FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:好調な企業業績や景気拡大への期待により買い優勢

前日の米国株式市場は主要3株価指数が上昇した。企業決算を好感した買いが株高の下支えとなりNYダウとS&P500種は史上最高値を更新した。日本株は、米国株高の流れを受けて反発してスタートした。その後も幅広く買われ、この日の高値圏でしっかりと推移した。好調な企業業績や景気拡大への期待感が相場を支援し、景気敏感株や外需関連株の上昇が目立った。結局、前営業日比505円高の2万9106円で終了した。4営業日ぶりに2万9000円台に乗せた。

 

東京外国為替市場:114.00円の上値の重さを意識

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、113.95円付近へ上昇した。日経平均株価が大幅反発し、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、心理的節目の114.00円に接近すると上げは一服した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながらい、113.90円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。今晩の米国株動向や米経済指標を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.160ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

顧客が米国株を2週ぶり買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの26日付の顧客リポートによると、同社の顧客は18~22日の1週間に米国株を5億2500万ドル買い越した。2週ぶりの買い越しとなる。この週は22日に米FRBのパウエル議長がインフレの原因になっている世界的なサプライチェーンの制約と供給不足に関して『従来の想定より長期に及ぶ可能性が高く、来年になってもしばらく続きそうだ』との見解を示したものの、S&P500 指数が1.64%高となって3週連続で上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が11億4800万ドルの売り越しだった。機関投資家は6億6000万どるの売り越しで、4週連続の売り越しだった。個人投資家は9億3200万ドルの買い越しで5週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは14億100万ドルで4週移動平均(13億7000万ドル)をやや上回る程度だった。傾向としては個別株売り・上場投資信託(ETF)買いの流れだった。機関投資家の売り越しが続いたものの、節税対策のいわゆる『タックス・ロス・セリング』の10月31日の期限を前伊にやや一服感が出た。

 

中国の景気減速などの懸念に対する対応策が焦点

今週の為替相場では中国の不動産不安と景気減速、資源高打撃と、それに対する対応策が焦点となる。改めて懸念が強まると、リスク回避の円高のほか、中国経済と相関性の高い資源国通貨の下落要因となる。反対に危機回避策や景気支援策、資源高対策などが強化されると、円安や資源国通貨高の材料となりやすい。また、景気悪化や信用収縮の対応策としては、前週から中央銀行である中国人民銀行が短期金融市場で資金供給を拡大し始めた。同時に不動産引き締め策と市況悪化や資源高騰といった問題については、米ウォールストリート・ジャーナル紙が21日、『中国で住宅価格てこ入れの動き、過熱懸念が一転』、『中国の脱石炭政策が後退、電力不足で方針転換』という政策修正を伝えている。

 

中国では『不動産税』を一部地域で試験導入

中国で日本の固定資産税に当たる『不動産税』の試験導入に向けた動きが本格化する。中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は23日、国務院(内閣に相当)に対し、不動産税を一部の地域で試験的に導入する権限を与えることを決定した。不動産税の法制化と改革を積極的かつ妥当に進め、合理的な住宅消費と土地資源の集約的な利用、不動産市場の安定・健全な発展を促すのが狙いとしている。不動産税はこれまでも重慶市や上海市で試験的に先行導入されていた。米紙『ウォールストリート・ジャーナル』は今月19日、中国の習近平国家主席は不動産バブルを抑制する措置として不動産税の導入に積極的だが、中国共産党内の抵抗勢力から巻き返されていると報じていた。

 

 

トルコからの10カ国の大使追放問題は一旦収束

エルドアン・トルコ大統領が週末に10カ国の大使追放を命じたとの報道で、早朝のオセアニア時間にリラ/円は最安値を更新した。その後は、名指しされた複数国が内政干渉の意図はないとしたことをツイート(もしくはリツイート)し、エルドアン大統領も閣議後の取材で、このツイートを歓迎、大統領自身も『危機を引き起こす』つもりはないと言明したことでリラの買い戻しが入った。お騒がせのエルドアン大統領だが、30-31日には伊ローマで主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれ、バイデン米大統領との会談も計画されていることもあり、当面はカワラ氏の問題を避けたい。そのため、G20が終わるまではこの問題はいったんはお預けとなりそうである。

 

南アではワクチン接種率進まず成長ペースは鈍化傾向見通し

先週、国際通貨基金(IMF)は南アの今年の成長見通しを4%から5%へと上方修正した。しかしながら、2022年以後は成長ペースが鈍化し2.2%程度になると発表している。また、2021年は南アは上方修正したが、サハラ以南のアフリカ諸国は3.7%成長と予想し、他の新興国などと比較しても、世界で最も遅い成長力としている。IMFは先進国は5%以上成長し、他の新興国は6%以上成長するとしたことで、サハラ以南の成長の鈍化が目立つ。IMFによると、成長の鈍化はやはりコロナウイルスの影響で、ワクチンの展開が遅いことに起因しているとしている。先進国では6割近いワクチン接種も、サハラ以南の一部では3%しか接種が進んでいない国もある。南アにとってはサハラ以南のアフリカ諸国の成長が鈍る場合は、経済的な発展の停滞になることで、今後は南ア以外のワクチン接種率も増加を期待したいところである。

 

市場の米FRBの利上げ観測は行き過ぎとの見方も

市場は過去の実績から中央銀行の利上げを過剰に織り込む傾向にある。インフレを巡り慎重姿勢を維持していた連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はここにきてインフレリスクに言及した。サプライチェーン混乱が想定以上に長期化し、高インフレも2022年まで継続するリスクを指摘した。インフレ期待が高まる深刻なリスクが見られれば利上げも辞さない構えを見せたため、利上げの時期が早まるとの市場の観測も強まった。ただ、パウエル議長は経済が資産購入策縮小を開始し2022年中旬に終了する軌道にあるとしながらも、利上げの可能性は否定した。現在のところFRBの高官は、2022年に利上げを開始する確率はほぼ5分5分と見ている。一方、市場はすでに2回の利上げを織り込みつつある。NY原油先物は2014年以降で初めて85ドル台となるなど、燃料価格の上昇がインフレを押し上げると警戒されている。

 

欧米市場イベント

○16:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○22:00   8月米住宅価格指数(予想:前月比1.5%)
○22:00   8月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比20.0%)
○23:00   9月米新築住宅販売件数(予想:前月比2.3%/76.0万件)
○23:00   10月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:5)
○23:00   10月米消費者信頼感指数(予想:108.3)
○27日00:45   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○27日02:00   米財務省、2年債入札
○東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議と関連会議(オンライン形式、28日まで)

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