FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:衆議院選挙の結果や本邦企業決算を好感した買い優勢

前週末の米国株式市場で主要3指数が最高値更新となった堅調な流れを引き継いだほか、衆院選で自民党が単独過半数の議席を確保し安定政権の維持が確実となったことが好感された。幅広い業種で買い戻しが先行し、上げ幅を広げた。市場では、自民党が議席を大幅減少させながらも絶対的過半数を占めるという今回の選挙結果は、株式市場にとってベストのシナリオと言えるとの声が聞かれた。また、発表が本格化している国内企業の4-9月期決算で、大幅増益や通期見通しの上方修正が相次いでいることも支援材料となった。結局、前営業日比754円高の2万9647円と約1ヵ月ぶりの高値となった。上げ幅は6月22日以来約4ヵ月ぶりの大きさだった。

 

東京外国為替市場:米イベントを控えドル買い調整でじり高

ドル/円は、本邦輸出企業などからドル売り・円買いが持ち込まれ、114.03円まで下落した。しかし、31日に投開票された衆院選のイベントを無難に通過したことが好感されており、下値を追う動きは限られた。その後、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、114.10円台へ値を切り返した。午後は、明日から開催される米FOMCを控えた持ち高調整などのドル買い・円売りが入り、114.31円付近までじり高となった。ユーロ/ドルは、1.15ドル台半ばで方向感を欠くもみ合い相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

前週のFX概況:ドル買い49.5%に低下

QUICKが1日算出した10月29日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末を2.6ポイント下回る49.5%だった。週半ばに113.26円近辺まで上昇した円は週末に114円台前半まで下落し、この場面で相場の流れに逆らう『逆張り』の個人投資家がドル売りに持ち高を傾けた。他の通貨ペアでは、円を売って外貨を買う動きが目立った。円に対するユーロ買い比率は前の週に比べ2.3ポイント高の25.2%だった。週末にかけて円高・ユーロ安が進む局面で逆張りを得意とする個人のユーロ買いが入った。円に対するポンド買い比率は同4.4ポイント高い44.2%だった。

 

トルコ10月消費者物価指数に注目:実質金利マイナス幅拡大ならリラ売り

3日には10月トルコ消費者物価指数(CPI)が発表される。前回19.58%だった前年比は20%台までの上昇が見込まれている。トルコ中銀が先週発表した四半期インフレレポートでも、年末時点のインフレ率見通しが18.4%と従来予測14.1%から大きく上方修正された。ただ中銀は『物価上昇は一時的な要因によるもの』とする見方は変えておらず、緩和スタンスを維持する姿勢を示している。実質金利マイナス幅が拡大し続けるなかで、リラの買い難さは続いたままである。

 

南アは選挙結果による政情不安や治安悪化には警戒が必要

市場の注目は11月1日に行われる南ア地方選挙となる。世論調査では与党アフリカ民族会議(ANC)の優位は変わらないが、5年前の地方選同様に獲得票数は減少すると予想されている。特に最大都市ヨハネスブルグや首都プレトリアのような大都市圏では過半数に達しないという見方が強い状況である。地方選ということや都市圏以外ではANCが優位なことから、ANC政権が変わることはない。しかしながら、もし獲得票が大幅に減少した場合はラマポーザ政権にとっては痛手となることは確実で、与党内での政権争いが勃発する可能性もある。また、極左の経済的解放の闘士(EEF)が支持率を高めていることもあり、結果次第では、国民の不満が爆発し再び暴動に走る可能性も否定できない。選挙結果による政情不安や治安悪化には警戒が必要となる。

 

メキシコにとってぺメックスの経営状態が懸念材料

メキシコの国営石油公社ペメックスが2021年7-9月期の決算を発表した。最終損益が772億ペソの赤字となり、原油価格の上昇で売上高が増加したにもかかわらず、前期の14億ペソの黒字から赤字に転落した。ペメックスには以前からメキシコ政府が巨額の財政支援を行っている関係上、大手格付け会社などからは一蓮托生の関係と捉えられていることもあり、ペメックスの経営状態が一向に上向かないことは今後も懸念材料となる。

 

米7-9月期国内総生産(GDP)は予想以上に減速

米商務省が発表した7-9月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+2.0%となった。4-6月期+6.7%から予想以上に減速し昨年4-6月期来で最低の伸びに落ち込んだ。同期個人消費速報値は前期比年率+1.6%と、4-6月期+12.0%から減速も予想は上回った。やはり昨年4-6月期以降で最低の伸び。同期GDP価格指数は前期比+5.7%。過去最大の伸びとなった4-6月期+6.1%から減速も予想を上回った。

 

9月コアPCEは31年ぶり最大の伸びを維持

米商務省が発表した9月個人所得は前月比-1.0%となった。伸びは5月来のマイナスに落ち込んだ。9月個人消費支出(PCE)は前月比+0.6%。伸びは8月+0.8%から鈍化した。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注目している変動の激しい燃料や食品を除いたコアPCE価格指数の9月分は前年比+3.6%と伸びは拡大予想に反し6月と同様1990年10月以降31年ぶり最大の伸びを維持した。FRBの目標2%のほぼ2倍に近づいた。

 

FOMCではテーパリング決定とインフレ警戒強化へ:三菱UFJSM

三菱UFJモルガン・スタンレー証券では11月2日~3日のFOMCで、FRBは11月半ばからのテーパリング開始を決定すると予想している。毎月国債を100億ドル、MBSを50億ドルずつ減額するとみている。より注目されるのは、インフレの現状判断と指摘した。高止まり長期化を認めて警戒を強めていることを示す一方、一過性の文言は残し、長期のインフレ期待の低位安定を新たに指摘することで、インフレ鈍化がなおメーンシナリオであることを確認する内容になると三菱UFJMSでは予想している。また、議長が従来通りテーパリング決定から利上げまで距離があることに言及すれば、市場が見込む22年後半の複数回利上げへのけん制になると考えている。

 

欧米市場のイベント

○16:00   10月トルコ製造業PMI
○16:00   9月独小売売上高指数(予想:前月比0.4%/前年比1.8%)
○17:30   7-9月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.6%/前年比5.7%)
○17:30   10月スイス製造業PMI(予想:66.5)
○18:30   10月英製造業PMI改定値(予想:57.7)
○22:45   10月米製造業PMI改定値(予想:59.3)
○23:00   9月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○23:00   10月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:60.5)
○2日03:00   10月ブラジル貿易収支(予想:23.91億ドルの黒字)
○欧州は10月31日から冬時間に移行済み
○ポーランド(万霊節)、休場

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