★日経平均株価:貿易摩擦への警戒感後退を好感した買い
トランプ大統領の発言に端を発した貿易摩擦への警戒感がひとまず後退した。前日の米株高や外国為替市場での円安・ドル高の進行が好感され、先物主導で前場終盤にかけて一段高となった。しかし、大幅反発は海外の短期筋を中心とした買戻しが上昇要因となった。メジャーSQ算出日を今週末9日に控え、先物主導で値動きが多くなった面もある。結局、375円高の2万1417円と5営業日ぶりに上昇して終了した。
★東京外国為替市場:株高によるドル買いも上値重い
ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅反発に支えられ、一時106.46円まで上昇した。米長期金利が小幅上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、前日にトランプ大統領が『輸入制限は撤回しない』と発言したことあってドルの上値も重くなった。午後は、日経平均株価の上げ幅縮小を眺めて持ち高調整などのドル売り・円買いが入り106.20円付近へじり安となった。ユーロ/ドルは、ドイツの大連立政権発足を好感したユーロ買い・ドル売りが一巡、1.23ドル台半ばで方向感を欠く値動きとなった。イタリア総選挙の開票結果を受けて、連立協議が難航するとの思惑が浮上していることも、ユーロの重しとなった。
★決算月のメジャーSQ後は市場も落ち着く方向
日本株については、3月期末に向けた国内法人による決算対策売りやヘッジ売りのほか、メジャーSQ算出日前後に向けた需給懸念が悪材料となっている。過去においても、この時期には株安とリスク回避の円高を含めた市場混乱が繰り返されてきた。特に今年は1月からの市場混乱の余波などもあり、複合的なポジション整理や損失・利益確定などによる株安・円高の再現には注意が必要。一方で、メジャーSQを通過すると、3月決算対策の終盤入りとあいまって、日本株の需給改善が期待できる。3月下旬にかけては『3月決算銘柄の配当権利取り』や『4月からの新年度運用に向けた先回りの仕込み買い』などが日本株の下支え要因となっていく。
★8-9日の日銀金融政策決定会合では:外債購入のサプライズはあるか
日本では8-9日に日銀が金融政策決定会合を開催する。前週末に黒田日銀総裁が『2019年度には出口戦略を検討』と発言し、円高を加速させる結果となった。しかし、黒田氏の発言はあくまでも『物価2%目標が達成された場合』という条件付きであった。このまま円高・株安が長期化すると、物価2%目標の達成は一段と遠のく。デフレ脱却へのモメンタムを完全に崩壊させないためにも、『日銀による外債購入』などを含めた追加緩和の地ならしが必要となってくる。
★8日のECB理事会では:ユーロ高の歯止めの努力強化の可能性も
8日にECBが定例理事会が開催される。現在は米国発の貿易戦争が警戒されているほか、ユーロ高・ドル安の圧力が欧州の物価再下落や成長鈍化のリスクとして警戒され始めた。その中でECBが『緩和縮小ペースの慎重姿勢強調』などで、ユーロ高歯止めの努力を強化させる可能性は無視できない。
★トランプ流で今回も市場混乱:鉄鋼・アルミニウム高関税賦課
前週末2日に米国株は落ち着きを見せたが、背景としては『過去のトランプ大統領による政治手法として、最初は大上段に構えた強硬策で脅しをかけたり、有権者向けに派手な構想をアピールするが、その後は撤回・修正などで現実路線へ緩和させる』といういつものパターンが繰り返された。また、米国家通商会議(NTC)のナバロ委員長は4日、米国の鉄鋼メーカーから調達できない高付加価値品などを例外扱いする可能性を示唆した。そのため、正式決定で内容の緩和や発動時期の猶予があったり、高付加価値品が中心である日本メーカーなどの適用除外があると過度なリスク回避が一服した。
★注目の米2月雇用統計では増加ペースの鈍化見通し
1月に大きく上昇した平均賃金は、①減税法案進展を受けた米国企業による賃上げ還元、②年明けに伴う地方自治州による最低賃金引き上げの実施始動、③寒波による労働時間の短縮と時間当たり賃金の押し上げ、などが過剰に賃金の上昇を加速させた。2月については、その反動鈍化となる可能性が高い。もし賃金が下振れした際の初期反応はドル安材料となる一方、米国の過度なインフレ上昇懸念の後退や金利低下、米FRBによる利上げペース加速警戒の一服などが、米国株をサポートする。それは、リスク選好の動きにつながり、円安要因となるほか、金利の安定化がドルの安定につながりやすい。また、失業率は1月には4.1%となり、2000年以来の低水準にまで改善が進んできた。過去のドル安局面に比べて米国の経済ファンダメンタルズ自体は良好でありドル一段安は抑制される。
★欧米イベント
○17:15 2月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%)
○18:30 10-12月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率1.8%/前年同期比1.3%)
○21:30 ダドリー米ニューヨーク連銀総裁、講演
○24:00 2月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00 1月米製造業新規受注(予想:前月比▲1.4%)
○7日03:15 ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
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