FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米雇用統計を控え様子見ムード強く反落

米国株高が好感され朝方はしっかりだったものの、その後は週末を控えていることもあり軟化した。米雇用統計を控えていることも買い見送り要因となっている。一方、好決算を発表した銘柄については、引き続き堅調に推移したものが目立った。ただ、5日のアジア株価市場で香港や上海の指数が軟調に推移したことも重荷となった。下げ幅は一時290円ほどに達する場面があった。結局、前営業日比182円安の2万9611円と反落して終了した。10月第4週の株式市場で海外投資家は1414億円の売り越しとなり、2週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いがやや優勢

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大やアジア株安を眺めたドル売り・円買いが入り、113.56円付近まで下落した。中国不動産開発会社の債務危機が警戒されていることも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、前日の海外市場でつけた安値113.51円に接近すると、下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが見られ、113.70円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、113.60円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。今晩の10月米雇用統計を前に、様子見を決め込む市場参加者も多かった。

 

英中銀緩和維持するも経済が想定通りなら利上げの可能性も

イングランド銀行(英中央銀行)は4日の金融政策委員会で、7対2で政策金利を過去最低の0.1%に据え置くことを決定した。ただ、景気が想定通りに推移すれば『向こう数カ月』で利上げが必要になると表明し、近く引き締めに転じる可能性を排除しなかった。9人の金融政策委員のうち、ラムスデン副総裁とソーンダース委員が15ベーシスポイント(bp)の利上げを提案した。残りの7人が政府の一時帰休者支援措置終了の影響を見極める必要があるとして、金利据え置きを提案した。利上げに反対した委員は、このところ消費需要に減速がみられるとも指摘している。中銀は大半の委員が、労働市場関連指標を『待つ価値がある』と判断したとした。ベイリー総裁は金融政策委員会後、『労働市場が短期的にどのように展開するか、対応策の規模とペースを決定する上で極めて重要になる』と指摘した。『一時帰休者支援措置の終了を受けた労働市場の状況を巡るハードデータはまだ得られておらず、十分に明確な検証ができていない』と述べた。ただ、向こう数カ月で明確になる可能性があるとの見方を示した。その上で、12月16日の次回金融政策委会合までにあと2回の労働市場関連指標が発表されるとし、これにより経済情勢が一段と明確になる可能性があると指摘した。ただ、何らかの強い手掛かりを示すと予期しないでほしいと述べた。

 

米格付け会社S&Pは投資家のトルコ離れを指摘

トルコ紙のインタビューを受けた米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、トルコ中銀が金融緩和に転じたことでインフレ率が更に悪化する可能性や、金融政策の信頼性欠如からくる投資家のトルコ離れを指摘した。暫くは投機筋のショートカバー以外に値を戻すことは期待できないかもしれない。 なお、トルコ中銀は昨日、物価動向をまとめたレポートを発表し、エネルギー価格の上昇がインフレに影響を与えたと述べている。金融政策の重要指標となったコア・インフレ率は前年比で若干ながら減速したが、水準自体はまだ高いと指摘した。もっともインフレが一過性との見方は変わらず、18日のMPCでは3会合連続の政策金利引き下げを予想する向きはまだ多い。ただ、トルコ中銀の緩和サイクルは金利15%で休止との見方も広がりつつあり、11月会合で一旦は『リラネガティブの材料出尽くし感』を期待する声も聞こえ始めた。

 

メキシコでは当面利上げ期待が継続

メキシコ中銀が発表した民間アナリストによる月次の経済見通しでは、2021年のインフレ率が前月の+6.26%から+6.60%、2022年は+3.84%から+3.93%にそれぞれ上方修正された。来週には10月のCPIが発表されますが、先月9月分は4月以来の6%台に乗せてきており、アナリストはさらなる上昇を予想しているため、当面利上げ期待が収まることはなさそうである。

 

米FRBのインフレ鈍化予測を債券市場は納得せず

11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を終えた後も、一部のトレーダーは高インフレが長期化するとの見方を変えていない。それは、債券市場と米連邦準備制度理事会(FRB)との間に存在する大きな溝を浮き彫りにしている。パウエルFRB議長は会見で来年6月までに債券購入を終える方針を明らかにしたものの、利上げはさほど急がない姿勢を示したことから、米主要株価指数は最高値を更新した。パウエル氏はまた、企業が生産を拡大し、サプライチェーン(供給網)の混乱が和らげば、インフレ率は来年4-6月期か7-9月期までに鈍化するとの見方を改めて示した。だが、投資家の間では、高インフレが続けばFRBは2022年に数回の利上げを余儀なくされかねないとの見方がくすぶる。利上げ観測に連動しやすい2年物米国債の利回りは、足元で0.515%(11月4日終値)と、20年3月以来の高水準にある。

 

米民主上院トップは1.75兆ドル法案は25日までの可決を目指す

米議会の合同税制委員会の専門家は、バイデン大統領が看板政策に掲げる1兆7500億ドル規模の『ビルド・バック・ベター(よりよき再建)』法案の財源となる向こう10年の歳入が1兆4800億ドル程度と、2700億ドル不足するという試算を示した。下院では4日もしくは5日に同法案の採決が実施される可能性があり、下院を通過すれば、上院に送付される。米与党・民主党の議会上院トップ、シューマー院内総務は、子育て支援や気候変動対策を盛った1.75兆ドル規模の歳出・歳入法案について『感謝祭(25日)までに可決したい』と述べた。党内をまとめて早期の成立をめざすという。

 

米国市場では10月雇用時計が公表

市場予想によると、失業率は9月4.8%から4.7%へ低下する見込みである。非農業部門雇用者数は45万人増と、8月、9月に予想を大幅に下回ったのち伸びが拡大する公算である。先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の10月分は前月比+57.1万人と、伸びは9月から予想以上に拡大した。6月来で最大となった。また製造業の雇用も引き続き改善基調した。ISM非製造業景況指数の雇用は9月から低下したものの拡大と縮小の境目である50は4カ月連続で上回った。週次失業保険申請件数も減少傾向を継続し、パンデミック以前の低水準となるなど、先行指標は順調な雇用の増加を示唆している。一方で、パンデミックの影響がくすぶり、さらに団塊世代の退職の動きが加速し、労働参加者の減少傾向が続いている。求人件数は増加しているものの失業者総数も依然500万人あまりと、労働市場のスラックは存続している。利上げの条件であるFRBの最大雇用目標の達成には時間がかかる可能性がある。

■市場予想:失業率:4.7%(9月4.8%)、非農業部門雇用者数:前月比+45万人(+19.4万人)、民間部門雇用者数:前月比+42万人(+31,7万人)、平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+4.9%(+0.6%、+4.6%)

 

欧米市場イベント

○16:00   9月独鉱工業生産(予想:前月比1.0%/前年同月比1.3%)
○16:45   9月仏鉱工業生産(予想:前月比横ばい)
○17:30   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19:00   9月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.3%/前年比1.5%)
○20:00   パネッタECB専務理事、講演
○21:15   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   10月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化5.00万人/失業率6.8%)
○21:30   10月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化45.0万人/失業率4.7%/平均時給、前月比0.4%/前年比4.9%)
○22:00   テンレイロ英MPC委員、講演
○23:00   10月カナダIvey購買部協会景気指数
○6日04:00   9月米消費者信用残高(予想:159億ドル)
○ロシア(振替休日)、休場
○7日 米国が冬時間に移行

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