FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:テクニカル面の改善で買い戻す動きが活発化

前日の米国株式市場が大幅上昇したことを好感、幅広く物色され戻り相場に弾みを加えている。テクニカル面では、日経平均が前日に終値で75日移動平均線を上回ったほか、前引け段階で強力な戻りの節目となっている200日移動平均線を超え、テクニカル面の改善が顕著になったことで、買い戻す動きが活発化した。また、TSMCの工場建設に政府が支援する方向となったことが、岸田政権による成長につながる具体的な施策として市場で認知され、政権が分配政策に傾斜するとの不安を後退させたことも好感された。結局、前営業日比517円高の2万9068円で終了した。9月30日以来、約2週間ぶりの高値となった。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売り強まる

ドル/円は、本日が週末を控えての五・十日にあたることで、本邦輸入勢などのドル買い需要が旺盛だったこともあり、本邦勢もオセアニア市場の時間帯からドルを買い進む動きが見られ、113.93円付近まで上昇した。日経平均株価が堅調推移したことも、ドル買い・売りを誘った。仲値発表後は、本邦輸入企業などのドル買い需要が一巡したことで、ポジション調整などのドル売り・円買いに押され113.80円台へ上げ幅を縮める場面も見られた。しかし、日経平均株価が400円を超える上げ幅となったことで再びドル買い・円売りとなり113.95円まで上値を伸ばした。午後も堅調地合いが続いた。日経平均株価の上げ幅が500円を超えたことに加え、NY原油先物が堅調なこと、NYダウ先物も大幅高となっていることなどがドルを下支えし114円台の大台を突破し、114.16円と2018年11月以来の高値を更新した。ユーロ/ドルは、1.16ドル台前半で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ中銀が独立性を失ったことでリラの下値への警戒感が強い

トルコ中銀が来週の金融政策決定会合で大幅な追加利下げをするとの思惑が高まるなか、本日のリラ/円も下値への警戒感が強まったままとなる。エルドアン大統領に解任された2名の中銀副総裁を含む3名のMPC委員は金融政策に精通しているとされ、緩和に反対していたとも報じられている。新たに任命された副総裁とMPC委員の力量は定かではないが、金利引き下げを望む大統領に従順であることは確かである。 エルドアン大統領との二者会談で首が繋がったカブジュオール中銀総裁は、9月の利下げの正当性を訴え続けており、またリラ安は金融緩和と関係ないとも述べている。政治圧力に完全に屈したトルコ中銀は独立性を失ったと言え、その国の通貨を保持し続けることへの懸念は益々広がってしまう。

 

プラチナ価格の上昇が南アランドの下支え

コモディティ相場が全般に強含むなか、昨日は南アが世界一の産出量を誇るプラチナの価格も上昇してランドの支えとなった。このコモディティの上昇トレンドが当面続くようであればランドの下値も限られ、当面は南アのネガティブ材料に対する反応は鈍いままとなる。なお、国営電力会社・エスコムによる電力負荷制限が昨日でいったんは終了したが、新たな計画停電が再び予定されていると報じられている。

 

メキシコ大統領は憲法改正案に伴う詳細を発表:内外から批判必至か

メキシコ政府が電力市場や資源開発で国家の権限を強化する憲法改正案を議会に提出した。ロペスオブラドール大統領は11日に憲法改正案に伴う詳細を発表した。大統領が提示した計画詳細によると、憲法改正によって34の民間発電所が電力を販売する契約を取り消されて閉鎖されるほか、企業向けに電力を販売する239の民間プラントが『違法』扱いになるとのこと。また、民間企業が現在結んでいるクリーンエネルギー優先の長期供給契約なども多くがキャンセルされるとしている。
ロシオ・ナーレ・エネルギー相は憲法改正案によって民間企業が電力事業の46%を保障されることを殊更強調していたが(54%は国営メキシコ電力公社が担当)、計画の詳細が明らかになったことで内外からの批判が強まることは必至である。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の関係などもあり、米国の反応も注目される。

 

米国の雇用のさらなる改善はFRBの金融緩和解除を正当化

米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数は前週比3.6万件減の29.3万件となった。前週から予想以上に減少し、パンデミックにより経済が封鎖した昨年3月来の30万件割れとなった。失業保険継続受給者数も259.3万人と、前回272.7万人から予想以上に減少しやはり昨年3月来で最小となった。 政府のパンデミック救済策の一環の失業者特別支援策が全州で9月6日付で終了したため、多くが労働市場に復帰したと考えられる。政府の失業者優遇措置の総受給者数は前年同月の2500万人から400万人以下まで減少した。同時に、430万人が退任、離職した。長期失業者が引き続き減少しないことはリスクになる。労働市場参加者が増えれば、雇用環境が一段と改善した。経済が米連邦準備制度理事会(FRB)の目標である最大雇用に向けて一段と前進することになる。同時にパンデミック対応の緊急金融刺激策解消の環境も整う。

 

利上げ判断には時間が必要:米リッチモンド連銀総裁

米リッチモンド地区連銀のパーキン総裁は14日、米連邦準備理事会(FRB)はテーパリングを『円滑に』開始するための道筋を確保したが、利上げが適切かどうかを判断するにはまだ時間がかかるとの認識を示した。講演で、足元のインフレ水準が持続されるかどうかや最大雇用を達成するまでに労働市場にどれだけの雇用が必要なのかなどについて多くの情報が必要だとした上で、『新型コロナウイルスの感染が期待通りに緩和すれば、これらの質問に対する答えが明確になる』と述べた。

 

米国市場では9月小売売上高が公表:予想は前月比-0.2%

8月実績は、前月比+0.7%で予想に反して増加した。オンライン販売が増加したことや、家具類の売上が大きく伸びたことが要因だった。政府から児童税額控除の支給が売上増加につながった可能性がある。9月については、オンライン販売は8月に増加した反動で9月は伸び悩む可能性があること、自動車販売は引き続きさえない状態が続いていることから、前月比マイナスとなる可能性がある。

 

米国市場では10月ミシガン大学消費者信頼感指数が公表:予想は73.5

9月実績は72.8で速報値71.0から上方修正された。ただし、消費者の多くはインフレ率の高止まりを警戒しており、景気の先行きについて慎重な見方を持っていることが確認された。10月については、9月時点の期待指数が上昇していることから、9月実績を上回る可能性があるが、大幅な改善は期待できない。

 

欧米イベント

○15:45   9月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.2%/前年比2.1%)
○18:00   8月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前161億ユーロの黒字/季節調整済142億ユーロの黒字)
○21:30   8月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.5%)
○21:30   10月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:27.0)
○21:30   9月米小売売上高(予想:前月比▲0.2%/自動車を除く前月比0.5%)
○21:30   9月米輸入物価指数(予想:前月比0.6%)
○23:00   8月米企業在庫(予想:前月比0.6%)
○23:00   10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:73.1)
○16日00:45   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○16日01:20   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会(ハイブリッド形式、ワシントンDC、17日まで)
○インド(ヒンドゥー教ダシェラ祭)、休場

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