FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:手控えムード強く買い一巡後は様子見

米金融政策の早期正常化への警戒感がくすぶる一方、米新規失業保険申請件数などの指標に改善がみられるほか、利上げの影響を受けやすい不動産投資信託(REIT)が日米で堅調だとして『良い金利の上昇との受け止めになってきているのではないか』との見方が聞かれた。本日米国市場が感謝祭で休場となることもあって、朝方は値ごろ感から買われたが、一巡後は手控えムードが出で商いは膨らまなかった。前日に下げが目立った成長株や主力株への買いが目立った。結局、前営業日比196円高の2万9499円で終了した。信用評価損率は19日申し込み時点でマイナス8.2%と、前の週マイナス7.89%からマイナス幅が0.31ポイント悪化した。悪化は4週連続となった。

 

東京外国為替市場:米感謝祭を控え115.30円台でもみ合い相場

ドル/円は、高値警戒感から利食い売りなどに押され、115.31円付近まで下落した。仲値にかけて国内輸出企業のドル売り・円買いも通常より多く観測された。ただ、前日に発表された米新規失業保険件数などの指標は総じて好調で、米FRBが早期に利上げを実施するとの思惑から下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りも見られ、115.35円を挟んでもみ合いとなった。午後は手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、115.30円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。本日は感謝祭で米国市場が休場となるため、様子見ムードが強かった。ユーロ/ドルは、欧州時間に予定されている欧州中銀(ECB)当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気から、1.12ドル台前半で小幅な値動きに終始した。

 

戦略備蓄放出に対抗して産油国は増産停止するのか

サウジアラビアとロシアが原油増産の一時停止を視野に協議していることが、事情に詳しい関係者の話で明らかになった。石油価格を抑制するため、米国の主導で複数の国が協調して戦略備蓄を放出すると発表したことを受けた動きだという。関係者によると、アラブ首長国連邦(UAE)を含む他の石油輸出国機構(OPEC)加盟国は、増産停止が必要との見方を支持していない。石油やガソリンの価格高騰を受け、米国は23日、一部の国と共同で戦略石油備蓄を放出すると発表。放出量は最大7000万バレルに上る見通しで、需給バランスを崩す恐れがある。OPEC関係者によると、備蓄放出による供給拡大を相殺するため、サウジとロシアはOPECと非加盟産油国で構成する『OPECプラス』の協調増産について、一時停止を検討している。これまで方針を巡ってサウジと対立していたUAEのほか、クウェートも停止に否定的な考えを示しているという。

 

トルコとUAEがパートナーシップを深めることはリラの支援材料

トルコとアラブ首長国連邦(UAE)の中銀が通貨スワップ協定について予備的協議を始めたという報道や、UAEの事実上の指導者とされるムハンマド皇太子とエルドアン・トルコ大統領の会談への期待感もリラ買いを後押しした。UAEがトルコへの投資を支援するために『10億ドル規模のファンドを設立する計画』が伝わると、再び下値を切り上げた。 今年の夏から関係修復に動いていたトルコとUAEが、トップ会談を経て貿易/ビジネスのパートナーシップを深めようとしていることは、リラにとって今後の支援材料となる。ただし、インフレ高騰にもかかわらずエルドアン大統領が利下げを求め、トルコ中銀による緩和サイクルが続くなかでは、まだ積極的にリラの上値を追いかけるのも難しそうである。また、トルコの主要輸出先である欧州で新型コロナウイルス感染が再拡大していることも懸念材料ではある。 

 

南アの金融サイクルは5年ぶりに上向きに変わる

本日は南アからは10月の卸売物価指数(PPI)が発表される。すでに先週南ア準備銀行(SARB)が利上げを行っていることで、PPIが仮に市場予想よりも強い結果が出た場合でも更なる利上げを行うのは時期尚早で、今回の利上げの影響などを見てからの判断となる。よって、PPIでは市場が動意づくのは難しい。なお、南アは政局不安、電力不安、治安不安など様々な不安定要素が山積みだが、昨日報告された金融安定化レビューでは、金融サイクルは5年ぶりに上向きに変わったというポジティブニュースがあった。民間部門への貸付の伸び、不動産価格、株価などの変数測定値も第2四半期にプラスに転じている。

・18:30 10月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比8.0%)

 

米物価上昇が加速:PCE物価指数は31年ぶりの高水準

24日に発表された10月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比5.0%と、1990年11月以来、約31年ぶりに5%台に上昇した。変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数も4.1%上昇し、19年1月以来、約30年ぶりの高水準となった。物価上昇の背景には、原油をはじめとした商品価格の上昇や、経済活動の再開に伴う需要増に人手や部材が追いつかないことがある。石油やガソリンの価格高騰を受けバイデン米政権は23日、日本や中国など主要消費国と協調して戦略石油備蓄を放出すると発表したが、その効果については疑問視する声が多い。米経済をけん引する個人消費の回復基調は鮮明で、10月の個人消費支出は前月日で1.3%増え、3月以来の伸びとなった。個人所得も増えており、需要は今後も拡大する可能性が高い。米国の物価上昇圧力は根強く、インフレ懸念は当面続きそうである。

 

11月分の米FOMC議事要旨では想定内の結果:市場の影響は限定的

米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月2-3日会合分)を公表した。メンバーは2022年の力強い成長を予想していることが明らかになると同時に、成長リスクは下方に傾斜していると見ている。また、物価が緩和するまで長期間要する可能性があると判断。資産購入縮小ペースの加速を支持するメンバーもいた。柔軟性が必要で、もし、高インフレが持続したら、テーパーの加速や利上げを想定よりはやめることも可能だと指摘している。結果は想定内となり、相場への影響は限定的だった。

 

欧米市場イベント

○未定   11月月例経済報告
○16:00   7-9月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比1.8%/前年同期比2.5%)
○16:00   7-9月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比2.5%)
○16:00   12月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲0.5)
○17:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:10   エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○18:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○18:30   10月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比8.0%)
○21:00   7-9月期メキシコGDP確定値(予想:前期比▲0.3%/前年比4.5%)
○21:30   ECB理事会議事要旨(10月28日分)
○22:30   ラガルドECB総裁、講演
○23:05   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○26日02:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○米国(感謝祭)、休場
○アジア欧州会議(ASEM)首脳会議(オンライン、26日まで)

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