FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:後場から海外短期筋による先物売りで下げ幅拡大

前日の米国株式市場がまちまちで手掛かり材料難の中、半導体関連株などの値がさハイテク株を中心に利益確定売りの売りの動きが先行した。日経平均は薄商いで、前場を通してマイナス圏での一進一退の値動きに終始した。国内では来週から企業決算の本格化を控えていることもあり動きづらさにつながった。後場からは、中国恒大物業集団の問題がより深刻化してきたほか、止まらない原油高によるインフレ圧力への懸念、25-27日の日本郵政株売却に伴う換金売りが出始め下げ幅を広げる展開になった。また、海外短期筋による先物への売りも膨らんだ。結局、546円安の2万8708円と3日ぶりに反落して終了した。10月第2週の海外投資家は4788億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。個人投資家は1605億円の売り越しで、3週ぶりとなった。信託銀行は2569億円の売り越しで、7週連続となった。

 

東京外国為替市場:日経平均株価の下落幅拡大でドル売り

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、114.30円台を中心とした狭いレンジの取引が続いた。仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが需給に大きな偏りは見られなかった。午後に入ると、日経平均株価が大幅安を眺めて下値を模索する展開になり、114円を割り込んで一時113.95円付近まで下落した。このところ急ピッチの上昇が続いているため、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いは入りやすい面もあった。ただ、19日に付けた113.88円が下値目処として意識されると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、114.05円付近へ持ち直し展開になった。ユーロ/ドルは、ユーロ/円の下げに連れ安となり、1.1650ドル付近へ値を下げた。

 

本邦の貿易赤字の拡大は円安のつながりやすい

ガソリン価格の高騰は、緊急事態宣言の解除に伴う消費の回復期待に冷や水を浴びせかねない。財務省が20日発表した9月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸入総額は前年同月比38.6%増の7兆4640億円と、同月としては過去最高を更新した。原油をはじめとする資源価格の高騰が総額を押し上げた。最近の円安進行も輸入価格の上昇を招いており、家計や企業への影響はさらに広がる。輸入額のうち、原油は6547億円と90.6%の大幅増となった。このほか、石炭や鉄鉱石、木材は2倍超に膨らみ、輸入の急増で貿易収支は6228億円の赤字に陥った。貿易赤字の拡大は円安につながりやすい。

 

原油に追加的な上昇余地:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスは20日付リポートで『世界的なエネルギー危機の中で、我々は、特に原油と銅の価格において、短期的には追加的な商品上昇の余地があるとみている』と指摘した。ブレント原油価格の目標値である1バレル90ドルを上回るリスクがあるとみており、『このエネルギー価格の更なる上昇スパイラルが年末までに米国およびユーロ圏のインフレをさらに押し上げることを予想しており、特に予想よりも寒い冬の場合には、成長の穏やかな足かせとなる可能性がある』との見解を示した。エネルギー価格の高騰を受けて、原油動向に敏感な通過のパフォーマンスが他の通貨を上回っており、更なる原油高を見越し、ロシアルーブルとカナダドルの買いを推奨している。中東・北アフリカ地域のペッグもしくはセミペッグ通貨が米ドルの変動から隔離された状態にあり、エジプトに12ヵ月先に15%上昇する可能性があるとみており、原油エクスポージャーに対して中東・北アフリカ諸国の株式は良好なヘッジ資産になると考えられる』との見方を示した。

 

トルコ中銀の政策金利発表に注目:追加利下げは確実視

日本時間20時にトルコ中銀が発表する政策金利と声明が注目となる。前回9月の会合では、市場を失望させた予想外の100ベーシスポイント(bp)利下げを実施し、声明でもフォワードガイダンス『強いディスインフレ効果を維持するため、政策金利はインフレ率を絶えず上回る水準で決められる』を削除した。カブジュオール・トルコ中銀総裁は利下げの正当性を声高に叫び続け、金融政策委員会(MPC)はエルドアン大統領の息のかかった委員が増加するなか、今回の会合では追加利下げが確実視されている。ただ、下げ幅について、アナリスト予想では50bpと100bpで拮抗している。中銀声明では、今後のインフレ動向への見解がポイントとなる。前回声明では、最近のインフレ率上昇は『transitory factors(一過性のもの)』と述べていた。ただ、上昇要因としていたのが、石油を含む輸入品の価格上昇、供給のボトルネックなど世界的に問題となっていることであり、トルコだけでどうにかなるものではない。中銀が先行きのインフレについて楽観的な見方を続けるようであれば、リラ売りが再燃する可能性は十分にある。逆に、声明に現状が反映されたインフレ懸念が盛り込まれれば、(政治圧力で金融引き締めは難しいにしても)緩和ペース鈍化への期待が高まるかもしれない。

 

南アフリカはスタグフレーションに陥る懸念

昨日発表された9月の南ア消費者物価指数(CPI)は前年比で+5.0%となり、5カ月連続で南ア準備銀行(SARB)の目標中心値(4.5%)を上回った。原油高騰の影響で、南ア国内のガソリン価格は昨年9月が1リットル15.18ランドだったものが、先月は過去最高となる18.34ランドまで上昇している。これにより輸送が10.1%上昇したほか、レストランやホテル価格なども上昇した。5.0%という結果は市場予想に沿ったものでしたが、南ア自動車協会が更なるガソリンの上昇を予測しているように、今後もインフレ高進の可能性が高まっている。現時点ではランドはエネルギー価格高で、非鉄金属などの生産停止によるコモディティ価格の上昇により底堅い動きを見せている。しかし、中長期的に見てインフレ下の経済停滞で、スタグフレーションに陥ることが懸念される。

 

メキシコでの憲法改正の先行きについては不透明感強い

メキシコでは電力市場や資源開発で国家の権限を強化する憲法改正案を巡って、ロペスオブラドール政権が内外から非難を浴びているが、政府は12月にも下院で憲法改正案の投票を行いたい意向のようである。もっとも、憲法改正のためには国会議員の3分の2以上の賛成票が必要となるが、現与党連合は3分の2以上の議席を保持していないため、同法案の先行きについては不透明感も根強く残っている。

 

米30年物住宅ローン金利が半年ぶりに高水準

米抵当銀行協会は20日、10月15日までの週の30年物住宅ローン平均金利が3.23%と、前の週の3.18%から上昇したと発表した。4月上旬以来、約半年ぶりの高水準となる。各国中銀が新型コロナウイルス禍で実施した緩和政策を縮小するとの見方から金利が世界的に上昇し続けていることが背景にある。7月末からは0.25%ポイント以上上昇している。金利上昇を受け、米住宅ローン申請指数は6.3%低下し7月以来の低水準となった。借り換え向けローン申請指数は4.9%低下した。9月上旬以来の低水準となった。

 

欧米市場のイベント

○15:45   10月仏企業景況感指数(予想:110)
○16:30   9月スウェーデン失業率
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:17.50%に引き下げと17.00%に引き下げで拮抗)
○21:30   10月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:25.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:30.0万件/255.0万人)
○22:00   ウォーラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:00   9月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.4%)
○23:00   9月米中古住宅販売件数(予想:前月比3.6%/年率換算609万件)
○23:00   10月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲5.0)
○22日04:00   ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、パネルディスカッションに参加
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、22日まで)

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