FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りから上昇一服後は伸び悩み

米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過し、米国株高となったことを背景に朝方に高く始まった。ただ、買い一巡後は、トヨタ自動車の決算を前に様子見が強まり、上値追いに慎重となった。主要企業の決算発表を控え様子見姿勢がみられるなか、高値では利益確定売りが出て上昇一服後は伸び悩んだ。結局、前営業日比273円高の2万9794円と、9月28日以来およそ1ヵ月ぶりの高値となった。

 

東京外国為替市場:114円台前半で上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、114.24円付近まで上昇した。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、明日の10月米雇用統計を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、114.15円付近へ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、114.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。黒田日銀総裁が岸田首相との会談後に『内外の経済・金融情勢について話した』『日銀の金融政策についても説明した』などと発言したものの、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、欧米金融政策スタンスの違いを意識したユーロ売り・ドル買いが優勢になり、1.16ドル台を割り込んで1.1585ドル付近へ値を下げた。

 

ECB総裁は利上げ観測をけん制

ラガルドECB総裁はリスボンで講演し、『ECBは政策金利に関するフォワードガイダンスで、利上げ前に満たされているべき3つの条件を明確に示してきた』と指摘した。『最近はインフレの加速が見られるものの、中期的なインフレ見通しは引き続き抑制されていることから、3つの条件が来年に満たされる公算は非常に小さい』と語った。先週のECB会合後の記者会見で、ラガルド総裁は市場の利上げ観測について、ECB独自の分析とフォワードガイダンスに一致しないと述べていた。市場の金利見通しを真っ向から否定すれば逆効果になる恐れがあると政策委員会は考えたため、総裁はこの時、市場の金利見通しが誤っているとまでは踏み込まなかった。

 

英仏漁業戦争は延長戦へ:制裁発動はひとまず見送り

英国とフランスの漁業権を巡る対立は、フランス側が設定した2日の制裁発動期限を前に合意に達することはできなかったが、協議の継続を理由に制裁発動はひとまず見送られた。来年春に再選を目指す大統領選挙を控えるマクロン大統領は強硬姿勢を崩さないが、他のEU諸国はフランスの漁業者のために英国との対立をさらにエスカレートさせたくないのが本音にある。このまま両者の緊張が激化し、制裁措置や報復措置の応酬にまで発展する可能性は低い。だが、一連のブレグジット関連協議を通じて、英国のジョンソン首相とフランスのマクロン大統領の間には不信感が渦巻いている。同時に進む北アイルランドの運営方針見直し協議で英EU間の緊張がエスカレートし、英国が北アイルランド議定書の一部効力を一方的に停止したり、EU側が報復関税を発動するリスクには引き続き警戒が必要となる。

 

英国中銀は4日に金融政策委員会を開催

市場予想は現状維持と利上げに分かれている。英国では資源高や供給制約などで物価の上昇圧力が続いており、10月には英国の短期金融市場で『年末にかけて0.5%の利上げ』を織り込む動きもあった。一方で英国でも『インフレは一時的』との見方が根強いほか、最近では経済制限の緩和やワクチンの効果切れなどで、コロナ感染者が再増加となっている。その中で英中銀のテンレイロ委員は10月25日、『インフレ圧力は後退する公算が大きく、利上げは待てる』と主張した。26日には英金融大手HSBCが『英中銀総裁は過去数週間にタカ派(インフレ警戒、緩和見直し支持)的なコメントを続けているが、11月4日の会合で利上げを支持することにはならない』、『4日は7対2で金利据え置きが決まる』という予測を示している。4日の会合にかけては、利上げや利上げ地ならし進展がポンド高、利上げ見送りや利上げ慎重姿勢がポンド安、利上げ見送り後の先行き利上げの可能性がポンド高といった上下動の余地を秘めている。

 

トルコ中銀の利下げ思惑残りリラは買いづらい展開

10月トルコ消費者物価指数(CPI)は前月比/前年比ともに市場予想から下振れした。しかしながら前年比は5カ月連続で前回値を上回り、19%後半と2019年1月以来の水準まで上昇している。また鈍化が期待されていた10月生産者物価指数(PPI、前年比)は逆に46%台まで加速しており、今後はCPIも追随することが予想される。一方、トルコ中銀が9月から金融政策の決定材料とした『CPI前年比コア』は16%後半で前月から僅かながらも低下した。これにより中銀・金融政策委員会(MPC)が次回18日の会合で追加利下げに踏み切る可能性は残ったままであり、リラの買いづらさは変わらない。なお、トルコ当局は、昨日ツイッターにエルドアン大統領の死亡を示唆する投稿をした30人に対し、『大統領侮辱だけでなく、偽情報を共有した』として法的な手続きを開始したことを明らかにした。

 

南アの地方選挙では与党は獲得票数下がる:少数の政党が獲得票数増

南アの地方選挙は概ね結果が判明したが、与党・アフリカ民族会議(ANC)は獲得票数が下がった。ラマポーザ大統領はクリーンなイメージがあるものの、ANCの腐敗に対するイメージが拭えないこと、新型コロナウィルスの影響もあり失業率が上昇し、経済も危機的な状況にあることなどでANCの獲得議席が減少した。しかしながら、野党第2党の民主同盟(DA)も伸び悩んだ。その一方で急進左翼政党の経済的解放の闘士(EEF)や、今までは注目されていなかった少数の政党が獲得票数を増やした。今後は与党内での政権争いや、支持率の低下がランドの抑えになる可能性もある。

 

FOMC予想通りQE縮小開始もタカ派色強めず

連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を0.00-0.25%に据え置くことを決定した。同時に、経済が目標に一段と近づいたためパンデミック対策として実施している資産購入策の規模を11月末から月150億ドル削減すると発表した。見通しリスクは存続しており、経済の見通し次第で、ペース修正する姿勢を示した。注目のインフレを巡り、最近の高インフレが一過性との見方を再表明した。来年の第2、3四半期にインフレは弱まるとの見方を示した。FRBが警戒されたほどタカ派色を強めずドル買いが後退した。ただ、QE縮小開始を受けた金利上昇に伴いドルはその後底堅く推移した。

 

バイデン米政権に政策実現の圧力:知事選敗北で中間選挙に黄信号

2日投開票の米バージニア州地知事選で、共和党の新人候補グレン・ヤンキン氏が民主党候補のテリー・マコーリフ前知事に勝利した。来年の議会中間選挙での民主党の過半数維持に黄信号がともった格好で、バイデン政権は問うう内対立を解消して看板政策を実現するように迫られている。共和党は2009年以降初めて、バージニア州全体の選挙を制した。

 

欧米市場イベント

○15:45   10月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:7)
○16:00   9月独製造業新規受注(予想:前月比2.0%/前年同月比11.3%)
○17:50   10月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:56.6)
○17:55   10月独サービス部門PMI改定値(予想:52.4)
○18:00   10月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:54.7)
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○18:30   10月英建設業PMI(予想:52.0)
○19:00   9月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比2.2%/前年比15.2%)
○20:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:30   10月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置きと0.25%に引き上げで拮抗、資産買取プログラムは8950億ポンドで据え置き)
○21:00   英中銀MPC議事要旨
○21:30   9月カナダ貿易収支(予想:15.5億カナダドルの黒字)
○21:30   9月米貿易収支(予想:805億ドルの赤字)
○21:30   7-9月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比▲3.0%)
○21:30   7-9月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比7.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:27.5万件/211.8万人)
○22:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:00   エルダーソンECB専務理事、講演
○5日02:50   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○5日03:15   シュナーベルECB専務理事、講演
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合(テレビ会議)
○ロシア(民族統一の日)、休場

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