FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:下方修正発表の銘柄が総じて軟調

前日の米国株式市場で高値警戒感が高まる中、日本株式市場でも利益確定売りが優勢になった。個別では、前日に業績見通しの下方修正を発表した銘柄が総じて軟調となり、日経平均株価を押し下げた。また、昼休み中に日銀の金融政策決定会合の結果が発表され、金融政策の現状が伝えられたが、事前予想通りの結果で市場への影響は限定的だった。結局、前営業日比278円安の2万8820円と続落して終了した。10月第3週(18日~22日)の海外投資家は1089億円の売り越しとなり、売り越しは3週ぶりとなった。個人投資家は416億円買い越しとなり、買い越しは2週ぶりだった。信託銀行は546億円の買い越しとなり、買い越しは8週ぶりだった。

 

東京外国為替市場:月末に絡むドル売り・円買いを観測

ドル/円は、日経平均株価の続落や原油安がリスク回避の円買いを誘い、113.55円まで下落した。本邦輸出企業から月末に絡むドル売り・円買いも観測された。日銀は27~28日に開催した金融政策決定会合で大規模な金融緩和政策の現状維持を決めた。併せて公表された展望レポートでは、2021年度の成長率見通しを前回の+3.8%から+3.4%に下方修正したが、予想通りの内容に市場の反応は限定的だった。午後に入っても、ドル/円の軟調地合いは続き、113.50円付近まで下落した。しかし、前日の海外市場でつけた約2週間ぶりの安値113.39円が視界に入ると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドル買い戻す動きも見られ、113.55円付近まで戻した。ユーロ/ドルは、今晩開催されるECB定例理事会を控えて様子見ムードが広がり、1.1605ドルを挟んで小動きに終始した。

 

過去衆議院選のアノマリー:総選挙=日本株高

「1980年の第36回総選挙から2017年の第48回までの過去13回の衆院選における解散前日の株価より投票前々日の株価が平均4.0%上昇、過去10回の衆院選におけるそれは平均4.2%上昇しており、今回も『総選挙=株高』アノマリーが実現しそうだ」という。
第36回総選挙は1980年5月19日の大平正芳元首相による「ハプニング解散」をいい、第48回総選挙は安倍晋三元首相の2017年9月28日の「国難突破解散」を指し、それまでの過去13回の衆院選における解散前日の株価より投票前々日の株価が平均4.0%上昇した。さらに、過去10回の衆院選における日経平均は投開票日前日の終値が解散前日の終値より全て高く平均4.2%上昇する「総選挙=日本株高」アノマリーがある。

 

国内生保は一段の円安には懐疑的

国内主要生保の多くが、足元の円安進行の持続性について懐疑的にみていることがわかった。ロイターが27日までに聴き取りを行った2021年度下期の一般勘定資産運用計画では、為替ヘッジを付けない外貨建て債券『オープン外債』への投資に慎重な方針が目立つ。インフレは一時的で米金利の上昇も限定的とみる声が多い。ドル/円は20日、114.70円と約4年ぶりの高値を付けた。多くの生保にとって4月に示した年間の予想レンジの上限とほぼ同水準である。市場では、一段高を予想する声もあるが、多くの生保は今年度の予想レンジをほとんど修正していない。ドル高の背景には米国のインフレ高進と金利上昇があり、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では、FRB(連邦準備理事会)の利上げ開始時期を22年後半にほぼ2回と織り込んでいる。しかし今回、国内生保からは『異論』が多く聞かれた。

 

トルコ中銀のMPC議事要旨と総裁会見が注目

本日は、先日行われたトルコ中銀の金融政策委員会(MPC)の議事要旨と四半期インフレレポートが発表されることに注目が集まる。また、議事要旨発表前にカブジュオール・トルコ中銀総裁が会見を行う予定となっている。前回の利下げについての説明や、今後の政策についてどのような見解を示すかで、リラは神経質な動きになりそうである。

 

欧米市場ではECB定例理事会を開催:予想は金融政策の現状維持

欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事は、市場が予想している金利水準は、ECBのガイダンスと一致していないとの認識を示した。ECBはインフレ率が2%で安定するまで利上げは行わない方針だが、市場参加者の間ではインフレ進行の思惑が広がっている。今回の理事会ではインフレ見通しについて議論されるとみられているが、早期利上げの必要性についてメンバー間の意見が一致する可能性は低いとみられる。

 

南アの9月の卸売物価指数(PPI)に注目

南アでは電力の負荷制限が行われているが、昨日は発電所のいくつかのユニットが故障したため、いきなりステージ4まで負荷制限の水準が上がった。国営電力会社エスコムのデ・ロイテルCEOとゴーダン公共企業相は、『来週の選挙時には混乱が起きないようにする』と昨日述べているが、いささか不安である。
本日は南アから9月の卸売物価指数(PPI)が発表される。先週発表された消費者物価指数(CPI)が高止まりしていることもあり、PPIも市場予想より高い結果となった場合のランドの動きに注目しておきたい。クガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁はインフレには利上げで対処することを先週末に述べてはいるが、高失業率で小売りも弱い状況では本来であれば利上げをしたくないため、SARBの政策運営が難しくなりそうである。

 

米国財政赤字は景気回復で税収増から赤字額は減少:過去2番目の記録

米財務省は、米国の9月の財政赤字が615.44億ドルとなり、前年9月の1246.11億ドルから減少し、2020年10月から2021年9月までの累積財政赤字が2兆7721.79億ドルだったと発表した。新型コロナウイルス対策の財政出動で前年度に続き歳出が膨らんだが、景気回復による歳入増で相殺され、赤字が縮小した。歳出は6兆8180億ドルで前年度比4.1%増えた。1人当たり最大1400ドルの現金給付や、貧困層への食費補助、子育て世帯への税控除制度を利用した給付金などで支出が増えた。歳入は4兆460億ドルで18.3%増だった。個人所得税で4357億ドル、法人税で1600億ドル増えた。過去最大の財政赤字を記録した2020会計年度(19年10月~20年9月)の財政赤字は3兆1319億ドルで、今年は景気回復で税収が増えたことで、赤字額は11.5%減少していたものの、過去2番目の財政赤字を記録した。

 

米国がXマス近辺でテクニカルデフォルト懸念

イエレン財務長官は議会宛て書簡で、財務省が12月3日までは連邦政府業務の資金繰りを行うことができるものの、長期的な確実性を提供するため債務上限の適用停止ないし引き上げに向けた議会の行動が必要不可欠だ、と訴えた。米財務省は12月3日までの4800億ドルの債務上限引き上げに関して、大部分を使い切る計画を打ち出している。米共和党のマコネル上院院内総務は、今後債務上限引き上げを支持しない、と警告しており、Xマス辺りに米国がテクニカルデフォルトに陥るXデーが到来する可能性に要警戒となる。

 

米国市場では7-9月期国内総生産速報値が公表:予想は前期比年率+3.0%

4-6月期確定値は前期比年率+6.7%だった。個人消費と設備投資はまずまずの水準だった。7-9月期については、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大によって人々の外出が抑制され、サービス消費は伸び悩みとなった。インフレも警戒されており、全体の成長率は4-6月期との比較で大幅に鈍化する見込みである。

 

欧米市場イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○16:55   10月独雇用統計(予想:失業率5.4%/失業者数変化▲2.0万人)
○17:30   9月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比7.3%)
○18:00   10月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:116.7)
○18:00   10月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲4.8)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00   10月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.5%/前年比4.4%)
○21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   7-9月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率2.7%)
       7-9月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率0.8%)
       7-9月期米コアPCE(速報値、予想:前期比年率4.5%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:29.0万件/241.5万人)
○23:00   9月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比横ばい/前年比▲3.0%)
○29日02:00   米財務省、7年債入札
○東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議と関連会議(オンライン形式、最終日)

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