FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:NYダウ先物やアジア株が小じっかりする中もみ合い相場

前週末の米国株式市場でのNYダウの下落に加え、欧米での新型コロナウイルスの感染再拡大が嫌気され、寄り付きは反落してスタートした。その後は、NYダウ先物や上海総合指数などのアジア株が小じっかりの展開になったことを背景に下げ幅が縮小した。日本株は23日、米国は25日がそれぞれ休場となるため積極的な取引は手控えられ、日経平均はもみ合いに終始した。結局、前営業日比28円高の2万9774円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:114.10円台を中心とした狭いレンジ相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、114.21円付近まで値を上げた。日経平均株価の下げ幅縮小で、リスク回避の動きが後退したことで円売りを誘った。ただ、バイデン米大統領が感謝祭前に発表する次期米FRB議長の人事を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、114.15円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、114.10円台を中心とした狭いレンジでもみ合った。ユーロ/ドルは、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う欧州景気の減速を警戒したユーロ安・ドル高が一巡すると、1.12ドル台後半で方向感の乏しい値動きとなった。

 

前週のFXではドル買い比率が54.5%に上昇

QUICKが22日に算出した19日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は54.5%と前の週末から3.3ポイント上昇した。前週の円相場は17日に一時1ドル=114.97円と4年8ヵ月ぶりの安値を付けた後、週末にかけて反発した。そのタイミングで相場の流れに逆らう『逆張り』の個人は円売り・ドル買いに持ち高を傾けた。他の通貨ペアでも円を売って外貨を買う動きが目立った。円に対するユーロ買い比率は5.9ポイント上昇の37.3だった。欧州での新型コロナウイルスの感染拡大への警戒感からユーロは対円で2ヵ月ぶりの安値を付け、逆張り志向の個人投資家からは円売り・ユーロ買いが優勢だった。円に対するオーストラリアドル買い比率は3.8ポイント上昇の70.4%だった。

 

欧州では感染者が急増で一部の国は神津尾制限を再強化

ドイツ、オーストリア、ベネルクス諸国、中東欧諸国ではこのところ、新型コロナウイルスの感染が再び急拡大している。感染が再拡大するのはワクチン接種が遅れている中東欧諸国が多いが、アイルランド、ベルギー、オランダなどワクチンの2回接種割合が7割を超える国でも感染者が急増している。こうしたなか、オランダが全市民・全地域を対象に飲食店や小売店舗の営業時間の制限を開始したほか、ドイツやオーストリアなどではワクチン未接種者を対象に、スポーツ観戦、文化施設、飲食店の利用を制限する。今のところ行動制限の対象はワクチン未接種者が中心で、学校閉鎖、商業施設の全面休業、全面的な外出制限、都市間移動の制限など、より踏み込んだ措置を導入する国はない。冬場の感染再拡大で目先の景気拡大ペースに大幅なブレーキが掛かるとみられるが、過去の感染拡大時のようなマイナス成長に再転落する可能性は低い。

 

トルコ金融当局の介入効果も限定的 

先週半ば以降は欧州序盤にリラ買いが先行しており、トルコ金融当局によるリラ押し上げ介入が実施されていた模様である。しかしながら介入効果は限定的であり、リラの売り場を提供するのみに留まっている。自らを金利の敵と呼び、高金利を嫌うエルドアン大統領の監視の下、トルコ中銀・金融政策委員会(MPC)は『(インフレ高にもかかわらず金利引き下げという)危険な金融政策の実験』を続けねばならず、リラの買いづらさは解消されそうにない。ポジティブな材料は少ないが、先週末にかけて原油価格が大幅に下落したことや、米長期金利の上昇が一服したこと等はリラ支持に繋がる可能性はある。また、リラ安に伴いトルコ輸出額も伸びており、くわえて観光業界も徐々に活気を取り戻しつつある。しかしながら、トルコと経済的に結びつきが強いユーロ圏で新型コロナウイルス感染の状況が悪化していることは、今後の懸念材料となる。

 

南アランドの重石は電力供給の回復にめどがたたないことが要因

先週、南ア準備銀行(SARB)は3年ぶりに3.50%から3.75%へ利上げを実施した。SARB金融政策委員会(MPC)の前日に発表された南アの10月消費者物価指数(CPI)は、10月の燃料価格が9月と比較すると23%も高騰していたにも関わらず、CPI構成の28カテゴリーの中で、SARBの目標上限(6%)を上回ったのは、食品・民間輸送・電気の3カテゴリーのみだった。このことで、政策金利を据え置き予想に傾いたエコノミストも多くいたが、食品価格や燃料価格の今後の高騰懸念もあり、SARBは利上げに踏み切った。利上げにもかかわらず、市場では利上げにもかかわらずランド買いの反応は鈍く、ランド相場は上値が重い。売り要因としては、特に電力の負荷制限が今週も拡大するなど、電力供給の回復にめどが立ってないことがあげらる。

 

メキシコ中銀副総裁がインフレ懸念

メキシコ国内の話題としては、メキシコ銀行(中央銀行)のヒース副総裁が11月のインフレ率が前年比で7%を超える可能性があると懸念を示した。年末の時点でも7%台を維持する見通しだとしており、ヒース副総裁は『極めて深刻な問題』と指摘した。今後の金融政策の行方にも注目が集まりそうである。

 

24日発表されるFOMC議事要旨ではテーパリングの増額と減額の条件確認

11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、11月と12月のテーパリング(資産購入の段階的縮小)の金額が米国債100億ドル、住宅ローン担保証券50億ドルの合計150億ドルと決定されたものの、来年1月からは『経済見通しの変化により正当化される場合は購入ペースを調整する用意がある』と決定された。24日に発表されるFOMC議事要旨では、テーパリング金額の増額や減額に関する条件を見極めることになる。タカ派のブラード米セントルイス連銀総裁は、テーパリングのペースを毎月150億ドルから300億ドルに加速させ、完了時期を来年6月から3月に前倒しすることで早期の利上げ開始を可能にする案を主張している。10月のインフレ率が上昇していた場合、この主張が現実味を帯びることになり、ドル買い要因となる。また、インフレ高進の背景にある原油価格の動向にも注意したい。

 

欧米市場イベント

○17:30   10月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.9%)
○23:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○24:00   10月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲1.4%/年率換算620万件)
○24:00   11月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲5.5)
○23日01:30   米財務省、2年債入札
○23日02:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23日02:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○23日03:00   米財務省、5年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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