FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:南アで検出された新たな変異株を警戒した売り優勢

南アフリカで検出された新型コロナウイルスの新たな変異株が警戒され、主力銘柄を中心に売りが加速した。短期筋のロスカットが活発化し、米NYダウ先物が下落したことで、投資家のマインドが悪化した。前日の米国株式市場で、26日も時短取引となることから、比較的流動性の高い東京市場にリスク回避の売りが集中したとの指摘もあった。結局、前営業日比747円安の2万8751円と、およそ1ヵ月ぶりの安値で終了した。JPXが26日発表した11月第3週(15日~19日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家は1475億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。個人投資家は1281億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。信託銀行は1310億円の買い越しとなり、買い越しは5週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いが強まり115円割れ

ドル/円は、南アで感染力の強い新種の新型コロナウイルス変異株が確認されたことからリスク回避姿勢が強まり、115円を割り込んで114.80円付近へ下落した。日経平均株価の大幅安や米長期金利が低下したことも、ドル売り・円買いを誘った。ただ、心理的節目の114.50円が視野入りすると下げは一服した。午後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、114.60円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、週末を控えた利益確定や持ち高調整のユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.1225ドル前後で小動きとなった。

 

中国の昨年の出生率は建国以来最低

中国の昨年の出生率が、1949年の建国以来最低の8.5となったことが、先週公開された国家統計局の年鑑で明らかになった。労働人口の急速な高齢化や経済成長の鈍化、人口増加の減速による人口危機が浮き彫りとなった。政府は2016年、厳格な人口抑制策『一人っ子政策』を緩和し、子どもを2人まで認めた。今年には3人まで拡大された。
しかし、物価上昇や女性の自立が進んだことで、緩和後も期待されていたようなベビーブームは起きていない。

 

問われる産油国の対応:増産停止検討も

日米中など主要消費国が石油備蓄の放出を決めたことを受け、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する『OPECプラス』の今後の対応が焦点となっている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は24日、OPECプラスの中軸を担うサウジアラビアとロシアが以前から予定している小幅増産の停止を検討していると報道した。12月2日の閣僚級会合は、石油市場の動向を大きく左右することになる。

 

UAEがトルコリラショックから脱するきっかけになる可能性も

24日のトルコUAEトップ会談での合意事項は、『投資や開発、貿易/関税管理、エネルギー分野、環境保護や健康、そして反テロリズムなど』と広範囲に及んでいる。潤沢なオイルマネーをバックにUAE主導で物事が進みそうだが、トルコがリラショックから脱するきっかけになるかもしれない。今後は『トルコ中銀がUAE金融当局と通貨スワップ協定を正式に結ぶことができるか』が注目ポイントの1つとなる。なお、カブジュオール・トルコ中銀総裁は昨日、銀行調整監視機構(BDDK)や銀行幹部との会合を開き、中銀・金融政策委員会(MPC)が決定した利下げについて説明した。会合後に総裁は、トルコの銀行部門は極めて強固であると指摘し、『銀行部門と中銀、そしてBDDKは協調している』と述べ、トルコ金融に対する不安の払しょくに努めた。ただし緩和サイクル停止についてのヒントもなく、リラの上値追いに繋がるような材料は見当らない。

 

南ア発の新たな変異株について

25日(日本時間26日早朝)に南アで新たに新型コロナウイルス・変異株が確認されたとの報道で、ランドが大幅に下落、ランドだけでなくリスク回避で円買いになるなど他通貨にも影響を及ぼした。 南アで報じられていることを抜粋すると、この変異株は南アのゲノム監視ネットワークの保健省と科学者により、昨日(25日)確認されたとされている。B.1.1.529として知られるこの変異体は、スパイクタンパク質に30を超える変異があり、人から人へと簡単に感染する可能性があるとしている。変異の数が多いことは、研究にあたった科学者は『驚きであり、いくつかはよく知られていない変異』と述べている。また、国立伝染病研究所によると、南アではこれまでに22例が検出されたと報告されている。南アで発見されたものではあるが、この変異体の起源が南アにあるかは専門家は判断ができず、発見されたことにより南アに対する差別や規制をかけられることには懸念を表している。報道によると、この変異株はボツワナと香港へ旅行をしていた人たちからも感染が確認されていることで、南アが発祥とは限らないとされている。気になるこれまでのワクチン接種による効果などでは、研究チームはまだその影響を知ることは難しく、研究中であるとしている。また、今回の新変異株発見の唯一のポジティブ要素としては、発見が早期だったことで大きな流行(波)の前に抑制ができること、PCR検査でも検出できること、としている。 

 

米国では来年3回の利上げ:ゴールドマン予想

米金融当局は来年、従来の予想よりも速いペースで金融政策を引き締めるだろうと、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストらが予想した。インフレ圧力の高まりが背景にある。ヤン・ハッチウス氏をはじめとするエコノミストは25日、顧客向けのリポートで、米金融当局は資産購入の縮小額を1月から倍増させて月300億ドルとし、6月には利上げを開始するとの見方を示した。さらに利上げは9月と12月にも行われ、2023年にも2回の利上げがあるだろうと予測。ハッチウス氏らはこれまで、来年7月と11月の利上げを見込んでいた。この新たなシナリオでは、米当局の資産購入プログラムは3月半ばに終了することになる。利上げが5月に始まり、7月と11月に追加利上げが行われる可能性も『現実的』だと、ハッチウス氏らは指摘した。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独輸入物価指数(予想:前月比2.1%/前年比19.6%)
○16:45   11月仏消費者信頼感指数(予想:98)
○17:00   7-9月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比2.0%/前年比3.2%)
○17:00   ラガルドECB総裁、講演
○17:00   ビスコ伊中銀総裁、講演
○17:30   シュナーベルECB専務理事、講演
○19:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19:30   パネッタECB専務理事、講演
○21:00   10月メキシコ貿易収支(予想:24.00億ドルの赤字)
○22:00   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○感謝祭翌日で米債券・株式・商品市場は短縮取引
○アジア欧州会議(ASEM)首脳会議(オンライン、最終日)

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