが膨らんだ。結局、前営業日比462円安の2万7821円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の動きが強まり円買い加速

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ113.89円付近まで上昇した。日経平均株価の上げ幅が一時400円を超えたことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、前日の海外市場でつけた高値113.96円に接近すると上げは一服した。その後は、南アフリカで発見された新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)が世界的に拡大するとの警戒感から持ち高調整などのドル売り・円買いが入り113.60円台へ下落した。本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いも観測された。午後に入ると、米製薬大手モデルナのバンセルCEOが英メディアのインタビューに応じて『オミクロン変異株に対する既存のワクチン効果は低下する可能性が高い』との見解を示した。この報道を受けて米長期金利が低下すると、ドル売り・円買いが強まり、一時113.04円付近まで下落した。日経平均株価の失速やNYダウ先物がプラス圏からマイナス圏へ沈んだことも、リスク回避の円買いに拍車をかけた。ユーロ/ドルは、米長期金利低下を眺めたドル売りが優勢になり、1.12ドル台後半から1.13ドル台前半へ切り上げた。

 

リラ売り止めるにはエルドアン大統領の口を閉ざす必要

トルコ中銀の金融政策委員会(MPC)はエルドアン大統領によって完全に支配されており、インフレ高にもかかわらず緩和策に転じた金融政策は『明らかに失敗』と市場に受け止められている。リラの価値を下落させた張本人として大統領への批判は日増しに強まっているが、その大統領は『低金利』にある意味では異常なまで固執している。昨日も『利上げを擁護したこともないし、今後も支持するつもりはない』との考えを改めて示した。このエルドアン大統領が低金利を望んでいることは以前から周知の事実であり、それ自体はサプライズではない。ただ、この夏以降の金融政策決定に対する圧力のかけ方は『中銀の独立性』を完全に無視しており、市場の不安は高まる一方である。リラの回復にはまず、大統領が金利について口を閉ざすことが必要がある。

 

南アの7-9月期の失業率に注目:失業率の悪化はランドの上値を抑える

南アでは、本日発表される経済指標では7-9月期の失業率が注目される。4-6月期の南ア失業率は前期の32.6%から34.4%へと悪化し、2008年の計測以来最悪の結果となった。若年層(15-24歳)失業率も63.2%から63.3%と過去最高を記録した。また、拡大失業率は43.2%から44.4%まで増加した。南ア準備銀行(SARB)は先週の金融政策委員会(MPC)で利上げを行ったが、これ以上の利上げの足かせとなるのが失業率の高さでもある。失業率の悪化はランドの上値の抑えとなりやすい。

 

パウエル米FRB議長の事前原稿ではややハト派スタンス

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が30日、米上院で議会証言に臨む。29日にFRBが事前に公表した冒頭発言によると、パウエル氏は新型コロナウイルスの変異型『オミクロン株』の出現が「雇用と経済活動に下振れリスクをもたらし、インフレの不確実性も高める」との見解を示した。エバコアISIは29日付のリポートで「パウエル議長は事前原稿で、ややハト派のスタンスをとった。最近の他のFRB高官のタカ派的な発言を踏まえると、パウエル議長の発言はFRBが12月に量的緩和(テーパリング)のペースを加速させることになるかどうかについて疑問を投げかけた」との見解を示した。リポートでは、「彼らが1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に決定を下す可能性があるとみられる」としつつ、パウエル氏がオミクロンに関して「サプライチェーンの混乱をさらに激化させる可能性がある」との見解を示したことに着目。次回のFOMCまでにオミクロン株のリスクのほか、11月の雇用・インフレ指標が弱ければ12月FOMCでテーパリングを加速させる決定が見送られる公算とみていた。

 

米国市場では11月CB消費者信頼感指数が公表:予想は110.0

10月実績は113.8で予想を上回った。労働市場の見通しが改善したことが上昇の要因とみられる。11月については、インフレ進行の影響がさらに強まることから、消費者信頼感はやや悪化する可能性がある。

 

欧米市場のイベント

○16:00   7-9月期トルコGDP(予想:前年比7.5%)
○16:45   7-9月期仏GDP改定値(予想:前期比3.0%)
○16:45   11月仏CPI速報値(予想:前月比0.2%/前年比2.6%)
○16:45   10月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45   10月仏消費支出(予想:前月比横ばい)
○17:00   11月スイスKOF景気先行指数(予想:109.0)
○17:55   11月独雇用統計(予想:失業率5.3%/失業者数変化▲2.50万人)
○18:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18:30   7-9月期南アフリカ失業率
○19:00   11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比4.4%)
○19:00   11月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.3%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   7-9月期インドGDP(予想:前年同期比8.4%)
○21:00   10月南アフリカ貿易収支(予想:230億ランドの黒字)
○22:00   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   9月カナダGDP(予想:前月比0.1%/前年比3.3%)
       7-9月期カナダGDP(予想:前期比3.0%)
○23:00   9月米住宅価格指数(予想:前月比1.2%)
       7-9月期米住宅価格指数
○23:00   9月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比19.3%)
○23:00   デコス・スペイン中銀総裁、議会証言
○23:45   11月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:67.0)
○24:00   11月米消費者信頼感指数(予想:110.9)
○24:00   パウエルFRB議長とイエレン米財務長官が米上院銀行委員会でコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法について証言
○1日00:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○1日03:00   クラリダFRB副議長、講演

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