FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:半導体関連銘柄やグロース株中心に売りが膨らむ

日経平均株価は、米国株の大幅安を嫌気され朝方から安く始まった後も、下げ幅を拡大して一時900円超安となった。米国債利回りが上昇する中、主要ハイテク株やグロース株を中心に売りが出た。また、連邦債務上限が引き上げらず、米国がデフォルト(債務不履行)に陥るとの懸念が払しょくされていないことも重石になった。東京市場でも半導体関連などグロース株を中心に売りが強まった。インフレ懸念の高まりなどリスク要因が重なったことで、持ち高調整の売りも出た。結局、前営業日比622円安の2万7822円となり7日続落して終了した。8月30日以来およそ1ヵ月ぶりの安値となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利の上昇を眺めドル買戻し

ドル/円は、日経平均株価が節目の2万8000円を割り込んで下げ幅を拡大すると、リスク回避のドル売り・円買いが強まり110.87円付近まで下落した。しかし、前日の海外市場でつけた安値110.82円が意識され、追随する動きは見られなかった。その後、短期筋などからショートカバーが持ち込まれ、111.10円付近へ上昇した。米長期金利が上昇したことも、ドル買戻しにつながった。午後に入っても堅調地合いが続き、日経平均株価が下げ幅を縮小すると、さらにドル買・円売りが進んで111.22円付近まで値を上げた。ユーロ/ドルは、米長期金利上昇を眺めたユーロ売り・ドル買いに押され、1.16ドル台を割り込んで1.1590ドル付近へ下落した。

 

顧客が米国株を4週ぶり売り越し=BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの5日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は9月27日~10月1日の1週間に米国株を9億4100万ドル売り越した。4週ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は米製薬大手メルクが1日、開発する新型コロナウイルスの経口薬の臨床試験(治験)で入院と死亡のリスクを50%減少させることが確認されたと発表したことでリオープン・トレードの動きが週末に活発になったが、S&P500指数が2.2%安で2週ぶりに大幅反落した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が14億7400万どるの売り越しで、2週ぶりの売り越しだった。機関投資家は15億8200万ドルの売り越しで、4週ぶりに売り越しに転じた。個人投資家は8億1200万ドルの買い越しで、2週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは13億300万ドルで低調だった。傾向としては機関投資家とHFが売り越しに転じたほか、大型株の売りが目立った。企業の自社株買いが決算期前でブラックアウト期間に入ったことも影響した。

 

米国株の危険な10月

10月は、過去100年間で陰線は40回に過ぎない。しかし、下落率トップ15に内、1929年の暗黒の木曜日や1987年のブラックマンデーなど8回が起きており、米国株にとっては危険な季節になっている。暴落的な動きになる理由としては、個人所得の申告を控えて、配当の支払いなどを完了させるため、投資信託の決算期末が10月に集中していることや、ヘッジファンドの決算月となっていることがあげられる。

NYダウ下落率トップ15の内8回が10月に起きている。

第1位1987年10月19日(▲22.61%)ブラックマンデー、第2位1929年10月28日(▲13.4%)暗黒の木曜日、第4位1929年10月29日(▲11.7%)、第5位1931年10月5日(▲10.7%)、第8位1987円10月26日(▲8.04%)、第9位2008年10月15日(▲7.87%)、12位2008年10月9日(▲7.33%)、第13位1997年10月27日(▲7.18%)の8回

もし、NYダウが1日で7%下落すると、4日終値34002.92ドルとして約2,380ドルの下落となる。

 

トルコ中銀による利下げの可能性は高いまま

注目されていた9月トルコCPIは前年比19.58%と2019年3月以来の水準を記録した。食品・非アルコール飲料価格の上昇率が28.79%となり、これまでと同じく物価の伸びをけん引している。食品価格の高騰を抑えようと、エルドアン・トルコ大統領は全国に約500ある農業協同組合に小売店舗を開かせ、そこで適正な価格の農産物を売るよう命じたと報じられた。ただし、23年の総選挙に向けたパフォーマンスとの見方も多く、その実効性や有効性に懐疑的な声も多いようである。トルコ中銀が先月から金融政策を決定するうえで重要視し始めたコアインフレ率は、9月CPIコアは前年比で16.98%(前回16.76%)となった。ただ、夏前と比較すると上昇率は鈍化しており、政策金利18%も下回っていることから、次回会合での追加利下げの可能性は高まったままと言える。

 

プラチナ価格の急落で南アランドも連れ安

南アが世界最大の産出量を誇るプラチナ価格が急落する過程で南アランド/円は弱含みとなった。もっとも、昨日は原油先物価格が2014年以来の水準まで急騰していることで、インフレ傾向にある南ア経済に今後大きな影響を与えそうなこと、中国恒大集団の問題、米債務上限の交渉行き詰まりなど、今後ランド/円相場にも影響を大きく与えそうな動向に注意を払う必要がある。

 

米国の高インフレの長期化に懸念浮上

石油輸出国機構(OPEC)プラス委員会は日量40万バレルの供給拡大計画を維持することで合意した。さらに、2022年度の需要見通しを引き上げ。緩やかな増産計画を維持し、大幅増産を見送った。NY原油先物相場は4日、78ドル台に達し、2014年以降7年ぶりの高値を更新。さらに、最近の天然ガスの価格の上昇で、一部の投資家が追加証拠金請求に直面しているとの報道もあり、一段の上昇に拍車をかける可能性も警戒される。さらに、サプライチェーン問題が2023年にまで長期化するとの指摘も見られる。そうなった場合、物価高が当面、解消しない可能性もある。パウエル議長は想定以上にサプライチェーン問題が長引いていると認めたが、「物価はいずれ低下する」との予想を修正していない。

 

米インフラ法案と債務上限問題を巡り不安定さが警戒

米ホワイトハウスの公的関与担当上級顧問は3日、バイデン大統領の看板政策であるインフラ投資法案と気候・社会保障関連歳出法案について、与党・民主党は党内の一部穏健派や野党・共和党の反対により規模縮小を迫られ、失望を覚えるのは必至だとの見方を示した。一方で上院民主党トップのシューマー院内総務は、1カ月以内に両法案を成立させることを目標に掲げた。議会はデフォルト(債務不履行)回避に向け債務上限問題にも取り組む必要がある。民主党のペロシ下院議長は、10月31日よりかなり前に採決を行う考えを示している。今週以降はインフラ法案と債務上限問題を巡り、日々のニュースに一喜一憂となる不安定さが警戒される。

 

米国市場では9月ISM非製造業景況指数:予想は59.8

8月実績は61.7だった。仕入れ価格、新規受注、供給業者の納入、雇用はいずれも低下した。9月については、仕入れ価格はさらに低下し、新規受注は伸び悩んでいること、雇用は大きく変わらないと予想されていることから、8月実績を下回る見込みである。

 

欧米市場イベント

○15:45   8月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
○16:50   9月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:56.0)
○16:55   9月独サービス部門PMI改定値(予想:56.0)
○17:00   9月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:56.3)
○17:30   9月英サービス部門PMI改定値(予想:54.6)
○18:00   8月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.3%/前年比13.5%)
○19:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○21:30   8月カナダ貿易収支(予想:4.3億カナダドルの黒字)
○21:30   8月米貿易収支(予想:705億ドルの赤字)
○22:45   9月米サービス部門PMI改定値(予想:54.4)
○22:45   9月米総合PMI改定値
○23:00   9月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:60.0)
○24:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○6日02:15   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、討議に参加
○中国(国慶節)、休場

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