★日経平均株価:利益確定売りが優勢となるも引けは3万円台維持
新型コロナウイルスのデルタ変異株が経緯回復をとん挫させるという警戒感に加え、米FRBのテーパリング開始時期を巡る不透明感が重石となり、米国株式市場の下落を受けて日経平均株価も朝方は売りが優勢になった。しかし、3万円割れでは押し目買いも入り一進一退の展開となった。利益確定売りも順調に消化された。テクニカル面で過熱感を示す指標が多いため、利益確定売りが優勢になった。一方で、買いニーズも強いため、相場全体が崩れる雰囲気にはならなかった。結局、前営業日比173円安の3万0008円と9営業日ぶりに反落した。9月第1週の海外投資家は3669億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりになった。個人投資家は4917億円の売り越し、2週連続となった。信託銀行は292億円の売り越し、3週ぶりとなった。
★東京外国為替市場:リスク回避の円買いも110円台は維持
ドル/円は、前日の海外市場で米長期金利が1.33%台へ低下したため、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、110.10円付近まで下落した。日経平均株価の反落や香港ハンセン指数の大幅安も、リスク回避の円買いを誘った。ただ、心理的節目の110.00円が視野入りすると下げは一服した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.10円台を中心とした狭い値幅で取引された。ニュヨーク時間に予定されている米経済指標や米連邦準備制度理事会(FRB)当局者の講演を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、今晩の欧州中銀(ECB)理事会やラガルド総裁の記者会見を控えて様子見を決め込む市場参加者が多く、1.18ドル台前半で値動きに終始した。
★欧州中央銀行(ECB)理事会:予想は金融政策の現状維持
ECB理事会メンバーであるオーストリア中央銀行のホルツマン総裁は、今回開催の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の縮小について検討できる状況になっているとの見方を示した。金融政策は現状維持の公算だが、ECBは金融政策の段階的な縮小に向けて動き始める。
★トルコ中銀総裁はコア・インフレへゴールポストずらす
カブジュオール・トルコ中銀総裁は、ドイツ・トルコ商工会議所で行った講演で『現行のトルコ金融政策は引き締め的であり、第4四半期にはインフレが低下する』との認識が示した。また総裁は『コロナ禍のなか、短期的な物価上昇の影響が調整されたコア・インフレ率の重要性が増している』と言及している。トルコは8月のCPIは前年比で19.25%となり政策金利の19.00%を超えたことで、実質金利がマイナスに転じた。エルドアン・トルコ大統領が利下げを希望しているものの、マイナス金利から脱却するために利上げを意識する市場参加者も出ていたほどである。ところが、今までは上述のCPIの総合を判断材料としていたものを、コア・インフレを重要視するということで利下げ予測にまで転じることになった。総裁からすると絶対的権力者の大統領には逆らえず、ゴールポストをずらしたことになる。これは単なる利下げというだけでなく、実質的なマイナス金利が拡大することであり、トルコからの資本逃避が続くリラ売りにつながる。
★南ア準備銀行総裁発言の裏にある本音とは
南アのクガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁は、ステレンボッシュ大学で行われた講演で『インフレ目標レンジを現行の3-6%ではなく、3-4%程度かつプラスマイナス1%の誤差を認めることが有益』と発言した。この発言だけで、南アの消費者物価指数(CPI)は前年比で7月が+4.6%、6月は+4.9%だったこともあり、すでにCPIが目標を上回っていることで、インフレ抑制=利上げ=ランド買いとなった。しかしながら、SARB総裁の詳細発言を読んでみると、必ずしも利上げを求めているわけではないことが分かる。総裁は同講演で『インフレ目標が高いことが、南アが高インフレ国から抜け出せない要因』と説明し、低金利を維持するためにインフレ目標を引き下げたい考えを示している。そして、目標達成のために政府と協力し電気や水などの価格設定(価格引き下げ)を目指し、地方自治体の税率なども調整が必要と促している。要するにSARB総裁からすると、『政府が高いインフレ目標に甘えているから、一向に高インフレ国から抜け出すことができない』という思いがある。
★顧客が米国株を7週ぶり売り越し:BofAセキュリティーズ
BofAセキュリティーズの8日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は8月30日~9月3日の1週間に米国株を5億3100万ドル売り越した。7週ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は3日に発表された8月の米雇用統計が市場予想を大幅に下回ったものの、ハイテク株が堅調でS&P500指数指数が0.57%高で2週連続で上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が10億1900万ドルの売り越しで、2週連続の売り越した。機関投資家は21億2600万ドルの大幅売り越しで、2週ぶりの売り越しだった。個人投資家は2億4400万ドルの小幅売り越しで、5週連続の売り越した。企業の自社株買いは28億5900万ドルで、4週連続で20億ドルを上回って活況だった。傾向としては自社株買いを除く3主体が全て売り越しとなり、S&P500指数が史上最高値圏にある中で積極的な買い手が不在だったことが示唆された。自社株買いは金融セクターが主導し、3月以来の高水準となった。
★モルガンスタンレーは米国株投資を引き下げ:日本株は有望
モルガンスタンレーは米国株の投資判断を 『アンダーウエート』に引き下げた。モルガンスタンレーは世界株式については『イコールウエート』に引き下げた。10月いっぱいまで経済成長に特大のリスクがあることを理由に挙げた。同行ストラテジストは7日付のリポートで『歴史的に低調な季節性』を伴う時期に新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染増加や、高いインフレ期待と低利回りおよび緩和的な金融政策の間の緊張関係が見られると指摘した。モルガンスタンレーは国際分散投資では欧州と日本の株式が有望だと指摘している。また、投資家が検討すべき重要なテーマとして、中央銀行の政策の違いやワクチン接種の取り組み、バリュエーションの違いなどを挙げた。
★米国の労働需要は引き続き増加傾向:労働市場への懸念緩和
米労働省が発表した7月JOLT求人件数は1093.4万件となった。市場予想1004.9万件も上回り先月に続き過去最高を記録した。6月分も1018.5万件と、1007.3万件から上方修正された。8月雇用統計での雇用者数の伸びは冴えない結果となったものの、需要は引き続き増加傾向にあることが明らかになった。 強い結果を受けて、労働市場への懸念が緩和した。
★ゴールドマンサックスは21年米国経済の成長予測を下方修正
新型コロナウイルスの変異株の流行による経済への影響に加えて、パンデミック緊急救済策の一環の失業者特別支援策が6日に失効し、財政支援も途切れることから消費が鈍化し、米国経済の回復を遅らせるとの見方が強まりつつある。ゴールドマンサックスのエコノミストは2021年の米国経済の成長予測を従来の6%から5.7%へ引き下げた。また、第4四半期のGDPは6.5%から5.5%へ引き下げた。年末の失業率も従来の4.1%から4.2%へ引き上げた。8月雇用統計が予想を大幅に下回る結果となったため、今月のFOMCで米FRBが量的緩和(QE)縮小計画を発表するとの思惑は後退した。ただ、FRBも指摘しているようにQE縮小は利上げとは違うため、先送りされたとしても、年内のQE縮小の可能性は残る。
★欧米市場イベント
○15:00 7月独貿易収支(予想:146億ユーロの黒字)
○15:00 7月独経常収支(予想:180億ユーロの黒字)
○18:00 4-6月期南アフリカ経常収支(予想:3051億ランドの黒字)
○20:00 8月メキシコCPI(予想:前月比0.20%)
○20:45 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00 8月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.71%)
○21:30 ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:33.5万件/274.4万人)
○24:00 EIA週間在庫統計
○10日00:05 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○10日00:05 エバンズ米シカゴ連銀総裁、あいさつ
○10日01:00 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、会見
○10日02:00 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○10日02:00 米財務省、30年債入札
○10日03:00 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
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