FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:配当落ちと米債務上限問題への警戒感から売り優勢

米国市場で金利が上昇した株価が大幅安となったことを嫌気し、朝方に大幅安で始まった後も徐々に下げ幅を広げ一時800超安となった。配当落ちに加え、米債務上限上限問題への警戒感も強まった。市場では、年末や年度末に向けた先行観は変わらないものの9月の上昇ペースが早かったとの見方は多く、ここで無理をするよりも、いったん調整が入った方が上昇トレンドは持続しやすいとの声が聞かれた。結局、前営業日比639円安の2万9544円、4営業日ぶりに3万円を下回った。信用評価損益率は24日申し込み時点でマイナス7.68%と、前の週のマイナス8.06%からマイナス幅が0.38ポイント縮小し、改善は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:利益確定や持ち高調整から111.40円付近でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などから月末・期末に絡むドル買い・円売りが持ち込まれ、一時111.68円付近まで上昇して昨年3月以来となる高値をつけた。しかし、日経平均株価が大幅安となったため、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押される展開となり、111.40円付近へ軟化した。米長期金利が1.56%付近から1.52%台へ低下したこともドル売りを誘った。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、111.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.1685ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

電力不足の深刻化で新たな『中国リスク』として懸念

中国で電力不足が深刻化している。背景には発電用石炭の高騰や環境規制の強化がある。現地に進出する日系企業にも影響が広がりつつあり、不動産開発大手・中国恒大集団の経営危機に続き、新たな『中国リスク』として懸念されている。現地メディアなどによると、中国東北部では23日以降、電力供給制限が実施された。停電で信号機が消えたり、集合住宅のエレベーターが止まったりするなどの混乱が生じており、冬の到来を前に不安が高まっている。主因は石炭の値上がりだ。中国では総エネルギー量に占める石炭の割合が3分の2に達するが、相次ぐ炭鉱事故に伴う安全基準の強化などを受け、石炭生産の伸びは鈍化。国内製造業の旺盛な需要もあり、石炭価格は過去最高値まで上昇しているという。二酸化炭素(CO2)の排出量削減に向けた各地方のエネルギー消費削減目標も、石炭火力を主体とする電力供給の重しとなっている。目標達成が困難な地方は発電量を絞るなどエネルギー消費の抑制に奔走しており、製造業が盛んな江蘇省や広東省などでは工場の操業停止措置が取られている。

 

ドイツ社民党は3党連立協議の週内開始に意欲

ドイツ連邦議会選挙(総選挙)でメルケル首相の保守連合に僅差の勝利を収めた中道左派の社会民主党(SPD)は28日、緑の党と自由民主党(FDP)との3党連立政権樹立に関する協議を週内に開始することを望むと表明した。多くの問題で意見の隔たりがある緑の党とFDPはこれまで、SPDもしくは保守連合と協議を始める前に、妥協分野を模索するためまずは両党で協議する意向を示している。SPDの首相候補であるオラフ・ショルツ氏はツイッターで『私は楽観的だ。現実主義と協力態勢でもって何とか連立を構築する』とした。

 

顧客が米国株を3週連続で大幅買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの28日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は20~24日の1週間に米株を65億8400万ドル買い越した。3週連続の大幅買い越しとなる。この週は中国の民間不動産大手・中国恒大(エバーグランデ)の資金繰り不安で荒っぽい展開となったものの、S&P500指数が0.50%高で3週ぶりに上げて終えた時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が16億9100万ドルの買い越しで、5週ぶりの買い越しだった。機関投資家は18億4600万ドルの買い越しで、3週連続の買い越し。個人投資家は2億7700万ドルの買い越しで、8週ぶりの買い越し。企業の自社株買いは27億7000万ドルで好調だった。全体の金額は同社が2008年に集計を開始して以降、過去4番目の大きさだったという。企業の自社株買いは21年7~9月期(3Q)の決算発表シーズンを控えてやや減速気味だったものの、個別株・上場投資信託(ETF)ともに買い越しとなり、押し目買い意欲の強さがうかがえるものだった。

 

パウエル米FRB議長の進退と金融政策の方向性変更に注目

米連邦準備制度理事会(FRB)が11月の連邦公開市場委員会(FOMC)で年内の資産購入策縮小開始を発表し、早くて2022年の利上げを開始するとの軌道が少なくとも見え始めた。そんな中、2022年のFOMC投票権を得るボストン連銀のローゼングレン総裁は健康状の理由で、30日に退任する意向だと発表した。続けて、ダラス連銀のカプラン総裁も10月8日付けで退任する意向だと発表した。FRBの規制内だが、開示により株式や不動産投資信託(REIT)の昨年の売買が明らかになり、一部批判が強まっていたことが背景となる。4席が空席となる。一部のストラティジストは2名の地区連銀総裁の退任後、FOMCがハト派寄りに傾斜するとの見解を示している。ローゼングレン総裁、カプラン総裁はともに2022年の利上げを予想していた。
パウエル議長以外で、次期議長候補として有力とされるブレイナード理事は最近の高インフレが一過性要因によるものとの見方。労働市場に関しては、最大雇用の達成には欠けるが、資産購入縮小の条件を近く達成する可能性があると指摘している。『資産購入縮小のタイミングを利上げの何のシグナルにならない』と強調し、労働市場も改善も遅いベースだと、利上げはまだ先と見ている。さらに、『新型デルタ株が引き続き下方リスクを生む』と慎重な姿勢を見せている。FRBの人事次第で、金融政策の方向性が若干変わる可能性があり、動向に注目される。
来年2月に任期満了を迎える共和党のパウエル議長は再任を巡り、今まで上院の支持を得ていた模様だが、2名の地区連銀総裁の突然の退任で、議員内の反対圧力が強まる可能性も否めない。FRBは独立機関だが、民主党のメンバーをFRB内でも増やし、人種問題や環境問題の解決を目指すバイデン大統領が議長の再任を拒む可能性は十分にある。

 

イエレン米財務長官が資金枯渇懸念を表明

イエレン米財務長官は28日、米議会が連邦政府の債務上限問題への対応に失敗すれば『米経済や世界の金融市場、米国民にとって悲惨なことになる』と警告した。10月18日にも政府資金が枯渇する恐れがあるとし、与野党に早急な対応を求めた。議会上院銀行住宅都市委員会の公聴会で述べた。債務上限の一時停止措置などを講じなければ『金融市場で米国の信用力が低下し、金利高騰で住宅や自動車のローンの利払い増加にもつながる』との懸念を示した。議会上院では与党民主党による上限停止措置を野党共和党が阻止し、膠着状態が続いている。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月独輸入物価指数(予想:前月比1.2%/前年比16.1%)
○17:30   8月英消費者信用残高(予想:3.0億ポンド)
○17:30   8月英マネーサプライM4
○18:00   9月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:116.9)
○18:00   9月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲4.0)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:35   センテノ・ポルトガル中銀総裁、ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○21:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、ECBフォーラムでパネルディスカッションに参加
○21:30   8月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.3%)
○21:30   8月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲1.5%)
○22:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○22:15   エルダーソンECB専務理事、ECBフォーラムでパネルディスカッションに参加
○23:00   8月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.4%/前年比なし)
○23:30   EIA週間在庫統計
○23:30   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、ECBフォーラムでパネルディスカッションに参加
○30日00:45   ベイリーBOE総裁、黒田東彦日銀総裁、ラガルドECB総裁、パウエルFRB議長、ECBフォーラムでパネルディスカッションに参加
○30日02:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○30日03:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

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