FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:高値警戒感あるもののアジア株高を好感した買い優勢

東京市場では、本日はSQ(特別清算指数)に絡んだ注文が買い優勢だったとみられ、高く始まった。その後は、高値警戒感から伸び悩む場面もあったが、上海株や香港株などアジア株がプラス圏で推移する中、上げ幅が拡大した。日経平均のSQ値は、  3万0085.93円になる見通し。買い気配となっている新生銀行をストップ高の1740円で計算した。正式なSQ値は、大引け後に大阪取引所から発表される。結局、前営業日比373円高の3万0381円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売り優勢も110円台に届かず

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.70円台を中心とした狭いレンジで取引された。本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りはみられなかった。午後に入ると、日経平均株価の大幅反発やアジア株高を眺めたドル買い・円売りが散見され、109.90円付近までじり高となった。また、長期金利が持ち直したこともドル買いを支えた。ユーロ/ドルは、1.1830ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の金融緩和はインフレ上昇懸念から先送りの可能性も

国家統計局が発表した8月の消費者物価指数(CPI)は0.8%上昇となり、伸び率が前月から0.2ポイント低下し、市場予想の1%増に届かなかった。一方、8月のPPIは9.5%上昇と前月から0.5ポイント加速した。市場予想の9%増を上回り、08年8月以来、13年ぶりの高水準となった。

中原銀行の王軍首席エコノミストは中国の8月の貿易統計と生産者物価指数(工業製品出荷価格:PPI)がともに強い内容になったことを踏まえ、7-9月期に預金準備率が引き下げられる可能性は低下したとの見方を示した。7-9月期に経済成長が失速するとの悲観シナリオが現実になることはなく、これまでにくすぶっていた利下げ期待も後退するとした。預金準備率の引き下げや利下げは早くても10-12月期にずれ込むと予想している。

 

バイデン大統領と中国の習主席が2回目の電話会談

ホワイトハウスが米国東部時間9日、バイデン大統領が中国の習近平国家主席と電話会談したと発表した。両国関係の対立が続く中、両首脳は『競争が衝突に発展しないようにするための両国の責任』について協議した。バイデン氏と習氏の電話協議は、バイデン氏が大統領に就任してから2回目となった。政治情報サイトのポリティコによれば、電話は90分続き、口調は率直で親しみやすいものだったという。バイデン政権の幹部は記者団に対し、バイデン氏は米国と中国の当局者間の低いレベルでの協議が重要な問題についての突破口を達成できていないことが明らかになった後、習氏との会談を追求したと語ったとのことであった。両首脳は経済問題について話し合ったが、習氏は米国の関税などでバイデン氏に具体的な質問をしなかったという。サウスチャイナ・モーニング・ポストによれば、中国政府の声明では『率直かつ詳細な議論を行い、彼ら(米国)の呼びかけを受けてコミュニケーションを強化することに合意した』という。

 

ECBも徐々にテーパリングに向かっての助走

ECBは定例理事会で市場の予想通り政策金利の据え置きを決定した。同時に景気回復にともない今後3カ月の緩和措置微調整により、パンデミック資産購入プロブラム(PEPP)のペース減速を決めた。APPはEU200億ユーロのペースを継続する。ラガルド総裁はこの決定が全会一致で、ECBがテーパリングをするわけではないと主張した。12月会合で、PEPPに関し包括的な協議をする。

 

トルコリアの強弱材料とは

トルコ中銀総裁が一昨日、金融政策の決定材料に(伸びが鈍化した)コア・インフレ率を重要視すると述べた影響は依然として市場に残っている。23日の金融政策決定会合でいきなりの利下げはないにしても、中銀総裁が第4四半期のインフレ低下を予想(または期待)しているところからも、次期会合で金融緩和について協議される可能性は高くリラの重石になっている。一方で、リラの支持材料としては、トルコ中銀の外貨準備高が拡大傾向なことである。昨日発表された3日時点の数値では、金保有高を除く準備高はグロスで約780億ドルと年初来で56%ほど増加した。他、トルコが地域的なライバルであるエジプトとの関係改善を目指して動いていることも、結果は直ぐにでないにしても国際社会から好感される材料になる。

 

南アの経常収支が過去最大:暴動後の結果が出るまでは動きにくい

昨日発表された南アの経常収支が過去最大の黒字となったことは、南アにとってはポジティブ要因である。貿易黒字は1-3月期の4510億ランドから、4-6月期には過去最高の6140億ランドに拡大したことが、経常収支の大幅黒字に貢献している。ただし、この指標も4-6月期のもので、7月の暴動時に港湾や輸送が麻痺したものが含まれていないことで、7-9月期を確かめるまでは市場は動きにくい。

 

米新規失業保険申請件数はハリケーンの影響で来週は増加予想

労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数(9/3)は前週比3.5万件減の31万件となり、パンデミック以降で最小となった。失業保険継続受給者数(8/27)は278.3万人と、前回280.5万人から減少も予想は上回った。大幅な減少はハリケーン『アイダ』の影響で申請ができなかったためで、来週は増加が予想されている。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比3.9%)
○15:00   7月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.6%)
○15:00   7月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%/前年比3.0%)
○15:00   7月英製造業生産高(予想:前月比0.1%)
○15:00   7月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:110.00億ポンドの赤字/16.00億ポンドの赤字)
○15:00   8月ノルウェーCPI(予想:前月比▲0.3%/前年比3.1%)
○15:45   7月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.4%)
○16:00   7月トルコ失業率
○17:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○18:30   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、記者会見
○19:10   エルダーソンECB専務理事、講演
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.00%に引き上げ)
○20:00   7月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.3%)
○21:00   7月インド鉱工業生産(予想:前年同月比10.7%)
○21:00   7月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比3.5%)
○21:30   8月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化10.00万人/失業率7.3%)
○21:30   4-6月期カナダ設備稼働率(予想:81.2%)
○21:30   8月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比8.2%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比6.6%)
○22:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○23:00   7月米卸売売上高(予想:前月比1.0%)
○23:00   7月米卸売在庫(予想:前月比0.6%)
○11日01:00   4-6月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比10.3%)
○ユーロ圏財務相会合(非公式)

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