FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は利益確定売りと戻り待ち売りが優勢

前週末の米国株式上昇を手がかりに優勢となる場面があったものの、NYダウ先物が軟化したほか、中国の国内総生産(GDP)の伸び鈍化などが重石となった。物色面では為替市場でドル/円が114円台まで円安に振れたことから自動車株が堅調となったほか原油上昇を背景にエネルギー関連株が買われた。ただ、最近の東京市場の相場の戻りが急だったため、利益確定や戻り待ち売りが優勢になった。内需・ディフェンシブ株を中心に売りが目立ち、下げ幅は一時100円を超えた。しかし、2万9000円を下回る水準では買いも入り、下値は堅かった。結局、前営業日比43円安の2万9025円と3営業日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇がドルの下支え

ドル/円は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、114.02円付近まで下落した。7-9月期中国国内総生産(GDP)が予想を下回ったことも、リスク回避の円買いを誘った。ただ、下値では日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、114.15円付近へ値を切り返した。午後に入ると、米長期金利上昇に支えられてドル買い・円売りが進み、114.45円付近までじり高となった。だが、15日の海外市場でつけたおよそ3年ぶりの高値114.47円に接近すると上げは一服した。その後は、日経平均株価やアジア主要株価指数を眺めながら、小幅に値を下げて114.30円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇を眺めたドル買いが優勢になり、一時1.1578ドル付近まで値を下げた。

 

中国恒大集団は元建て社債の利払い実施へ:国内債権者の優先鮮明

経営危機に陥っている中国不動産開発大手・中国恒大集団は15日、19日に期日を迎える人民元建て社債の利払いを実施すると発表した。同社は資金繰り難が深刻化した先月下旬にも元建て社債の利払いを行っており、国内債権者を優先する姿勢が鮮明になった。一方、恒大は先月下旬以降にドル建て社債の利払いを3回にわたって見送っており、未払い額は計2億7900万ドル(約320億円)に達する。期日から30日以内に利払いができなければデフォルト(債務不履行)となる。

 

次の中国規制当局はネット証券会社への規制か

中国規制当局による締め付け強化は、中国版ロビンフッドのようなネット証券会社が扱う株式売買をすでに鈍らせている。ここにきて、さらにデータセキュリティーという新たな問題が立ちはだかってきた。ただでさえ厳しい状況に置かれている中で、クロスボーダー投資に関して既存規定の執行がさらに厳格化されれば、これらネット証券会社にとっては事業存続の危機に陥りかねない。

 

英国では高まるインフレリスク:20日の9月の消費者物価指数に注目

前年同月比で3.2%の上昇と、9年5カ月ぶりの高い伸び率となった前月に続き、欧州連合(EU)離脱によるサプライチェーン(供給網)のボトルネックがインフレを加速させるリスクに関心が集まっている。英イングランド銀行(中央銀行)はインフレの伸び率が10~12月期に前年同期比で4%を上回るとの見通しを示している。政策目標(2%)の2倍の伸びとなる中で、英中銀が政策金利(現在は0.1%)の引き上げに向け、11月4日の金融政策会合で何らかの手を打つとの見方が市場で広がっている。

 

トルコ中銀の金融政策決定会合の結果待ち:どの程度利下げするか注目

今週は市場が注目するトルコ中銀・金融政策決定会合が21日に開かれるため、リラ/円は、週半ばまでは会合結果への思惑で上下することになる。金利の敵と自らを呼ぶエルドアン大統領の息のかかったメンバーが金融政策委員会(MPC)の多数を占めるなか、市場の注目は『利下げするかどうか』ではなく、『どの程度まで政策金利を引き下げるか』にシフトしている。先月のサプライズ利下げ(政策金利19%から18%に)からリラ売りが強まったにもかかわらず、カブジュオール中銀総裁は金利変更とリラ下落は無関係と言い続け、緩和の正当性を訴え続けている。そういったなかエルドアン・トルコ大統領は先週、2人の中銀副総裁を含む3人のMPC委員を解任し、新たに副総裁とMPC委員を1人ずつ任命した。あまりにも強引と言える人事介入に市場参加者の不安は一気に広まり、リラは対ドルで過去最安値を更新し続け、対円でも昨年11月につけた最安値が完全に視野に入ってきた。一方、リラの支えとなりそうなのは8月トルコ鉱工業生産が前月比で予想のプラス幅を上回るなど、足もとでは良好な経済指標も見られる。国際通貨基金(IMF)は先週、今年のトルコ成長率見込みを9%とし、7月予測5.8%から大幅に上方修正した。

 

8月の落ち込み南ア経済の深刻さを示している

先週発表された8月の小売売上高が7月に続き前年比でマイナスとなった。7月は暴動の影響でマイナスとなったが、8月の落ち込みは南ア経済の深刻さを示している。今週は20日に発表される9月消費者物価指数(CPI)に注目したい。再び南ア準備銀行(SARB)の目標中心値4.5%を上回る可能性もある。上述のように小売りが落ち込んでいる状況下で、原油高騰などもありインフレが更に上伸すれば、インフレ下の経済停滞=スタグフレーションの道を辿る可能性を高める。

 

米財務省の『為替報告書』の見解に注目

毎年10月中旬に議会へ提出される米財務省の『為替報告書』では、米国と中国や日本との貿易不均衡が拡大していることで、財務省の見解に要注目となる。4月の為替報告書では、制裁対象となる『為替操作国』の認定はゼロだったが、中国や日本など11カ国を通貨政策への警戒が必要な『監視国』としている。1-8月期の対中貿易赤字は2189億ドルで昨年同時期の1926億ドルから拡大した。対日貿易赤字も428億ドルで昨年同時期の320億ドルから拡大している。中国の1-9月の対米貿易黒字は2800億ドルに拡大している。

 

米FRB正副議長の人事に注目

発表時期は未定だが、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利予測分布図で、2022年の利上げを予想したタカ派は18名中9名だった。しかし、タカ派のローゼングレン米ボストン連銀総裁とカプラン米ダラス連銀総裁は、倫理規定違反で辞任を表明した。クラリダFRB副議長も倫理規定違反が取り沙汰されている。タカ派のクォールズFRB副議長も13日に任期満了を迎えた。パウエルFRB議長は、監督責任により2期目の上院での承認が危ぶまれている。バイデン米大統領が2期目続投を容認するのか、それとも、ハト派の急先鋒であるブレイナードFRB理事が指名されるのか注目されている。

 

欧米市場イベント

○18:30   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○21:15   9月カナダ住宅着工件数(予想:25.50万件)
○21:30   8月対カナダ証券投資
○22:15   9月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%)
         設備稼働率(予想:76.5%)
○23:00   10月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:76)
○23:30   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○19日03:15   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○19日05:00   8月対米証券投資動向

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