FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:3万円に近い水準では戻り売りで上値の重い展開

前週末の米国株式市場が上昇したことが好感されたほか、国内企業の好決算が注目sれ好地合いが持続した。市場予想を下回った国内7-9月期GDPは材料視されなかったが、日経平均が3万円に近い水準では戻り売りの壁として意識され、中盤からは伸び悩む展開になった。ただ、ハイテク株や自動車株の上昇が目立ち、日経平均の上げ幅は一時250円を超えた。結局、前営業日比166円高の2万9776円と3日続伸した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下と日本株の上値重さを意識した売り

ドル/円は、米長期金利低下や日経平均株価の上げ幅縮小を眺めたドル売り・円買いが入り、113.76円付近まで下落した。12日に発表された11月ミシガン大学消費者態度指数が予想外に低調な数字だったことも、ドルの重石となった。しかし、明日の午前中に予定されている米中首脳会談の内容を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、113.90円付近へ持ち直した。午後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、113.80円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、米長期金利の低下を手掛かりとしたユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.14ドル台半ばで方向感を欠く展開になった。

 

前週のFX概況はドル買いは低下してユーロ買いが上昇

QUICKが算出した12日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末に比べ6.3ポイント低い51.2%だった。前週は米国にインフレ圧力の高さから早期利上げが意識されて一時、1ドル=114円台前半まで円安・ドル高が進んだ。このタイミングで相場に逆らう『逆張り』の個人投資家が円売り・ドル買いの持ち高を減らした。一方、円に対するユーロ買いの比率は前の週に比べ2.9ポイント高い31.4%だった。欧州での新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念からユーロの対円相場が1ユーロ=130円台前半と約1ヵ月ぶりの安値を付け、逆張り志向の個人からユーロ買いが入った。

 

18日のトルコ中銀金融政策会合への思惑

市場では、中銀・金融政策委員会(MPC)が『政策金利を現行16%から15%に引き下げ』を決定するとの見方が大勢である。今後は、インフレ高にもかかわらず金融緩和に突き進むという、独コメルツ銀行が言うところの『危険な金融政策の実験』がいつまで続くのかが焦点となる。専門家の間では、緩和サイクルは11月で一旦打ち止めと、12月にも同程度の利下げに踏み切るとの見方でまだ分かれている。

 

南アの10月消費者物価指数の結果次第では利上げ期待高まる可能性

最大の注目は18日の南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)だが、MPCを前に17日に10月消費者物価指数(CPI)と9月小売売上高が発表される。CPIはこの5カ月連続で、SARBの目標中心値(4.5%)を上回っている。10月も原油価格や南アのガソリン価格が高騰していることで、更なるCPI上昇の可能性もありそう。仮に大幅に上昇した場合は、高失業率の状況ではあるが、クガニャゴSARB総裁がインフレには利上げで対処することを言明していることから、市場の利上げ期待が高まるかもしれない。また。小売売上高は2カ月連続で前年比マイナスとなっている。前年が新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいたのにもかかわらず、小売りが伸びていないことを考えると、インフレ下の景気後退でスタグフレーションに陥ることが現実味を帯びてきそうである。なお、週末19日には格付け会社のムーディーズ社とスタンダード&プアーズ社が南ア債の格付けを発表する予定である。

 

メキシコは他の中南米諸国と比べると利上げのペースが遅い

今後について注意しておきたいのがメキシコ銀行(中央銀行)の金融政策である。先週に中銀は5.00%への金利引き上げを決めたものの、中銀が公表した中長期的なインフレ見通しからは足もとのインフレは一時的であるとの見方が示された。市場ではメキシコ中銀は今後6.00%まで政策金利を引き上げるだろうとの見方もあるが、他の中南米諸国と比較すると利上げペースが遅い(利上げペースを加速させることに慎重)とみられている。さらにディアスデレオン総裁は年末に任期満了を迎え、年明けからはエレラ財務公債相の就任が決まっている。エレラ氏は緩和的な金融政策を志向するロペスオブラドール大統領の側近ということもあり、来年以降は中銀の姿勢がよりハト派へと傾くことも予想され、金利先高観という点においてメキシコは見劣りする可能性もある。

 

バイデン米大統領の支持率は就任後最低:WポストとABC調査

バイデン米大統領の支持率が41%と、就任後最も低くなった。不支持率は53%だった。米紙ワシントン・ポストとABCニュースの世論調査で明らかになった。民主党支持者と無党派層の間で否定的な見方が強まったことが主な理由になった。調査結果によれば、大統領の支持率は6月時点の50%、9月の44%から低下した。ただ統計的には2カ月前と違いはないとしている。

 

11月25日までに次期FRB議長の人選を公表:バイデン米大統領

バイデン米大統領は、11月25日の『感謝祭』までに次期FRB議長の人選を公表すると示唆しているが、パウエルFRB議長は、投資信託の売却を巡る問題から、上院での承認が難しい状況に変わりはない。ハト派の急先鋒であるブレイナードFRB理事が指名された場合、タカ派のFRB副議長も一新されることが予想されるため、利上げ時期が先送りされる可能性が出てくることに注意したい。ただ、金融政策はハト派を維持するとしても、銀行規制ではタカ派政策を採り、マクロプルーデンス政策を強化するのではないかと予想されている。来週発表予定の米国10月の小売売上高や景気先行指数では、インフレ率が31年ぶりの高水準まで上昇していることもあり、ネガティブサプライズに要警戒となる。

 

米国の今週の注目イベント

今週は米国では10月小売売上高や住宅、製造業関連指標に注目が集まる。特に小売売上高で経済の7割を占める消費動向を確認していく。小売売上高は3カ月連続の増加で、伸びは9月から拡大する見込みである。サプライチェーン混乱が持続する中、新型コロナウイルスの変異株感染が一段落し、累積需要などに消費の強い回復が期待されている。また、供給不足を警戒し、年末商戦が前倒しで開始されていることが報告されており、ポジティブサプライズの可能性もある。住宅着工件数・建設許可件数は改善が予想されているが、コスト上昇が伸びを抑制しネガティブサプライズの可能性も除外できない。

 

欧米市場イベント

○17:30   10月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比横ばい/前年比2.7%)
        コア指数(予想:前月比横ばい/前年比3.0%)
18:30   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○19:00   9月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済115億ユーロの黒字)
○19:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、欧州議会に参加
○22:30   9月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲3.1%)
○22:30   9月カナダ卸売売上高(予想:前月比1.1%)
○22:30   11月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:22.0)
○23:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、ピル英中銀MPC委員、サンダース英MPC委員、議会証言
○16日00:45   デギンドスECB副総裁、講演
○米中首脳会談(オンライン形式)
○ブラジル(共和制宣言記念日)、メキシコ(革命記念日)、休場

 

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