FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:アジア株が軒並み下落したことが重石

前日の米国株安が嫌気されたほか、NYダウ先物の軟化や香港ハンセン指数、上海総合指数などのアジア株が軒並み下落したことも重石となった。また、今晩発表される米消費者物価指数(CPI)を見極めたいという見送りムードも強まった。結局、前営業日比178円安の2万9106円と4日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:112.70円台ではドルの押し目買いで戻り

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、112.90円前後でもみ合いあった。本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。午後になると、日経平均株価の下げ幅拡大がリスク回避のドル売り・円買いを誘い、112.78円付近まで下落した。しかし、前日につけた約1ヵ月ぶりの安値112.73円に接近すると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、112.80円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩の10月米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて、様子見ムードが強まった。ユーロ/ドルは、1.15ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

本邦ファンドはオーストラリア債券から撤退

日本のファンドは4-9月にオーストラリア債の売り越しに転じた。10月の一斉売りによる損失を回避したことになる。9日に発表された財務省のデータによると、日本のファンドは2021年度(21年4月-22年3月)上期に豪州債の保有を3511億円減らした。半期での売り越しは18年10月-19年3月以来だった。日本のファンドは上期に豪州債を売り越したが、米国債は5兆2000億円の買い越した。また、カナダとイタリア、オランダ国債の保有も増やした。

 

中国の卸売物価指数(PPI)は過去最大の伸び

中国国家統計局が10日発表した中国の10月卸売物価指数(PPI)は前年同月比13.5%上昇した。上昇率は統計をさかのぼれる1996年10月以来で最大となった。9月の10.7%から伸びは拡大した。同時に発表した中国の10月消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.5%上昇した。上昇率は9月の0.7%から拡大し、市場予想の1.4%上昇を上回った。20年9月の1.7%上昇以来1年1ヵ月ぶりの高い伸びとなった。

 

中国恒大集団の最大の正念場

中国恒大集団は3本のドル建て債のクーポン1億4810万ドル(約170億円)を期日に支払わず、デフォルト(債務不履行)宣言されるまでの30日間の猶予期間が10日に終了する。中国の信用市場ストレスは投資不適格(ジャンク)級の不動産開発会社以外にも広がり、投資適格のドル建て債も数カ月で最悪の売りを浴びた。大手不動産会社と経済全体への影響について、投資家は懸念を深めている。中国恒大が支払いをしないとは限らないものの、支払いができない場合は同社の192億ドルのドル建て債でクロスデフォルト条項が発動され債権者は一段の交渉材料を得る可能性がある。

 

トルコ中銀の利下げ打ち止めならリラは下げ渋る可能性も

トルコリラ売り・外貨買いの抑制を狙い、トルコ中銀は市中銀行の外貨預金準備率を200ベーシスポイント引き上げた。しかしながら、同じような規制を実施した7月や9月と同様に効果は薄く、地合いの弱さ解消には程遠い状況である。投資家のトルコ金融政策に対する不安が拭えるまでは、リラ買いが盛り上がることはないかもしれない。ただもし、来週の金融政策委員会(MPC)で利下げ打ち止めが確認されるようであれば、実質金利マイナス幅拡大への懸念が薄まり、リラの下げ渋りに繋がる可能性はある。

 

南アではプラチナ生産会社の買収が活発

最近はプラチナ価格の動きに敏感になっているランドだが、南アではプラチナ生産会社の買収なども活発になっている。昨日はノーサムプラチナム社がRBプラット社の買収を決定するなど、買収により南ア株も大きく上下している。本日もプラチナを中心としたコモディティ価格の動きが、ランドを振幅させることになる。 市場に与える影響は軽微だったが、南アの電力負荷制限は今日から急遽(ステージ4から3へ)緩和される。国営電力会社エスコムの会見では、非常用発電の電力備蓄量が増加したことが要因としている。

 

米国株を2週ぶりに買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの9日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は1~5日の1週間に米国株を8億500万ドル買い越した。2週ぶりの買い越しとなる。この週は10月の米雇用統計で非農業部門の新規雇用者数(NFP)が市場予想を上回り、好地合いの中でS&P500指数が2.00%高となって5週連続で上昇して史上最高値を更新した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が10億5300万ドルの買い越しで、4週ぶりの買い越しとなった。機関投資家は17億1300万ドルの売り越しで、6週連続の売り越しだった。個人投資家は8億4700万ドルの売り越しで2週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは23億1200万ドルで4週移動平均(17億2900万ドル)を上回って活況だった。傾向として4週続けて個別株売り・上昇投資信託(ETF)買いの流れの中でHFや自社株買いが下支えした格好となった。機関投資家の売りが続いたことが目立った。

 

米PPIは想定内に収まる:米長期金利低下でドル売り優勢に

米労働省が発表した10月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.6%となった。伸びは、9月+0.5%から拡大も予想に一致した。前年比では+8.6%。伸びは予想通り9月に続き少なくとも2010年来で最大となった。変動の激しい食品、エネルギーを除いたコアPPIは前月比+0.4%と、伸びは9月+0.2%から拡大も予想は下回った。前年比では+6.8%と、やはり9月に続き2カ月連続で、少なくとも2010年来で最大となった。 PPIが想定内に収まり、インフレが高水準でいったん落ち着きを取り戻した可能性が見られた。

 

米国市場では10月消費者物価コア指数が公表:予想は前年比+4.3%

9月実績は前年比+4.0%だった。供給面での制約は解消されていないため、国際商品価格は大幅に上昇しており、この影響は多方面に及んでいる。コア指数も上昇傾向にあり、10月の上昇率は9月実績を上回る見込みである。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.5%/前年比4.5%)
○16:00   9月トルコ失業率
○16:00   10月ノルウェーCPI(予想:前月比0.1%/前年比3.9%)
○18:30   エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   10月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比10.45%)
○22:30   10月米CPI(予想:前月比0.6%/前年比5.8%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比4.3%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:26.5万件/209.5万人)
○23:00   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○24:00   9月米卸売売上高(予想:前月比0.4%)
○11日00:30   EIA週間在庫統計
○11日01:00   7-9月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比4.5%)
○11日03:00   米財務省、30年債入札
○11日04:00   10月米月次財政収支(予想:1790億ドルの赤字)

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