FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:値がさハイテク株を中心に買いが先行

前日の米国株式市場でナスダックが上昇した流れを引き継ぎ、値がさハイテク株を中心に買いが先行した。香港ハンセン指数や上海総合指数などのアジア株が底堅く推移したことも支えとなった。また、高値を付けた局面では、ソフトバンクグループなどの日経平均の指数寄与度の高い銘柄が後場上げ幅を拡大したことも支えとなった。上げ幅は200円を超える場面があった。半面、外国為替市場では円安・ドル高の流れが一服し、輸出関連株の一角に売りが出た。結局、前営業日比190円高の2万9215円で終了した。

 

東京外国為替市場:114円前半でのレンジによるもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸出勢などからドル売り・円買いが持ち込まれ、114.08円付近まで下落した。米長期金利が低下したことも、ドルの押し下げにつながった。ただ、前日につけた114.20円が下値の目処として意識されると、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、114.20円付近へ値を切り返した。午後に入ると、114.10円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。今晩のFRB要人による講演を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、米長期金利の低下を眺めたユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.16ドル台前半から1.16ドル台半ばへ水準を切り上げた。英中銀の早期利上げ観測を手掛かりとしたポンド高・ドル安が波及した面もあった。

 

顧客が米国株を2週ぶり売り越し:BofAセキュリティーズ

19日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は11~15日の1週間に米国株を19億7400万ドル売り越した。2週ぶりの売り越しとなる。この週は米決算シーズンが始まり好業績が相次ぐ中、S&P500指数が1.82%高となって2週連続で上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が8億7700万ドルの売り越しで、3週ぶりの売り越しとなった。機関投資家は27億8100万ドルの大幅売り越しで、3週連続の売り越しだった。個人投資家は4億2000万ドルの買い越しで4週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは12億6500万ドルで4週移動平均(16億4900万ドル)を下回って3週連続で低調だった。傾向としては機関投資家の売り越しが続き、米決算シーズンで好調な相場展開にも関わらずヘッジファンドも売りに転じていた。同社によれば、節税対策のいわゆる『タックス・ロス・セイリング』(TLC)が10月31日の期限を前に続く可能性があり、最近の機関投資家の売りは過去の傾向と一致している。機関投資家のTLCが10月にピークを迎えるとみられる一方、個人投資家のTLCは12月31日の期限を前に12月にピークを迎えるとのことである。

 

改革との綱引きにより低成長時代入りする中国経済

中国経済は新型コロナウイルス禍からの回復がバックミラーに遠ざかり、長期的な低成長局面に差し掛かっている。当局が長期的な視野で野心的な改革の断行を目指す中、政策を巡る不確実性も高まっている。中国国家統計局が18日公表した7-9月期(第3四半期)国内総生産(GDP)は前年同期比4.9%増にとどまり、予想に届かなかった。さえない成長率は、中国経済が直面する一連の逆風を浮き彫りにする。具体的には、不動産業界を冷え込ませた規制強化、全国的な電力不足、消費の足かせとなっている根強いコロナ懸念などである。前年同期との比較によるベース効果がはがれ落ちる中、7-9月の成長率が1-3月や4-6月から失速することは想定されていた。だが、中国経済は足元、今年早い段階では予測できなかった数々の困難に直面しており、10-12月は成長がさらに下押しされかねない。

 

英国ではコロナ感染再拡大:7月半ば以来最多

英国で新型コロナウイルス感染が再拡大している。1日当たりの新規感染者数は18日に4万9156人と、コロナ規制が全面的に解除される数日前に当たる7月17日以来の最多を記録した。英国の感染者数は先月60%超急増し、現時点で他の西欧諸国を大幅に上回っている。英国では7月19日から、屋内でのマスク着用義務、バーやレストランの人数制限、集会の人数制限などが撤廃された。感染者数は先月に新学期が始まって以降、着実に増加しており、成人の感染が減少する半面、子どもの感染が増えているという。

 

トルコリラの重石となる材料

エルドアン・トルコ大統領が中銀・金融政策委員会(MPC)の人事に介入し、トルコ中銀の独立性に対する信用が失墜するなかでリラを手放す動きが止まらない。自らを『金利の敵』と呼ぶエルドアン大統領の意向を十分に汲み取ったMPCが、21日会合で追加利下げに踏み切ることは確実視されている。利下げ幅も前回と同様に100ベーシスポイントを予想する向きが増えてきた。実質金利マイナス幅が更に拡大するのであれば、その国の通貨の買いづらさは続いてしまう。また、北大西洋条約機構(NATO)とロシアの関係がこれまで以上に悪化してきた。トルコはNATOに加盟しているが、ロシア製の地対空ミサイルを購入するなど微妙な立ち位置にいる。このままだと、NATO同盟国がトルコの露製ミサイル配備計画への反対姿勢を今まで以上に強めることになる。もし、その流れで欧米による対トルコ制裁が現実味を帯びるようであれば、当然ながら通貨リラの重石となる。

 

南アの20日のCPIに注目:南ア準備銀行のかじ取りが注目

南アでも高騰するエネルギー価格が懸念されている。昨日、南ア自動車協会が年末にかけて更なるガソリン価格の上昇の可能性を示唆した。明日20日に南アの消費者物価指数(CPI)が発表されるが、南アもインフレ高進になる可能性があり、今後の南ア準備銀行(SARB)の舵取りが注目される。

 

メキシコの注目は22日の10月前半CPI:追加利上げ期待

メキシコ国内での注目材料は22日発表の10月前半メキシコ消費者物価指数(CPI)である。市場予想は前年比6.10%の上昇と9月後半の6.13%からわずかにインフレ鈍化が見込まれているが、依然としてメキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(3.0%±1.0%)上限を大きく上回る状況が続いており、市場では中銀の追加利上げ期待も高まりつつある。先週に公表された前回(9月30日)の金融政策決定会合議事要旨でも政策メンバーの短期的なインフレ警戒姿勢が示されており、こうした認識を裏付ける結果となるか注目される。

 

米住宅建設業のセンチメント改善も慎重姿勢崩さず

全米住宅産業協会(NAHB)が発表した10月NAHB住宅市場指数は80と、9月76から低下予想に反して上昇し7月来で最高となった。強い需要がサプライチェーンの混乱を相殺し建設業者のセンチメンは予想外に改善した。パンデミックの影響で、昨年4月、5月は50を下回り建設業者の悲観的見方が台頭したが、その後は強い需要の反動で17カ月連続で楽観的見通しを示す50以上の水準で推移した。 現在の建設業者の懸念は、値ごろ感、土地や材料、人件費の上昇などに加え、2022年には住宅ローン金利の上昇が確実視されつつある。NAHBは2022年末までに、30年物住宅固定金利が現行の3%前後から4%まで上昇すると予想している。

 

欧米市場イベント

○18:00   8月ユーロ圏建設支出
○18:15   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○19:00   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00   パネッタECB専務理事、講演
○21:05   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:30   9月米住宅着工件数(予想:162.0万件、前月比0.3%)
         建設許可件数(予想:168.0万件、前月比▲2.4%)
○22:00   ピル英中銀MPC委員、講演
○23:00   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○24:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、あいさつ
○20日01:15   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○20日03:50   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○20日04:00   ウォーラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○インド(イスラム教モハメッド生誕日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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