FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:来週からの決算を見極めたいとのムードから上げ幅縮小

前日の軟弱な地合いを引き継ぐ形で、朝方は幅広く売られて始まった。しかし、中国恒大集団の利払い履行報道など、これまでの不透明感が後退したことから、買い戻しが活発化した。ただ、来週から本格化する企業決算を見極めたいとのムードもあり、戻りは限定的だった。結局、前営業日比96円高の2万8804円で終了した。

 

東京外国為替市場:114円台では利益確定売りで上値の重さを意識

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、114.05円付近へ上昇した。その後も、一部の中国メディアが『中国不動産投資大手が遅延していたドル建て社債の利払いの資金を送金した』と報じると、さらにドル買い・円売りが進んで114.20円付近まで上昇した。ただ、前日の海外市場でつけた114.21円に接近すると、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、114.00円付近へ押し戻された。米長期金利の上昇が一服したことも、ドル売りにつながった。午後は日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、114.00円を挟んで取引された。NY時間に予定されている米経済指標やパウエルFRB議長が傘下するパネルディスカッションを前に、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、1.162ドル台を中心とした狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国恒大は土壇場でデフォルトを回避:ドル建て債の利払い

中国不動産開発大手の中国恒大集団は、9月23日に期限を迎えていたドル建て債務利払いの資金を今月21日に受託者の口座に送金したことを伝えた。翌23日が30日間の利払い猶予期間の期限で、土壇場でデフォルトを回避することになる。駐豪k政府系の証券時報も22日、中国恒大が21日にドル建て債の利払いとして8350万ドルをシティバンクの受託者口座に送金したと報じた。恒台にとって次の重要局面は、9月29日に実行しなかったドル債利払いの猶予期間が切れる10月29日になる。

 

トルコ中銀のエルドアン大統領に対する忖度は想像以上

トルコ中銀の金融政策委員会(MPC)は21日、主要政策金利である1週間レポレートを18%から16%に引き下げることを決定した。最大でも17%までの利下げと見込んでいた市場を驚かせトルコ中銀MPCのエルドアン大統領に対する忖度は想像以上であり、カブジュオール総裁率いる中銀の信用度は今まで以上に大きく低下した。トルコ当局がリラ安を止めようとする気がないと思われても仕方がなく、このままでは、ポジション調整や実需以外にリラを積極的に購入する参加者は増えづらいと思われる。中銀は昨日公表した声明で、最近のインフレ率上昇について『食料品や輸入物価(特にエネルギー価格)の上昇、供給のボトルネック、政府による管理価格の上昇、経済再開による需要増』が影響しているとした。そして、これらを前回同様に『一過性のもの』と片付けてしまっている。しかしながら、『通貨安から輸入価格の上昇』という悪循環が既に起こっていたなかで『(通貨売りに繋がる)利下げ』を実施してしまっては、今後どのように負のスパイラルが断ち切れるのか全く見えてこない。トルコ経済界からも大統領主導の金融政策に対する不満が高まっているとの報道もあり、今後は国内の混乱に注意する必要がある。

 

欧州市場では10月ユーロ圏マークイット製造業PMIが公表:予想は97.0

9月実績は、58.6で実績の61.4を下回った。サプライチェーンの目詰まりが打撃となり、インフレ圧力が高止まりしていることが指数低下につながった。10月については、生産指数の低下が予想されており、供給面の問題が多くの製造業の業績を圧迫していることから、9月実績を下回り見込みである。

 

独連銀総裁辞任とECBの政策姿勢

ECB理事会の最タカ派メンバーの1人、ドイツ連銀のバイトマン総裁が12月末に退任することを発表した。後継総裁は中道左派の社会民主党(SPD)が主導する可能性が高い次期政権が指名するため、バイトマン氏よりもタカ派度合いが弱まるとの見方が多い。この辺りはどの政党が後継総裁選びで主導権を握るかにも左右され、閣僚ポストとともに、現在行われている連立協議の中で話し合われることになる。バイトマン総裁は在任中、ECBの緩和的な金融政策に異議を唱えることが多かったが、ハト派のドラギ総裁がリーダシップを発揮した前理事会、コンセンサスを重視するラガルド総裁が率いる現理事会ともに、実際の政策決定で他のメンバーを巻き込んで大きな影響力を発揮したことはない。ECBの政策決定は投票権を持つ理事会メンバーの多数決で行われ、1人のタカ派メンバーの交代が、金融政策運営を大きく左右する訳ではない。ただ、ECBは12月の理事会で重要な政策決定を行うことを示唆している。最後の理事会でバイトマン総裁が思いの丈をぶつけ、大規模緩和の継続阻止に動くことも考えられる。

 

メキシコ独自の材料にペソ反応せず

メキシコでは9月の国内成長率が前年同月比5%増となり、新型コロナウイルスの感染拡大によるショックから回復しつつあることが確認されたが、市場では目立った反応はなかった。メキシコ独自の材料に反応しない以上、本日も外部要因に注意を向けるしかない。

 

米国市場では10月マークイット製造業PMIが公表:予想は60.3

9月実績は60.7で速報値から上方修正された。輸送の問題や能力の不足で納品に時間がかかっていることが懸念材料。製造業の仕入価格指数はやや低下したが、高い水準を維持している。10月については、原材料と労働力が不足している状況は改善されてないことから、9月実績を下回る可能性が高いとみれる。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.5%/前年比▲0.4% 
○15:00   9月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.2%/前年比▲1.7%)
○16:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○16:15   10月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:54.0)
○16:15   10月仏サービス部門PMI速報値(予想:55.5)
○16:30   10月独製造業PMI速報値(予想:56.5)
○16:30   10月独サービス部門PMI速報値(予想:55.0)
○17:00   10月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:57.0)
○17:00   10月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:55.5)
○17:30   10月英製造業PMI速報値(予想:55.8)
○17:30   10月英サービス部門PMI速報値(予想:54.5)
○17:30   9月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比3.0%)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.25%に引き上げと7.00%に引き上げで拮抗)
○21:30   8月カナダ小売売上高(予想:前月比2.0%/自動車を除く前月比2.8%)
○22:45   10月米製造業PMI速報値(予想:60.3)
○22:45   10月米サービス部門PMI速報値(予想:55.1)
○22:45   10月米総合PMI速報値
○23:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、討議に参加
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、パネルディスカッションに参加
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、最終日)

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