FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:3万円より上は上値の重い展開

夜間の先物が3万円台に乗せた動きを受けて、2万9800円台で寄り付いた後は節目の3万円を上回った。225銘柄への採用が決まった村田製作所やキーエンスが大幅高となり、全体の上昇をけん引した。ただ、3万円より上を積極的に買い上げる動きは見られず、高値をつけた後は伸び悩む展開になった。しかし、売り込む理由も乏しい中、3万円を若干下回る水準での小動きが長く続いた。結局、前営業日比256円高の2万9916円と7日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムードが広がり109.80円前後でもみ合い

ドル/円は、本邦輸出勢などのドル売り・円買いに押され、109.69円付近まで軟化した。日経平均株価が朝高後に伸び悩み、上げ幅を縮小したことも円買いを誘った。ただ、休場明けとなる米国市場の動向を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、109.80円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.80円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、ユーロ圏やドイツの指標を控えて様子見ムードが広がり、1.18ドル台後半で小幅な値動きに終始した。

 

50代で『預貯金1000万円未満』が6割超:老後資金が不十分?

PayPay銀行が実施した『コロナ禍のキャッシュレス決算利用と預貯金』に関する意識・実態調査によると、年代別の預貯金額で50代の6割超が『1000万円未満』と回答した。同年代で預貯金額の現状に不安を『感じる(48.6%)』と『少し感じる(34.1%)』の合計は8割を超えた。この調査は10~50代の1000名(男女各500名)を対象に、2021年6月24日~29日にインターネットで実施した。50代の預貯金額は『1000万円以上』の回答が34.1%。他の年代と比べ割合は多いが、50代の大半が老後に向けた資金の蓄えに不安を抱えていることが分かった。預貯金額については、全体では約4割が『100万円未満」と回答。『100~200万円』が19.2%、『1000万円以上』が16.6%とになった。老後の預貯金の目標額については54.4%が『1000万以上』と回答し、現実とのギャップが鮮明になった。

 

中国の8月米ドル建て輸出は予想上回る

中国の税関総署が発表した21年8月の米ドル建て貿易統計は、輸出が前年同月比25.6%増だった。市場予想の17.1%増を上回るり、前月の19.3%増から伸び率が加速した。輸入は33.1%増で、前月の28.1%増から加速し、予想の26.8%増を上振れた。貿易黒字は583億4000万ドルと市場予想の510億5000万ドルを上回った。

 

トルコ政府がインフレ見通しを上方修正

トルコ政府は週末に新たな中期計画を発表した。2022年末のインフレ予測については10%割れとやや楽観的な見方ではあるが、21年予測は16.2%とトルコ中銀の年末予想14.1%を上回り、一部の市場参加者を驚かせた。また、政府がこだわってきた『トルコ建国100周年の2023年に5%物価目標を達成』を諦め、23年末のインフレ見通しを8%まで引き上げた。これにより『トルコ政府が現実的な路線に傾き、インフレ対策を強化するのではないか』との思惑が高まり、リラの支えとなった可能性がある。なお、トルコ中銀は8月インフレ指標に対する評価を発表し、消費者物価指数(CPI、前年比)コアが前回から鈍化したことを指摘した。CPI総合は政策金利を超えてきたが、エルドアン大統領の圧力で利上げがし難い状況は変わらない。そのため、次回会合ではコアの方向性が重要視され、『政策金利、現状維持』の理由にされるとの見方も出てきた。

 

南アでは4-6月GDPが発表:反応は軽微

本日は南アからは国内総生産(GDP)の発表が予定されている。GDPは本来ならば注目度が高い指標ではあるが、南アは7月に暴動があったことを重視すれば、4-6月期の指標で市場が反応するのは難しそうである。よって、引き続きランド円はコモディティ価格の値動きや、米金利などで上下する展開を予想する。

・4-6月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率2.5%/前年同期比17.5%)

 

メキシコは9日の8月消費者物価指数(CPI)に市場は注目

今週はメキシコペソを取り巻く環境で市場が最も注目する最新のインフレ指標が9日に発表される。先月31日にメキシコ中銀が発表した最新の四半期インフレリポートでは最終四半期時点でのインフレ予想を前回の+4.8%から+5.7%に引き上げたうえ、2022年の間は5%を上回る水準である見通しを明らかにした。2023年の第1四半期に目標の+3.0%に収れんするとしたが、明らかに中銀が一時的としていたインフレ高進に対する軌道修正が見られていることは明らかであり、中銀の利上げ期待はこれで根強いものとなる。9日の8月CPIは前年比で前回の+5.81%から+5.60%までやや鈍化する予想となっているが、インフレリポートのように同水準での高いインフレが来年も継続すると中銀が想定しているだけに、よほどのインフレ低下がみられない限りは利上げ期待が後退することにはならない。

 

米国で感染の減少基調の始まりを示唆:エバコア

エバコアISIは6日付リポートで、3日時点の米国の新型コロナウイルスの新規感染者(7日間平均)は2日の16万2000人から15万8000人へと2日連続で減少しており、いくつかの州で発表がなかったものの、『おそらく下降トレンドの始まりを示していた』と指摘している。現在では人口の74%をカバーする37州でデルタ波のピークを下回っているとした。また、この時点で、ワクチン接種回数(7日間平均)は94万件であり、2回目接種と3回目接種(ブースター接種)によってけん引され、前週と比べて6%上昇した。初回接種(7日間平均)は41万7000件で1週間前より4%低下した。米国人口の62.2%が少なくとも1回接種を終えたほか(成人の72.8%を含む)、52.9%が2回のワクチン接種を受けており、0.4%が3回目の接種を受けたという。『少なくとも1回目の接種を受けた成人の75%に達するのは、火曜日(7日)の次の更新ではおそらく合格となるだろう』との見解を示した。

 

利回りを求めジャンク債に資金が向かう:危うい取引が急増

高リスク社債の利回りが記録的な低さにある中、リターン向上を目指してさらにリスクの高い社債に目を向ける資産運用会社が増えている。ジャンク(投資不適格)債ファンドの運用会社の一部は、安全性が最も高い政府債のかつての利回り程度しか得られなくなったため、信用格付けがさらに低い債券に殺到している。より少額で透明性も低いが、売却の難しさから利回りが高い債券を買っている運用会社もある。近頃の低金利環境では、どんな戦略でも完全には満足できない。ブルームバーグ・バークレイズの1995年以降のデータによると、米ジャンク級社債の平均利回りは今夏に3.53%まで落ち込み、新型コロナウイルス流行前のどの時点と比べても1ポイント超低い水準となった。米国債との利回り差(スプレッド)の平均は過去最低に迫っている。

 

欧米市場イベント

○14:10   マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○14:45   8月スイス失業率(季節調整前、予想:2.8%)
○15:00   7月独鉱工業生産(予想:前月比0.8%/前年同月比5.1%)
○16:30   サンダース英MPC委員、講演
○18:00   9月独ZEW景況感指数(予想:30.0)
○18:00   9月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00   4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比2.0%/前年比13.6%)
○18:30   4-6月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率2.5%/前年同期比17.5%)
○8日02:00   米財務省、3年債入札
○ブラジル(独立記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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