FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:全体的に模様眺めムードの強く上値の重い展開

米国株高が好材料となりながらも、日本株は前日の大幅高の反動もあって利益確定売りが先行した。好決算銘柄はおおむね買いが優勢となる中で、通期見通しを上方修正しても市場予想を下回る銘柄の中には軟化するケースもあった。その後も、好決算銘柄に対する物色ニーズは強いものの、全体的に模様眺めムードが支配した。また、本株安も重荷となった。結局、前営業日比7円安の2万9098円で終了した。

 

東京外国為替市場:114円を挟んでもみ合い相場

ドル/円は、高値警戒感から利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、114.03円付近まで下落した。日経平均株価の反落やアジア株安で、リスク回避姿勢が強まったことも円買いにつながった。午後に入っても下落地合いは続き、114円を割り込んで113.94円付近まで値を下げた。ただ、今晩の米経済指標や米国株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、日経平均株価の下げ幅縮小を眺めた円売りも見られ、114.10円付近へ値を持ち直した。ユーロ/ドルは、1.160ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

衆議院選挙の結果と株価動向予想:モルガンスタンレーレポート

モルガン・スタンレーは27日付の日本経済・株式ストラテジーリポートで、31日に投開票の衆院選で自民党が40議席超の減少となった場合、短期的に日本株の安定性を低下させる可能性あるとの見方を示した。一方で、現自公連立政権が議席の衆議院の過半数を失う可能性は少ないとの見方も示されている。現連立与党が勝利した場合は、岸田政権初の大型補正予算が12月にも成立すると予想。現金給付の実現により、2022年上半期は一時的に個人消費が下支えされるとの予想も示されている。また、10兆円規模の大学ファンド創設は、外国為替市場への影響という点で注目される可能性があるとの見方も示された。日本株に対しては、岸田政権の『新しい資本主義』という政治の広範な左派シフトが、企業の自助努力によるROE(自己資本利益率)向上に影響を与えるとも指摘した。自民党が衆議院の単独過半数を獲得すれば、岸田政権による政策が強化される一方、自民党による単独過半数割れの44議席超の減少で、東証株価指数(TOPIX)は最大5%程度調整する可能性があるとの予想が示された。また、自公連立で72議席超を失い、過半数を下回った場合は日本株に対して『より消極的になる』との見方も示されている。

日銀は政策決定会合で金融政策を据え置く公算

日銀は27-28日の金融政策決定会合で、現行の大規模な金融緩和を維持する公算が大きい。2021年度の成長率や物価見通しを引き下げる一方で、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいく中で経済が持ち直すシナリオは維持するとみられる。部品の供給制約に続き、原油高、円安と経済や物価を取り巻く不透明要因は増えつつある。日銀は粘り強く金融緩和を続ける方針を改めて示す見通し

 

トルコは米国との関係が不安定なことがリラの重石

週末の10カ国の大使追放命令について、トルコと関連国との間で追放が回避されるとの思惑が広がった。一時的にトルコと西側諸国との緊張は緩和されてはいるが、トルコと米国の関係がいまだに不安定なこともリラにとっては重石である。昨日のサキ米大統領報道官と報道陣との質疑応答で『トルコを含む世界中の活動家、ジャーナリストの拘束については、今後も言及し続ける』とし、『トルコの人権状況について引き続き意見を表明すると同時に、ワシントンとアンカラの同盟関係の維持に努める意向』と回答している。更にサキ報道官は、30-31日に行われる伊ローマでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、バイデン米大統領とエルドアン・トルコ大統領の会談が行われるかは、まだ流動的とも述べている。もし、週末に会談も行われない場合は、米国との関係修復に時間がかかることでリラにとってはネガティブな要因となる。 

 

注目されていた米国2年債入札の結果は順調

米財務省は600億ドル規模の2年債入札を実施した。結果で最高落札利回りは0.481%。事前の利回りは0.483%だった。応札倍率は2.69倍と、過去6回入札平均の2.5倍を上回り需要は強かった。外国中銀を含む間接入札者の落札比率は58.14%と、過去6回入札平均の51.7%を上回った。順調な入札結果を受けて米国債相場は続伸した。10年債利回りは1.65%から1.615%まで低下した。

 

米国の大型歳出法案の規模は縮小する方向で検討

バイデン米政権は25日、成長戦略の一つの柱である総額3兆5000億ドル(約400兆円)の大型歳出法案の規模を半額近くに大幅に縮小する方向で検討に入った。法案を巡り対立が続く与党民主党の左派と穏健派が合意に近づきつつある。もう一つの柱となる超党派の1兆ドル規模のインフラ投資法案も成立させ、中間選挙を見据えた成果としたい考えである。ただ、当初3兆5000億ドルを求めてきた左派からの批判は必至となっている。穏健派は1兆5000億ドルが上限としており、月内の決着がずれ込む可能性もある。米メディアはバイデン氏が妥協案として1兆7500億~1兆9000億ドルを提案したと報じている。

 

今年の米国年末商戦は複数の要因からお買い得価格少ない

米国の年末商戦へ向け、新型コロナウイルス感染流行の副作用が出ている。買い物客にとってお買い得価格が少なくなっているのだ。業界幹部やアナリストによると、今年の年末商戦はナイキのスニーカーからコーチのハンドバッグ、ラルフローレンのポロシャツに至るまでさまざまな商品で、消費者は定価に近い価格で購入する覚悟が要りそうだ。値引きが少ない背景には、サプライチェーン(供給網)の混乱やインフレに加え、小売業者が商品価格をより効率的に設定するために取っている措置など、複数の要因があるという。小売企業にとっては、長年の大幅な値引きやデフレから脱却し、新たな価格設定が可能になったことで、販売がまだコロナ禍からの回復途上にある中でも、利益が増加している。一方で、ホリデーシーズンの買い物計画を考え直す顧客もいる。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月独輸入物価指数(予想:前月比1.5%/前年比18.0%)
○15:00   11月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲0.5)
○15:45   10月仏消費者信頼感指数(予想:101)
○15:45   9月仏卸売物価指数(PPI)
○16:00   9月トルコ貿易収支(予想:26億ドルの赤字)
○17:00   9月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比7.5%)
○20:00   9月メキシコ貿易収支(予想:28.22億ドルの赤字)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:30   スナク英財務相、新年度予算案発表
○21:30   9月米耐久財受注額(予想:前月比▲1.1%/輸送用機器を除く前月比0.4%)
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   マックレムBOC総裁、記者会見
○28日01:00   9月ロシア鉱工業生産(予想:前年比4.6%)
○28日02:00   米財務省、5年債入札
○28日06:00~   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:7.25%に引き上げと7.50%に引き上げで拮抗)
○東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議と関連会議(オンライン形式、28日まで)

 

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