FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:上昇後は戻り売りに押される展開

米民主・共和両党が連邦債務上限引き上げで合意して米国のデフォルト(債務不履行)が回避されるとの楽観的な見方が広がり、米国株式市場で、主要3株価指数が上昇した。日経平均株価は自立反発狙いの買いが先行したほか、米国株高を好感した買いが入った。前日までの8日間で2700円超下げていたこともあり、一時上げ幅は450円を超える場面があった。しかし、2万8000円を上回った後は戻り売りに押され、午後は伸び悩む展開だった。結局、前営業日比149円高の2万7678円と9日ぶりに反発して終了した。9月5週(27日~1日)の投資部門別株式売買動向で、海外投資家は4889億円売り越しととなり、売り越しは3週連続となった。一方、個人投資家は5516億円の買い越しで、買い越しは6週間ぶりとなった。また、信託銀行は3475億円の売り越しとなり、売り越しは5週連続だった。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢のドル買いで持ち直し

ドル/円は、短期筋などのドル売り・円買いが先行し、111.32円付近まで下落した。しかし、前日の海外市場でつけた安値111.17円が視界に入ると下げは一服した。その後は本邦輸入勢のドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、111.50円付近へじり高となった。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドル買いにつながった。午後は、日経平均株価の下げ幅縮小を睨みながら、111.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。今夜の米国株買い動向や米経済指標を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、欧米タイムで予定されているECB当局者の講演やECB理事会議事要旨の公表を控えて上下に動きにくく、1.15ドル台半ばでもみ合い相場となった。

 

中国不動産会社が花様年がデフォルト:ドル建て債返済できず

中国不動産大手の花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)が4日に返済期限を迎えたドル建て社債を償還できず、格付け会社から債務不履行(デフォルト)と認定された。中国恒大集団以外の不動産会社にも信用不安が波及してきた。花様年は広東省深圳市を拠点に、中国の主要都市で住宅や商業施設などの不動産開発を手掛ける。香港メディアによると、江沢民(ジアン・ズォーミン)元国家主席の最側近である曽慶紅元国家副主席の親族が創業した。香港市場に上場する中国恒大と傘下の不動産管理会社、恒大物業集団の株式は6日も取引停止が続いた。同業の合生創展集団が恒大物業を買収すると報じられたが、正式には発表されていない。恒大は9月23日と29日に米ドル債の利払いを見送り、30日間の猶予期間に入った。恒大は保証するドル建て社債を償還できなかったとの報道もあり、デフォルトの懸念が高まっている。

 

トルコのコロナウイルスの新規感染者が再拡大

トルコ中銀が金融緩和に舵を切ったなかで積極的なリラ買い戻しとはなり難いが、若干の調整があるかもしれない。ただ、懸念材料の1つは、トルコで新型コロナウイルスの感染が拡大していることである。保健当局はワクチン接種の良好な進捗状況を声高に叫んでいるが、1日あたりの新規感染者数は約6カ月ぶりの水準となる3万人に迫っている。今のところトルコ政府は、行動制限を再び強化するつもりはないとしている。しかし今後、感染の広がりが加速するようであれば、年末にかけて経済活動が停滞する可能性は捨てきれない。

 

南アでは本日ストライキを実施:デモから暴動への発展リスクに注意

南ア国内情勢として注目したいのは、本日南アフリカ労働組合連合(Cosatu)がストライキを行うことである。Cosatuは労働者に対して、出勤をせず家に留まるように呼び掛けている。南アでは4カ月続けて南ア準備銀行(SARB)の目標水準中心値を上回るインフレ水準を記録しているが、原油価格が高騰していることで、今後もインフレが懸念されている。その状況下でも高失業率ということもあり、賃金が上昇していないことが問題視されている。以前のように労働組合による賃上げを求める行進などは行われないことで、7月のようなデモから暴動へ発展することはないと思われるが、念のため注意を払っておきたい。

 

米債務上限の2ヵ月間延長案を共和党が提示:民主党が受け入れるか

米共和党の上院トップ、マコネル院内総務は6日、12月まで連邦政府の債務上限を一時延長する案を表明した。12月までの支出を賄える範囲で債務上限を暫定的に延ばす内容である。共和党は約2カ月の猶予を許す一方、その間に与党民主党の単独で債務上限を本格的に引き上げる措置を講じるべきだと主張した。マコネル氏は6日の声明で 『民主党が通常の手続きで12月まで現行の支出レベルをカバーするための固定金額での債務上限延長を可決することを認める』と述べた。
民主党からみれば単純な上限凍結ではなく、一時的な延長分とその後の本格的な措置で2回、債務上限を単独で引き上げる責任が生じかねない。受け入れに前向きな声も漏れるが、決着まで予断を許さない。民主党が受け入れれば、18日にも政府資金が尽きて米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る危機はひとまず回避できる見通しとなる。

 

週末の米9月雇用統計:11月FOMCでのテーパリング開始織り込む

米国の労働省はワシントンで8日に最新9月雇用統計を発表する。先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の9月分は前月比56.8万人増となった。伸びが8月34万人増から拡大し6月来で最大となった。このため、強い結果が期待される。また製造業の雇用も改善した。全米の製造業活動の状況を示すISM製造業景況指数9月分の雇用は50.2と、8月に活動の縮小となる50割れとなったのち、再び活動拡大を示す50を回復した。ISM非製造業景況指数の雇用は8月から小幅低下も、50台を維持した。新型コロナウィルスの変異株流行がピークを付け、経済活動の再開が進んだこと、さらに政府が実施していたパンデミック救済策の一環、失業保険特別支給が失効したことで労働参加者も増えたことが要因と見られる。また、9月に入り、学校が再開したことも奏功した。ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーは平均予想を上回る60万人近くの伸びを予想している。

◇市場エコノミスト予想失業率:5.1%(8月5.2%)非農業部門雇用者数:前月比+50万人(+23.5万人)民間部門雇用者数:前月比+45万人(+24,3万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+4.6%(+0.6%、+4.3%)

 

欧米市場イベント

○14:45   9月スイス失業率(季節調整前、予想:2.7%)
○15:00   8月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.4%/前年同月比5.0%)
○15:45   8月仏貿易収支
○15:45   8月仏経常収支
○17:30   エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○20:00   9月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.60%)
○20:30   ECB理事会議事要旨(9月9日分)
○20:30   9月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:34.8万件/278.0万人)
○22:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○23:00   9月カナダIvey購買部協会景気指数
○8日00:45   メスター米クリーブランド連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○8日01:00   マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○8日04:00   8月米消費者信用残高(予想:175億ドル)
○中国(国慶節)、休場

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