FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益売り優勢ながら底堅い展開が継続

前週末の海外株式市場は、欧州株がECBが新型コロナウイルス禍で導入した債券買い入れプログラムを縮小する方針を示したことを受け下落、米国株もインフレ上昇への警戒感が圧迫する形で軟調推移となった。前週末の欧米株価の下落に連れ、朝方に小安く始まった後もマイナス圏での推移が続いた。高値警戒感から利益確定売りが優勢になった。前週末にはトヨタ自動車が通期の世界生産計画を下方修正しており、自動車関連株は軟調だった。ただ、東エレクやアドバンテストといった値がさの半導体関連の一部が高く推移したことで指数の押し上げに寄与した。結局、前営業日比65円高の3万0447円続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日米金利差拡大からドル買いやや優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行し110.00円付近まで小幅に値を上げた。10日に米長期金利が一時1.35%付近へ上昇し、日米金利差が拡大したこともドル買いにつながった。午後は、ユーロ/ドルのユーロ安・ドル高が波及し、110.05円付近まで上昇した。日経平均株価がプラス圏に持ち直したことも、リスク選好の円売りを誘った。ユーロ/ドルは、明日の8月米消費者物価指数(CPI)を控えた持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いに押され、1.18ドル台を割り込んで一時1.1788ドル付近まで下落した。

 

トルコ中銀はコアCPI指数を政策の軸:早期利下げの警戒感

トルコ消費者物価指数(CPI)で値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコア指数は8月、前年比で16%後半まで伸び率が低下した。カブジュオール中銀総裁は、これまで伝統的に金融政策の先行指標とされたCPI総合(8月は19%超え)ではなく、コア指数をより政策の軸に置くことが示唆し、市場は早期利下げへの警戒感を強めている。23日の金融政策決定会合でいきなり利下げをするとは思えないが、トルコ中銀は第4四半期のインフレ低下を予想しており、緩和に向けた協議が始められることになりそうである。実質金利マイナスが長引く可能性が高くなれば、リラを手放す動きが進みやすい。

 

SARB総裁は利上げを否定しているとの見方

クガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁が『インフレ目標を現行の3-6%ではなく、3-4%程度かつ±1%の誤差を認めることが有益』と発言した。南アCPIは前年比で7月が+4.6%、6月は+4.9%だったことですでに目標を上回っており、市場では一時利上げ観測からランド買いでの反応となった。しかし、SARB総裁は『インフレ目標が高いことが、高インフレ国から抜け出せない要因』と説明し、低金利維持のためにインフレ目標を引き下げたい考えを示している。また、目標達成のために政府と協力し、電気や水などの価格引き下げを目指すことが必要と促してもいる。SARB総裁としては『政府が高いインフレ目標に甘えているから、一向に高インフレ国から抜け出すことができないというスタンスで、利上げを否定している』との見方も台頭している。

 

米連邦債務上限問題続く:米デフォルトリスク

連邦債務上限に関しては、イエレン米財務長官が『手元資金のやり繰りを巡って財務省が行っている臨時措置がいつまで継続するかは分からない」』として議会に改めて対応を要請した。しかし、ペロシ米下院議長は、28兆5000億ドルの債務上限を引き上げる必要があるとしながらも、3兆5000億ドル規模の歳出法案に債務上限引き上げに関する条項を盛り込まない方針を示している。さらに、民主党中道派のマンチン上院議員が歳出法案を見直すべきと主張しており、上院は民主党50議席、共和党50議席と拮抗していることで、マンチン上院議員が造反した場合、法案成立が難航する可能性が高まるため、マンチン上院議員の発言に注目していくことになる。

 

米民主党は法人税率上げと富裕層向け付加税提案へ

有力欧米紙であるウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、議会側近の話として、下院民主党が法人税率の21%から26.5%への引き上げを提案する見通しだ、と報じている。予算法案の一環として、500万ドルを超える個人所得に対する3%の付加税も提案する見通しだという。

 

米生産者物価指数(PPI)は高止まり

8月PPIは前月比+0.7%。伸びは7月+1.0%から鈍化も予想は上回った。前年比では+8.3%と、7月+7.8%から予想以上に伸びが拡大した。少なくとも2010年来で最大を記録した。変動の激しい燃料や食品を除いたコアPPIは前月比+0.6%と、7月+1.0%から伸びが鈍化。5月来で最小となり、物価の上昇は一段落した可能性が示された。一方、前年比では+6.7%。伸びは7月+6.2%から予想以上に拡大し2010年来で最大を記録した。新型コロナウイルスのデルタ変異株流行が消費を抑え、下半期の回復ぺース減速に繋がるとの懸念が強まる一方で、ボトルネック問題が長引き高インフレが根強き、スタグフレーション懸念も浮上している。米連邦準備制度理事会(FRB)は最近の高インフレが一時的との見方で、2022年の初旬にはサプライチェーンの混乱も沈静化し、インフレもいずれ伸びが鈍化すると見ている。

 

米FRBは11月の資産購入縮小へ地ならし

米連邦準備制度理事会(FRB)当局者は11月からの金融緩和政策の縮小へ向け、次の会合で合意形成を目指そうとしている。当局者の多くは最近のインタビューや講演で、月額1200億ドル(約13兆円)の米国債と住宅ローン担保証券の購入について、年内に縮小(テーパリング)を開始する可能性があると述べている。9月21-22日に開催される会合でそれが打ち出される可能性は低いものの、パウエル米FRB議長はその次の会合(11月2-3日)で着手する可能性が高いことを示唆するために、9月の会合を利用するかもしれない。現在検討中の計画では、来年半ばまでに資産購入を終了できるペースで買い入れを縮小する可能性がある。パウエル米FRB議長は最近の講演で、『経済がおおむね想定通りの進展を遂げれば、年内に資産購入ペースを減速させ始めることが適切となり得る』と7月の会合で考えていたことを明らかにした。パウエル氏に強く同調するニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁も、8日のバーチャル会合でほぼ同一の発言をしている。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   7月トルコ経常収支(予想:5.7億ドルの赤字)
○16:00   7月トルコ鉱工業生産
○14日03:00   8月米月次財政収支(予想:1730億ドルの赤字)
○ノルウェー総選挙

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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