FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:模様眺めの展開となったが3日ぶりに反発

米国株式市場は、S&P500指数やナスダック総合が最高値で引きた。ただ、取引終了後に発表されたアップルやアマゾン・ドット・コムの決算がさえない内容となり、これを嫌気した売りで日本株は序盤軟調な展開になった。しかし、その後は追随の売りがかさむことはなく徐々に引き戻す動きとなり、日経平均はプラスに浮上するなど下げ渋る動きとなった。ただ、週末である上、総選挙や引き後の決算発表を見極めたいとのムードがあるため、後場は模様眺めの展開になった。結局、前営業日比72円高の2万8892円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:113円台半ばで前後で方向感に乏しい値動き

ドル/円は、本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いが持ち込まれ、113.40円付近へ下落した。日経平均株価がさえない動きとなったことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、今晩の米国株価動向や米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、113.60円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利を眺めながら、113.60円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。来週は米FRBの重要イベントを控えており、様子見ムードが強かった。ユーロ/ドルは、1.16ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国恒大集団は海外債権者との交渉の準備か

巨額債務を抱える中国恒大集団が海外の債権者との交渉の準備を始めた。消息筋によると、同社のアドバイザーを務めるフーリハン・ローキーと鍾港資本が、オフショア債券保有者のアドバイザーであるモーリス・カークランド&エリスと守秘義務契約を結び、交渉に備えている。債券保有者は以前から接触を図ってきたものの拒絶され、現在は債権者アドバイザーが中国恒大集団に対し、各プロジェクトの進行状況や流動性、資産価値などについて情報交換を求めているという。『信報』が28日、外電を引用する形で伝えた。また、香港紙、信報は28日、巨額の債務を抱え経営危機に陥った中国不動産大手、中国恒大集団のトップ、許家印主席が香港に所有する邸宅を抵当に入れたと伝えた。これに伴う金融機関からの借入金は最大3億香港ドル(約44億円)に上ると推定され、債務の返済に充てるとみられる。

 

ECBは定例理事会で金融政策の据え置きを決定

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り金融政策の据え置きを決定した。PEPPは少なくとも来年3月末まで継続するとした。さらに、インフレ率は一時的との見方を維持した。会合後に開催された会見で、ラガルド総裁はサプライチェーン問題が2022年に入ってもすぐには解決しない可能性を警告している。高インフレの局面は想定以上に長期化する可能性を指摘した。同時に、中期的にインフレ予測は目標を下回るとし、22年にインフレが弱まるとの見通しを繰り返し、我々の高インフレが一過性との見通しが正しいと自信を表明した。また、パンデミック緊急購入策(PEPP)は減速させ来年3月に終了するとしたが、PEPPの縮小はテーパリングではないと主張した。また、金利市場の利上げ観測はガイダンスに一致しないとした。しかし、ドイツのインフレ率が予想を上回ったほか、ラガルド総裁が高インフレの長期化に言及したためてユーロ買いが優勢となった。

 

欧米市場では7-9月期ユーロ圏域内総生産速報値が公表:予想は+3.5%

4-6月期確定値は前年比+14.3%だった。家計消費がまずまず好調だったことや、政府支出や投資が成長に寄与した。7-9月期については、同期のユーロ圏マークイット総合PMIは56.2-60.2と4-6月期の水準を上回っていること、活動制限の段階的な緩和などを考慮すると、4-6月期には及ばないものの、経済成長率はまずまずの伸びとなる可能性がある。

 

トルコ中銀総裁の会見では論理性が失われた発言多い

昨日のカブジュオール・トルコ中銀総裁の会見では、相変わらず論理性が失われている発言が多く、市場はリラ売りに動いた。四半期のインフレ見通しは、前回から大幅に上方修正(2021年末は14.1%から18.4%に)されたにもかかわらず、総裁は記者会見で『現在のインフレは一時的であり、対策として利下げを行った』との見解を示している。なお、2022年末のインフレ予測は11.8%、2023年末を7%と予測としている。

 

南アランドは11月のイベントを控え不安定に推移

ランド相場が不安定な理由は11月に様々なイベントがあることが要因との声がある。1日に南ア地方選が行われ、本来は4日発表予定だった中期予算政策の方針(Medium Term Budget Policy Statement=MTBPS)は11日に発表、そして22日の南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)を見極めるまでは、トレンドを作ることが難しいとされている。なお、一昨日に発電所の複数ユニットが故障したため、いきなりステージ4まで電力の負荷制限の水準が上がったが、昨日はステージ3まで制限を弱めている。ただし、一部地域では『電力が無ければ、選挙も行かない』との抗議活動が行われている。これに対してラマポーザ南ア大統領は『与党アフリカ民族会議(ANC)に投票されなければ、電気は回復しない』と応戦している。

 

米国とメキシコ間の解釈の違いから対立が表面化

メキシコ国内では基幹産業である自動車生産に関して新たな懸念材料も浮上している。世界的な半導体不足によって自動車生産工場が相次いで稼働停止に追い込まれているなか、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の自動車部材調達比率に関する原産地規則について、米国とメキシコ間の解釈の違いから対立が表面化している。USMCAで定められていた専門家委員会の仲裁を受けることになった。仲裁が入ったとしても今後の両国間に遺恨を残す可能性もあり、対米関係の悪化が懸念される。

 

米歳出法案は大幅規模縮小で民主党内の支持獲得に自信

バイデン米大統領は28日、自信の看板政策の一つである気候変動・社会保障関連歳出法案を巡り、規模を1兆7500億ドルとする新たな枠組みを発表し、民主党内での全面的な支持の獲得に自信を表明した。新たな枠組みは当社案の規模から大幅に縮小された。機構変動対策や就学前教育向けなどの支出は確保するが、家族有給休暇や超富裕層を対象とする増税は含まれない。

 

米国市場では9月PCEコア価格指数が公表:予想は前年比3.7%

8月実績の前年比+3.6%並みの高水準を維持すれば、米FRBによる年内の資産買入れの段階的縮小(テーパリング)開始を後押しする。

 

欧米市場イベント


○15:00   9月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比3.2%)
○15:45   10月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比2.5%)
○16:00   10月スイスKOF景気先行指数(予想:108.0)
○17:00   7-9月期独GDP速報値(季節調整済、予想:前期比2.2%/前年同期比2.5%)
○17:00   7-9月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比2.6%)
○17:00   10月ノルウェー失業率(予想:2.3%)
○17:30   9月英消費者信用残高(予想:5.0億ポンド)
○17:30   9月英マネーサプライM4
○18:00   10月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比3.7%)
○18:00   10月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.9%)
○18:00   7-9月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比2.1%/前年比3.5%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   7-9月期メキシコGDP速報値(予想:前期比0.1%/前年比6.0%)
○21:00   9月南アフリカ貿易収支(予想:353億ランドの黒字)
○21:30   8月カナダGDP(予想:前月比0.7%/前年比4.3%)
○21:30   9月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比1.0%)
○21:30   9月カナダ原料価格指数(予想:前月比2.5%)
○21:30   9月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.6%)
       9月米個人所得(予想:前月比▲0.3%)
       9月米PCEデフレーター(予想:前年比4.4%)
       9月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比3.7%)
○21:30   7-9月期米雇用コスト指数(予想:前期比0.9%)
○22:45   10月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:63.5)
○23:00   10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:71.4)
○30日01:00   9月ロシア失業率(予想:4.4%)
○トルコ(共和国宣言記念日)、休場
○米仏首脳会談(ローマ)
○31日 衆院選投開票

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