FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:NYダウ先物の上昇が支援材料

前日の米国株式市場でナスダック総合が最高値更新となった流れを引き継ぎ、東京市場でも半導体関連を中心としたハイテク株が買い優勢となった。NYダウ先物の上昇が支援材料となったものの、物色に広がりが見えずに上値は限定的だった。結局、前日比146円高の2万9745円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇でドルは底堅い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、114.40円付近へじり高となった。日経平均株価の反発で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、前日の海外市場でつけた114.48円が上値の目処として意識されると上げは一服した。午後は、日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら、114.30円台を中心とした狭いレンジで取引された。バイデン米大統領が来週の感謝祭までに発表する次期米FRB議長の人事を見極めたいとムードが広がった。ユーロ/ドルは、米長期金利上昇を手掛かりとしたユーロ売り・ドル買いが一巡すると1.1355ドル前後でこう着した。

 

★恒大集団のデフォルトの可能性依然高い:格付け会社S&P

格付け会社S&Pグローバル・レーティングは18日、中国の不動産開発大手、中国恒大集団がデフォルト(債務不履行)する可能性が依然高いと指摘した。来年3月と4月に総額35億ドルのドル建て債が償還を迎えるためである。S&Pグローバルはリポートで『(恒大は)新築住宅を販売する能力を失っている。主要事業モデルが事実上破綻したことになるため、債務を完全に返済する可能性は低い』との見方を示した。

 

トルコではマイナス金利拡大でリラ下落

トルコ中銀・金融政策委員会(MPC)は市場予想通りに政策金利を16.00%から15.00%に引き下げた。声明では来月会合で利下げ終了を検討するとしたが、金利引き下げの効果が見え始めたとし、緩和スタンスの継続は示唆した。市場は再びリラ売りに走り、心理的節目10円を睨む位置まで下値を広げた。カブジュオール・トルコ中銀総裁が率いるMPCは9月以降で400ベーシスポイントの利下げを実行した。同総裁が政策決定で重要視すると言い始めたコアインフレ率(10月は16.82%)さえも政策金利は下回っている。来月に緩和打ち止めが検討されるようだが、実質金利がマイナスのままは当面変わらない。通貨危機と言えるこの状況をトルコ当局が見過ごすようであればリラ/円は、2020年11月安値から21年2月高値までの下方倍返し水準となる8.78円が現実味を帯びてきそうである。

 

南ア中銀は3年ぶりに政策金利引き上げを決定

南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会でで政策金利を3年ぶりとなる政策金利引き上げ(3.50%から3.75%)を決定した。MPC前後のクガニャゴSARB総裁の会見では『世界の生産者価格と食料価格の高騰は予想以上で、更に上昇する可能性もある』『石油価格の上昇もSARBの想定をはるかに超えている』と発表した。また、今年のインフレ予想を4.4%から4.5%に上方修正(コアインフレは3%に据え置き)した。総裁はインフレのリスクは上サイドで、政策金利は指標に今後も基づいて決定されるとも述べている。なお、今回は3人が引き上げを支持、2人が据え置きを支持、とMPCの投票も拮抗したものになった。 なお、(発表を見送りとする場合もありますが)本日は格付け会社のムーディーズ社とS&P社が南ア債の格付け見直しを発表する予定である。ただし、通常はNYクローズ間際に発表されることで市場が反応するのは難しい。

 

メキシコの信用格付けは据え置き:フィッチ・レーティング

格付け会社フィッチ・レーティングスがメキシコの信用格付けを公表した。格付けを『BBB-』、見通しを『安定的』でともに据え置いた。ただ、フィッチは『メキシコの電力市場改革案が可決された場合、電力部門への過少投資につながると予想される』と言及した。ロペスオブラドール政権が推し進めている電力国有化に向けた憲法改正への動きに釘を刺すことも忘れなかった。また、メキシコの電力市場改革については本日開催される北米3カ国首脳会談でも注目が集まる。2016年以来となる北米3カ国首脳会談は今回米ワシントンで開催する。バイデン米大統領とカナダのトルドー首相、ロペスオブラドール大統領も出席する。

 

各国中銀の金融スタンスと通貨動向

バイデン大統領が果たしてパウエル議長を再任するかどうかにも注目が集まっている。万が一、民主党のブレイナード理事が次期議長に指名された場合、利上げが遅れる可能性が指摘されている。一方で、欧州中央銀行(ECB)は現在の高インフレが一時的で、来年には鈍化するとの見解を維持。ラガルド総裁やシュナーベル専務理事が来年に利上げの条件を達するのは困難との見通しを示し、金利先物市場では利上げ開始を2023年に先送りした。引き続きユーロ売り圧力となると見る。
新興市場ではトルコ中銀が3カ月連続で利下げに踏み切り、トルコリラ売りが加速した。連日で史上最高値を更新している。南ア中銀は利上げを決定も今後の利上げは段階的になると慎重な利上げで、ランド売りに繋がっている。

 

米国では10月下旬を底に増える米コロナ感染

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、9月以降、減少傾向にあった米国の新規感染者数(7日移動平均)は10月下旬の約7万人を底に増加に転じ、11月16日時点で約8.5万人に達した。ワクチン接種の進展で現段階では重症者や死者数は抑えられているが、米疾病対策センター(CDC)データでは新たに入院する患者数が増え始め、感染が一段と広がれば医療体制に重圧がかかる恐れがあり、クリスマスシーズンを前に警戒が高まっている。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比1.9%)
○16:00   10月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.5%/前年比▲2.0%)
○16:00   10月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.6%/前年比▲3.1%)
○16:00   7-9月期ノルウェー国内総生産(GDP、予想:前期比3.3%)
○17:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:00   9月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○21:00   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○22:30   9月カナダ小売売上高(予想:前月比▲1.7%/自動車を除く前月比▲1.0%)
○20日00:45   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○20日02:15   クラリダFRB副議長、講演
○インド(シーク教ナナック生誕日)、休場

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