FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:3万円の節目が上値の重石

日本株は朝方は売り優勢で始まりしばらくもみ合った後、堅調な動きとなった。取引時間中に始まったバイデン米大統領と中国の習近平国家主席のオンライン米中首脳会談を見極めたいとのムードがあったものの、関連したヘッドラインを材料視する様子見は見られなかった。一時的に買い戻しが活発になったほか、好決算銘柄が引き続き物色され、前場中盤からは日経平均は前日比プラスで推移した。反面、3万円の節目に接近すると利益確定目的の売りが出て、上値を抑えた。結局、前営業日比31円高の2万9808円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米中衝突回避に向けての歩みよりからリスク選好の円売り

ドル/円は、最近発表されている米経済指標の強い数字で、米FRBの利上げ時期が前倒しされるとの観測からドル買い・円売りが先行し114.31円付近まで上昇した。米中首脳会談がオンライン形式で行われ、衝突回避に向けて双方で歩みよる姿勢が見られたことも、リスク選好の円売りを誘った。ただ、1日につけた114.44円が上値の目処として意識されると上げは一服した。その後は、短期筋による利食い売りなどに114.15円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、114.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩予定されている10月米小売売上高や米FRB当局者の講演を前に、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、このところECB当局者によるハト派的な発言が相次ぎ、欧米金融政策スタンスの違いが意識されているため、1.13ドル台行はで上値の重い展開となった。

 

GPIFのリバランスの影響でこう着感が強まる

短期動向として注目が集まっているのは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のリバランスである。GPIFの宮園理事長が10日、P&Iグローバル・ペンション・シンポジウム2021の場でリバランスを『極めて頻繁に行っている』と述べた。これまで月末にドカンと行っていたオペレーションから、今では月中にもリバランスを実施しているものとみられる。10月第1週の投資部門売買状況をみると、信託銀行は日本株を2181億円(現物株)買い越していた。買い越し額は5月下旬以降の大きさとなり、目立つ規模に膨らんんだ。3万円近辺まで上昇した9月下旬、GPIFは9月末の配当落ち分に対する再投資を見送ることで、ウエイトを調整したとみられる。海外株高が実現しない限り、日本株はGPIFの頻繁に行うリバランスの影響でこう着感を強めるとも言える。

 

自社株買いが市場の需給を改善

日銀は今期に4656億円相当のETFを買い入れた(受け渡しベース)ものの、前期実績の6兆1607億円から激減している。日本株がバブル崩壊後の戻り高値を9月に更新するなど、相場が堅調に推移していることも背景にある。代わりに企業の自社株買いが市場の需給を改善させている。日銀は保有株をいずれは手放さざるを得ないのに対し、企業が保有株を消却すれば需給は一段と改善する。

 

機関投資家が7週ぶりに米国株を買い越し:BofAセキュリティーズ

16日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は8~12日の1週間に米国株を33億6100万ドル買い越した。2週連続の大幅買い越しとなる。この週は市場予想を上回る米消費者物価指数(CPI)を受けてインフレ懸念が高まる中、S&P500指数が0.31%安となって6週ぶりに下げて上昇基調が一服した時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が11億1600万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越しとなった。機関投資家は33億600万ドルの大幅買い越しで、7週ぶりに買い越しに転じた。個人投資家は13億3700万ドルの売り越しで、3週連続の売り越しとなった。企業の自社株買いは25億700万ドルで、4週移動平均(20億4000万ドル)を上回って活況だった。傾向としては節税対策のいわゆる『タックス・ロス・セリング』(TLC)の19月31日の期限が終わってようやく機関投資家が買い越しに転じたほか、企業の自社株買いが下げ相場で大きく入った。11月は個人投資家の背何時勢対策の売りが予想される反面、企業の自社株買いは短期的に引き続き増加する可能性がある。

 

トルコリラ安で国内の生活水準にも打撃:2023年の総選挙にも影響

インフレ高騰にもかかわらず、トルコ中銀は今週18日会合で追加利下げを実施すると見られており、これが依然としてトルコリラの重石となっている。ただ、スペインの大手銀行がトルコの銀行の買収を進めている(総額で最大約22.5億ユーロ)との報道がリラ買い戻しを促した。もっともニューヨーク勢が参入すると再び軟調な地合いとなり、再び史上最安値を更新した。リラが価値を大きく減少させたことはトルコ国内の生活水準にも打撃を与え、一人当たりのGDPは2007年のレベルまで落ち込んだ。当然ながらエルドアン政権の人気は大きく低下しており、2023年に予定されている総選挙は混戦模様との見方が増えている。今後は、政府や与党・公正発展党(AKP)がどのような経済テコ入れ策を出してくるのか、はたして出せるのかが注目される。 

 

欧州市場では7-9月期域内総生産改定値:予想は前年同期比+3.7%

速報値は前年同期比+3.7%だった。フランスとイタリアが市場予想を上回る成長を記録した。改定値では個人消費が上方修正があるが、成長率は速報値と同水準となる可能性が高い。

 

南アランドは明日以降のイベント控え方向感を欠く展開

17日には、市場が注目する10月の南ア消費者物価指数(CPI)と9月小売売上高が発表される。この両指標と、その翌日18日の南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)の結果を見ない限りは、市場は一方向にポジションを傾けるのは難しい。上述のように、SARBの政策金利の予想では、直近の市場調査は利上げが55%、据え置きが45%となり、利上げ予想が若干ながら優勢となっている。前日のCPIで更に予想が変わる可能性もあることで、この数日は目が離せない動きになりそうである。

 

米国市場では10月小売売上高が公表:予想は前月比+1.0%

9月実績は前月比+0.7%で市場予想を上回った。自動車、ガソリン、建設資材、外食を除くコア小売売上高は+0.8%だった。衣料品の売上高も増加した。10月については、自動車、ガソリン、外食などの売上高が増加する可能性があるため、9月に続いて前月比プラスとなる可能性が高い。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00   7-9月英失業率(ILO方式、予想:4.4%)
○16:45   10月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比2.6%)
○19:00   7-9月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値(予想:前期比2.2%/前年比3.7%)
○22:15   10月カナダ住宅着工件数(予想:25.50万件)
○22:30   10月米小売売上高(予想:前月比1.2%/自動車を除く前月比1.0%)
○22:30   10月米輸入物価指数(予想:前月比1.0%)
○23:15   10月米鉱工業生産(予想:前月比0.7%)
         設備稼働率(予想:75.8%)
○24:00   11月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:80)
○24:00   9月米企業在庫(予想:前月比0.6%)
○17日01:10   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17日02:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、ジョージ米カンザスシティ連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○17日05:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○17日06:00   9月対米証券投資動向

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