FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:達成感から利益確定売り優勢

直近で日本株は米国株との連動性が薄れていたものの、前日までの上昇により過熱感が生じていたことから、朝方から軟調な展開になった。日経平均株価は一時300円を超す下落となった。ただ、中長期的な上昇期待が大きいため、押し目買いニーズも強く徐々に下げ渋る展開になった。注目された中国の経済指標が予想を下回ったほか、北朝鮮が飛翔体を発射したと伝えられたものの、これら悪材料に対して市場は反応薄だった。結局、前営業日比158円安の3万0511円と4営業日ぶりに反落した。信用評価損益率は10日申し込み時点でマイナス7.47%と、前の週のマイナス9.23%からマイナス幅が1.76ポイント縮小した。改善は3週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク回避の動きでも109円台半ばを維持

ドル/円は、前日に発表された8月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、米FRBによる早期テーパリング観測がやや後退するなかでドル売り・円買いが先行し、109.55円付近まで下落した。日経平均株価がさえない動きとなったことも、リスク回避の円買いを誘った。ただ、心理的節目の109.50円に接近すると下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りを持ち込み、109.60円台へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.60円前後でもみ合い相場となった。今晩の米国株価動向などを見極めたいとのムードが広がった。なお、日本政府が午後1時前に『北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射された』と発表したものの、相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、1.1805ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国恒大集団の経営危機:政治問題へ発展か

多額の負債を抱える不動産開発業者、中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)が、不満を募らせた投資家の抗議デモへの対応に追われている。同社が手掛けたアパートの買い手による怒りは、これよりさらに大きくなりそうだ。中国恒大の本社前に13日、個人投資家が詰めかけてデモを行った。同社が保証していた資産運用商品『理財商品』の一部が期限に支払いを履行できなかったためだ。中国のソーシャルメディア上ではデモの様子をとらえた動画が瞬く間に拡散した。中国恒大は14日、第三者が発行した9億3400万元(約159億3000万円)相当の理財商品について、子会社2社が保証人としての義務を履行できなかったと明らかにした。

 

トルコ建設業界がセメント価格の急騰に抗議

世界的に建設資材価格の上昇が懸念されているが、トルコでは主要建設会社の組合『建設請負業者連盟』が先週、セメント価格の急騰に抗議し『全ての』建設プロジェクトを停止したと報じられた。12万人の会員を擁するこの連盟は『セメント業界の不公平で法外な値上げで、建設業界には解雇とボイコット以外の選択肢がなくなった』と述べ、『24日まで建設を中止する』との声明を発表した。トルコ政府は先週、新たな中期計画を発表した。計画には順調な経済成長が織り込まれており、そのけん引役として期待されているのが建築業界である。そのため政府は巨額な公共事業を承認し、また住宅ブームを後押ししている。建設業界の怒りをおさめるため、競争規制機関はセメントの価格を調査している。世界的な資源価格の高騰や通貨リラ安で、セメント価格が正当と評価される可能性はある。その時、トルコの建設業界はどのような行動にでるのか注目されている。

 

南アの7月小売売上高が公表:暴動の影響から前月比ではマイナス

本日は南アからは7月小売売上高が発表される。市場では前年比では+3.3%程度の予想である。昨年はパンデミック禍のロックダウンが厳格だったことで、前年比では上昇が予想されている。一方で、前月比では-2.7%程度との予想となっている。前月比の落ち込みは、7月は各地で暴動が起きたことで、輸送や港湾などが麻痺してしまった影響などが結果に反映されるのが理由となっている

 

メキシコは格下げの可能性も:格付け会社フィッチ・レーティング

昨日、格付け会社フィッチがメキシコに関する最新のレポートを発表した。それによると、メキシコのガバナンスが過去10年間悪化しており、主要セクターやコロナ後の成長軌道に関わる運用環境に不透明感を与えているとした。法の支配や政府の有効性、汚職の抑制など長年課題とされる状況が改善していないことを挙げており、このまま続くようならば格下げの可能性も出てきた。

 

米8月CPIの伸びは7ヵ月ぶりに低水準

米労働省が発表した8月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%となった。伸びは7月+0.5%から予想以上に鈍化し1月以降7カ月ぶり低水準にとどまった。前年比では+5.3%。伸びは予想通り7月+5.4%から鈍化し5月来で最小となった。連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している食品やエネルギーを除いたコア指数は前月比+0.1%と、予想外に7月+0.3%から鈍化し2月来で最小となった。前年比では+4.0%と、7月+4.3%から予想以上に鈍化し5月来で最小となった。特に前年比での伸びの鈍化により、インフレ過熱への警戒感が後退した。
先週発表された8月生産者物価指数(PPI)でも前年比では高水準となったが、前月比では鈍化の兆しも見られ、今後、前年比でも伸びが弱まる可能性が示唆された。FRBの予想通り、最近見られていた高インフレが一時的要因によるものであることが証明されつつある。この結果は来週21日、22日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策決定会合において参考になる。新型コロナウイルス変異株の感染拡大により、8月の消費信頼感は落ち込んでおり、今後の消費や景気回復の障害になる可能性も警戒される。

 

欧米イベント

○15:00   8月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比2.9%)
○15:00      CPIコア指数(予想:前年比2.9%)
○15:00   8月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比4.7%)
○15:45   8月仏CPI改定値(予想:前月比0.6%/前年比1.9%)
○18:00   7月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.6%/前年比6.3%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   7月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比3.3%)
○21:30   8月カナダCPI(予想:前月比0.1%/前年比3.9%)
○21:30   9月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:18.0)
○21:30   8月米輸入物価指数(予想:前月比0.3%)
○21:30   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○22:15   8月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
          設備稼働率(予想:76.4%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演

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