FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:経済対策が買い材料視されたが上値の重い展開

国内での手掛かり材料に乏しい中、前日の米国株式市場の下落やアジア株安、外為市場での円安一服など外部環境の悪化が重石となり、下げ幅が拡大した。市場では、米国株よりアジア株の動きが気がかり。来年、北京冬季オリンピックの開幕を控える中、中国では経済活動の制限など厳戒態勢を強mる可能性が高まっており、株価下押し懸念が強まっているとの声が聞かれた。しかし、政府が19日に閣議決定する経済対策の規模が財政支出ベースで55.7兆円程度となったと報じられると、経済対策を材料視した買いが集まり一時はプラス圏に回復したが、引けにかけては売られた。結局、前営業日比89円安の2万9598円と続落して終了した。11月第2週(8日~12日)の海外投資家は372億円の売り越しとなり、売り越しは2週ぶりになった。個人投資家は541億円売り越し、売り越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:日本株の持ち直しとともにドル買い戻し

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大やアジア株安を眺めたリスク回避のドル売り・円買いが入り、113.88円付近まで下落した。原油先物価格の下落を眺めた資源国通貨安・円高が波及した面もあった。ただ、15日につけた113.75円が下値目処として意識されると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、114.10円付近まで切り返した。午後に入ると、『岸田内閣が19日に閣議決定する経済対策の規模が、財政支出ベースで55.7兆円程度となったことが分かった』と報じた。事前予想より規模が大きく、この報道を好感して日経平均株価が急速に持ち直すと、ドル/円は短期筋などからショートカバーが入り、一時114.26円付近まで上昇した。ただ、上値を追う動きは限られ、持高調整などのドル売り・円買いも見られ、114.20円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

10月世界での決済シェアはドル低下でユーロ上昇

SWIFT(国際銀行間通信協会)10月の決済シェアを発表した。
米ドル 39.16%(9月は39.45%)
ユーロ 38.07%(同37.90%)
英ポンド 6.41%(同6.06%)
日本円  2.90%(同2.84%)
人民元  1.85%(同2.19%)
加ドル  1.66%(同1.70%)
スイス・フラン 0.66%(同0.66%)
豪ドル  1.42%(同1.30%)

 

中国恒大集団傘下の『房車宝』は解散状態か

債務問題に揺れる中国恒大集団傘下の不動産と自動車の取引プラットフォーム『房車宝』について、資金や業務の縮小を受け、すでに多くの地域でわずかな人員を残して解散状態にある。『香港01』が17日、中国本土メディアを引用して伝えた。 『房車宝』のアプリは今月初めに情報が更新された後、更新が止まっている。中国恒大集団の許家印会長は以前、『房車宝』を年内にも分離上場させる計画を明らかにしており、今年3月には複数の戦略投資家から163億HKドル超を調達していた。

 

トルコ中銀の利下げ幅に注意:資本流出に拍車がかかる可能性も

トルコ中央銀行金融政策決定会合では、政策金利が15.00%に引き下げられると予想されている。しかし、エルドアン・トルコ大統領が昨日の議会での演説で『金利を擁護する人たちと同じ道をたどることはできない。市民から金利の重荷を取り除く』と表明し、金利は物価上昇のブレーキではなく、インフレを引き起こす原因になるとの持論『エルドアノミクス』をあらためて主張しており、利下げ幅が予想を上回る可能性に要警戒となる。カブジュオール・トルコ中銀総裁は、9月に政策金利を19%から18%へ、10月には16%まで引き下げて、中銀の独立性を放棄している。本日の利下げが15%ではなく、10月のように2%引き下げて14%になれば、トルコ中銀の独立性は完全になくなり、トルコからの資本流出に拍車がかかり、ドル高・トルコリラ安の進行は、トルコの外貨建て債務拡大、すなわち、トルコのデフォルト(債務不履行)懸念が高まることになる。

 

南ア中銀が利上げすれば市場は反応

昨日発表された10月の南ア消費者物価指数(CPI)は前年比、前月比とも市場予想通りの結果となった。南ア統計局が発表した10月の南アの燃料価格は、9月と比較すると23%も高騰していたこともあり、CPIの予想を上方修正するエコノミストもいた。しかし、結果は予想の上方修正前の数値と変わらず、ある程度はインフレを抑えることが出来たとの声が出ていた。今回のCPIを受けて本日の南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)では、若干ながら据え置き予想が増えている。28のインフレカテゴリーの中で、SARBの目標上限(6%)を上回ったのは、食品・民間輸送・電気の3カテゴリーのみとなっていた。10月は通信費が昨年より13%低下したことや、食品価格などの上昇が落ち着いたことがインフレ抑制要因となっている。CPIの結果を見ると、主に燃料価格の上昇による短期的な要因がインフレを引き起こしているとも考えられる。よって上述のように一部では今回のMPCは利上げから据え置きに予想を変更し、利上げは来年初頭になるとしているエコノミストも増えている。いまだに予想は拮抗しているが、以上のことを考えるとランドがMPCで大きく反応するのは利上げの方(ランド買い)ではないかと思われる。

【今日の予定】

南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:3.50%で据え置きと3.75%に引き上げで拮抗)

 

2016年以来の北米3カ国首脳会談を予定

18日に北米3カ国(米国・カナダ・メキシコ)首脳会談も予定されている。北米3カ国首脳会談は2016年以来となり、今回は米ワシントンで開催する。バイデン米大統領とカナダのトルドー首相、基本的に外遊することはないロペスオブラドール大統領も出席する。ロペスオブラドール大統領は15日、『首脳会談では北米地域の経済的統合、移民問題、新型コロナウイルスなどが議題になる』と発言した。自身が推し進めているメキシコの電力市場改革については議論するつもりはないと繰り返した。もっとも、議題の一つが北米地域の経済的統合である以上、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に抵触すると非難を浴びているメキシコの電力市場改革が話題に上ることは避けられない。ロペスオブラドール大統領は電力市場改革(電力国有化に向けた憲法改正案)について『必要であれば説明する』としているが、バイデン米大統領を納得させることができるか注目される。

 

為替市場では欧米中銀の金融政策の行方を探る展開

本日は連邦準備制度理事会(FRB)高官のイベントなどでの発言に注目が集まる。
パンデミックからの回復に伴い、いくつかの先進諸国は金融緩和解消を開始している。連邦準備制度理事会(FRB)も今月から量的緩和(QE)縮小を開始、来年中旬にも終了する計画を発表した。労働市場の最大雇用達成は不透明で、利上げは依然まだ先との見方である。しかし、サプライチェーン混乱が2022年まで継続、エネルギー価格の上昇などにより高インフレも想定以上に長期化する可能性がでてきた。ブラード・セントルイス連銀総裁はコアCPIが高く、テーパリングペースを加速し、速めに終了する必要があると主張した。そして市場の来年2回の利上げ予想に同意すると表明した。さらに、利上げ以外でもQE縮小終了前の利上げなどを提案している。米国の消費も順調で、緩和解消ペースの加速を正当化するとの見方にドル買いが先行している。
一方、欧州中央銀行(ECB)は依然ハト派姿勢を維持しておりユーロの売り圧力となっている。シュナーベル専務理事は2022年にインフレが明白に鈍化していくとの見解で、2022年に利上げの条件達成する可能性は非常に少ないと言及した。デギンドスECB副総裁も個人的な見解で2022年の利上げを予想していないとした。

 

欧米市場イベント

○16:30   7-9月期スイス鉱工業生産(予想:前年同期比9.8%)
○18:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:15.00%に引き下げ)
○22:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○22:30   9月対カナダ証券投資
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:26.0万件/212.0万人)
○22:30   11月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:24.0)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:3.50%で据え置きと3.75%に引き上げで拮抗)
○23:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:30   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○24:00   10月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.8%)
○19日04:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○19日05:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
〇米、カナダ、メキシコの北米3カ国首脳会談(ワシントン)

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