FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りに押される展開

朝方から上海株や香港株が下げ基調にあり、日本株の重石となった。また、中国恒大集団の過剰債務問題への警戒感がくすぶっており、国内要因を背景とした目先の上昇は一服した。そのため、海外リスクが意識されてきている。さらに、連休を控えていることもあって、積極的にはポジションを取りにくい展開となっている。最近の急ピッチの上昇による短期的な過熱感から、利益確定の売りが次第に優勢になった。結局、前営業日比188円の3万0323円と続落して終了した。9月第2週(6日~10日)の海外投資家は3010億円と2週連続の買い越しとなった。

 

東京外国為替:米長期金利の小幅低下で109円前半でもみ合い相場

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大を眺めてドル売り・円買いが入り109.20円付近まで下落した。米長期金利が小幅に低下したことも、ドルの押し下げにつながった。ただ、前日の海外市場でつけた約1ヵ月ぶりの安値109.11円が視界に入ると、下げは一服した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.20円台を中心とした狭いレンジ取引された。ユーロ/ドルは1.18ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国恒大問題、業界全体に波及の恐れ

米ゴールドマン・サックスは15日、過剰債務と資金繰り不安に揺れる中国恒大集団の問題が中国不動産セクター全体に波及する恐れがあるとの見方を示した。中国恒大は2兆元(3050億ドル)近くの負債を抱えており、負債返済やサプライヤーへの支払いのための資金調達に苦慮している。ゴールドマンのアナリストはノートで『中国恒大の不動産開発事業に一段の混乱が生じた場合、国内の不動産購入者や投資家のセンチメントに非常に悪い影響を与え、影響は不動産セクター全体に波及する可能性がある』と指摘した。同社の選択肢として、オンショア事業の継続に向けた企業改革、第三者による出資、債務・株式の再編を挙げた。また、JPモルガンは、同社を巡る状況は悪化しており、他のセクターに影響が及ぶことを防ぐために政府による追加措置が必要だと指摘した。顧客やサプライヤーの利益を守るために同社が事業を継続することを期待しているとした。

 

トルコ中銀は外貨預金準備率を引き上げ

トルコ中銀は15日、10月1日から市中銀行が中銀に預ける外貨建ての預金準備率を2%引き上げることを発表した。7月に続いての準備率改定となり、前回19%から21%に引き上げられた『期間1年未満の外貨建て預金』の準備率は23%に設定した。また前回13%から15%に上げられた『期間1年以上の外貨建て預金』準備率は17%となる。くわえて、リラ建て準備預金から外貨に転換できる上限が、前回7月は全体の20%から10%に引き下げられたが、来月1日からは0%と移し替えができなくなる。トルコ中銀のウエブサイトによれば、今回の準備率改定は『物価安定という主要な目的に沿い、金融伝達メカニズムの有効性を高めるため』としている。10月1日時点でリラ建ての必要準備金は約139億リラ増加し、FXおよび金の準備金は約34億ドル拡大する見込みである。

 

南アの7月小売売上高は非常に弱い結果

注目された7月に南ア小売売上高は前月比で-11.2%(予想-2.7%)、前年比でも-0.8%(+3.3%)まで落ち込んだ。7月の各地での暴動により、輸送や港湾などが麻痺し、暴動の被害を受けないために小売業が店を閉じ、製造業も生産を中断したことなどが要因である。ある程度の落ち込みは予想はされていたが、昨年のパンデミック禍によるロックダウン時よりも売り上げが減少したことはサプライズと言える。

 

米国との関係強化はメキシコにとってもポジティブ材料

先週、4年ぶりに米国とメキシコで再開されたハイレベル経済対話での主要課題となったサプライチェーン(供給網)の強化について、昨日にはクロティエ経済相が国内の半導体生産拡大のために製造に不可欠な水が豊富な南部諸州に製造拠点を建設する可能性を示唆した。これはかねてよりロペスオブラドール大統領が目指す貧しい南部諸州の発展にもつながる話でもあり、米国との関係強化も含めてメキシコにとっては明るいニュースとなっている。

 

米下院歳入委、経済対策財源の2.1兆ドル増税を可決

米下院歳入委員会は、主に企業と富裕層を対象とする2兆1000億ドルの増税措置を賛成多数で可決した。3兆5000億ドルの税制・支出計画に含まれる数十年ぶり規模の社会支出拡大の財源となるもので、バイデン米大統領の計4兆ドル規模の長期的な経済課題の法制化に向け一歩近づいたことになる。

 

9月NY連銀製造業景気指数はQ3の強い経済を示唆

米9月NY連銀製造業景気指数は34.3と、8月18.3から予想外に予想のほぼ2倍近く上昇し、強い成長を示唆した。地区連銀製造業指数の中でも、早い時期に発表される同指数は最新の製造業活動状況を判断する上で度々注目される。加えて、6カ月先の見通しで景況指数が48.4と、8月46.5から上昇していることも期待が持てる。一方で、新型コロナウィルスの変異株流行で消費者マインドが悪化している。米国経済の7割を占める消費の伸びが滞り、景気回復の障害になるとの警戒感は根強い。中国の8月小売りも予想を大幅に下回る伸びにとどまった。製造業の順調な回復が証明された形だが、商務省が発表する8月小売売上高でさらに消費動向を探る。

 

米国市場では8月小売売上高が公表:予想は前月比-0.9%

7月実績は前月比-1.1%だった。ガソリン、飲食・サービスの売上は増加したが、自動車・関連部品販売店、衣料・装飾品などの売上は低調だった。8月については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で個人消費はさえない状態が続く可能性があるため、前月からの反動増となる可能性は低いとみられる。

 

欧米市場イベント

○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:00   7月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済149億ユーロの黒字)
○21:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:15   8月カナダ住宅着工件数(予想:26.80万件)
○21:30   7月対カナダ証券投資
○21:30   7月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲2.0%)
○21:30   8月米小売売上高(予想:前月比▲0.8%/自動車を除く前月比▲0.1%)
○21:30   9月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:18.8)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:33.0万件/278.5万人)
○23:00   7月米企業在庫(予想:前月比0.5%)
○17日05:00   7月対米証券投資動向
○メキシコ(独立記念日)、休場

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