FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:外部リスク見通しの悪い中で手掛かり難

日経平均株価は前週末までに菅首相が自民党総裁選への不出馬を表明して以降の上昇分を消した。日銀による株式ETF買いの観測ななく、中国恒大集団の経営の先行き不安を懸念した売りが引き続き優勢となっている。市場では、新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向が続いており、もう少し上値余地がありそうだが、外部リスクの見通しが悪い中では手掛かり難いとの声もあった。結局、前営業日比326円安の2万8444円と6日続落して約1ヵ月ぶりの安値となった。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢のドル買いで111円台回復

ドル/円は、日経平均株価の大幅安がリスク回避の円買いを誘い、110.89円付近まで下落した。しかし、このところ米FRB当局者によるタカ派的な発言が相次ぎ、日米金融政策スタンスの違いが意識されているため、下値を追う動きは限られた。その後、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、111.10円付近へじり高となった。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの買い戻しにつながった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて111.05円を挟んだもみ合いとなった。今週発表される米ISM非製造業景況感指数や米雇用統計を前に、上下に動きにくくなっている。ユーロ/ドルは、1.1590ドル台を中心とした狭い値幅で取引された。

 

中国恒大の不動産管理部門の過半数株を合生創展が取得へ

流動性危機にある中国の不動産開発会社、中国恒大集団の不動産管理部門である恒大物業の株式51%を合生創展が400億香港ドル(約5700億円)で取得する計画だと、中国メディアが事情に詳しい関係者の話を基に伝えた。合生創展は子会社を通じ中国で不動産の開発、運用、投資や不動産管理を手掛ける。

 

トルコの9月物価指数に注目

日本時間16時に発表される9月トルコ消費者物価指数(CPI)は前月比予想1.35%、前年比予想は19.70%と前回値から上振れが見込まれている。前年比が市場予想に沿った結果となれば2019年4月以来の水準までのインフレ上昇である。トルコ中銀が金融緩和に舵を切った今、インフレ抑制の遅れがこれまで以上に懸念されることになる。 その中銀が金融政策決定の材料とし始めたCPIコア(前年比)にも注目である。こちらは8月の16.76%からやや鈍化が一部で予想されている。結果次第では、次回会合での利下げ幅拡大への思惑に繋がってしまうかもしれない。なお、前回45%台と約3年ぶりの水準まで上昇した生産者物価指数(PPI、前年比)は1%ほど低下する見込みである。ただし、天井感が出たとはまだ言い切れない。

 

南アでは格差の拡大で暴動につながる可能性に注意

先週発表された南アの四半期雇用統計調査では、4-6月期は前期比で8万6千人の非農業部門の雇用減となった。一方で、従業員の総収入は前期比で横ばいだったものの、前年比では11%上昇している。失業率は悪化傾向である反面、雇用についている人たちの給料が上がり、格差が拡大していると言える。国民の不満は高まっており、7月のようなデモからの暴動につながる可能性もある。こういったカントリーリスクには注意をしておく必要がある。

 

メキシコ中銀の追加利上げ期待もありペソは底堅い展開

先週はメキシコ銀行(中央銀行)が政策金利を4.75%へ引き上げた。評決は4対1でこれまでの3対2から利上げ主張派が増加したほか、10-12月期のインフレ見通しを6.2%と前回の5.7%から上方修正した。市場では追加利上げ期待も高まっており、相場がリスク選好の流れに傾けば、ペソは金利先高観を材料に優位な立場にたつ。なお、今週は9月CPIの発表が予定されているため、インフレ加速・鈍化の気配が見られるか注目である。

 

クラリダFRB副議長が倫理規定に抵触の可能性も

米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長は、新型コロナウイルス禍への対応でパウエル議長が政策行動を講じる可能性を発表した前日、債券ファンドから株式ファンドに100万-500万ドル(約1億1100万-5億5500万円)規模で資金を動かしていた。副議長の2020年財務開示で明らかになった。米政府倫理局(OGE)への届け出によると、20年2月27日にパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の債券ファンドからの資金シフトと、同日にPIMCOのストックスプラスとiシェアーズMSCI米国ミニマム・ボラティリティ・ファクターETF(上場投資信託)それぞれの買いがいずれも同様の規模で取引された。20年の取引件数は他を含めて計5件だった。米東部時間昨年2月28日午後2時半にパウエル議長は声明を発表した。新型コロナのリスクが変質しながら米経済成長を脅かすとして、成長を支えるため必要に応じて政策金利を引き下げる用意があることを示唆した。米連邦準備制度では既に地区連銀総裁2人が昨年の株取引が明らかになった後に辞任しており、倫理規則やガバナンスを巡る精査が一段と進みそうだ。

 

米国債のデフォルト懸念は払拭されない状況

米上下両院が12月3日までの連邦政府の資金を手当てする暫定予算案を可決。政府機関の閉鎖は回避された。来週は、下院が可決している連邦債務上限の適用を来年2022年秋の中間選挙後の12月まで凍結する法案の上院での審議に警戒したい。共和党のマコネル上院院内総務がこの凍結案を阻止する姿勢を示しており、米国債のデフォルト懸念はまだまだ払拭されない状況となっている。イエレン米財務長官は、米国がデフォルトに陥った場合、市場や経済に壊滅的な影響が及び、国民への支払いも滞ることになると警告している。

 

米国9月の雇用統計次第ではテーパリング開始先送りの可能性も

今週は、米国9月の雇用統計が発表される。予想は、非農業部門雇用者数が前月比50万人の増加で8月の23.5万人から改善した。失業率は5.1%で8月の5.2%から低下が見込まれている。予想通りに雇用情勢の改善となれば、11月FOMCでのテーパリング開始の可能性を高めることになる。逆に、8月のようなネガティブサプライズだった場合、2022年の利上げを支持していたタカ派のローゼングレン米ボストン連銀総裁とカプラン米ダラス連銀総裁がFRBの倫理規定違反により退任したこともあり、テーパリング開始時期が先送りされる可能性も出てくる。また、バイデン政権がワクチン接種を徹底するため連邦や地方政府職員に対してワクチン接種を義務化した。さらに、民間企業にも義務化を促し、ワクチン接種を拒む公務員や民間企業の従業員が解雇されている。このため、今後数週間、失業保険申請件数が増える可能性がある。求人件数が過去最高水準に達する中、失業者数も減らず、労働市場のひずみ、スラックは存続している。

 

欧米市場イベント

○15:30   9月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%)
○15:30   8月スイス小売売上高
○16:00   9月トルコCPI(予想:前月比1.35%/前年比19.70%)
○16:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○21:30   8月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比3.4%)
○23:00   8月米製造業新規受注(予想:前月比1.0%)
○23:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合(テレビ会議)
○中国(国慶節)、休場
○豪州は3日から夏時間に移行済み

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