FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:感染拡大のピークアウト期待感から買い優勢

前日の米国株高や、アジア株の底堅い動きが支えとなり、景気敏感株、半導体関連などのハイテク株をはじめとする幅広い業種で買いが先行した。米ファイザーの新型コロナウイルスワクチンが国内で正式に承認され、ワクチン接種の加速につながるとの思惑が買いを後押しした。外食や百貨店、旅行・レジャー関連、空輸、電鉄といった経済再開(リオープン)銘柄がしっかり推移した。自立反発の範囲内との見方がある一方、感染拡大のピークアウトを先取りする動きとの期待感も買いにつながった。結局、前営業日比237円高の2万7732円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の動きからドル/円はじり高

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.80円付近へ上昇した。日経平均株価の上げ幅拡大でリスク選好の動きが強まったことも円売りを誘った。午後は、NYダウ先物の底堅い動きやアジア株高を眺めたドル買い・円売りが入り、109.84円付近までじり高となった。米長期金利で小幅上昇したことも、ドル買いにつながった。ユーロ/ドルは、1.1740ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコでは露製ミサイル購入問題とアフガニスタン難民問題がリラの重石

トルコがロシアから地対空ミサイルS400を追加購入するとの露メディアの報道があった。これが本当であれば、米国やその他の北大西洋条約機構(NATO)同盟国との関係悪化は確実であり、再び対トルコ制裁への警戒感が高まる可能性がある。せっかく下値を切り上げつつあるリラ相場の腰折れにも繋がる。また、国際社会が注目しているアフガニスタン情勢については、難民問題で欧州とトルコで意見の食い違いがある。欧州サイドとしては、トルコが、タリバンを恐れてアフガニスタンを脱出した人々の最初の受け皿になってほしいが、世界で最も難民を受け入れているトルコはこれ以上の流入に難色を示している。単純に欧州が資金援助をすれば解決するような問題でもなく、先行き不透明感は高まる。

 

南アでは4-6月期の失業率:失業者増でも利下げに繋がらず

本日は南アから、4-6月期の失業率が発表される。失業率は非常に重要な経済指標だが、ここ最近は表面の数字だけでは判断がしにくくなっている。これは、南アだけではなく多くの国でも共通しているが、就活を諦めた失業者などが増加していることで、実際の失業率だけではなくデータの詳細を見ていく必要がある。なお、クガニャゴ南ア準備銀行(SARB)総裁が先週『持続可能な雇用を生み出すのは低金利や多くのお金を印刷することではない』と発言しているように、失業者が増えても利下げに踏み込むわけではないと表明していることで、今回の失業率での反応が限られることになる。

 

米住宅関連指標は改善するもマークイットPMIは減速傾向

全米不動産業者協会(NAR)が発表した7月中古住宅販売件数は前月比+2%の599万戸と、前月から予想外に増加し、3月来で最大の伸びとなった。事前にマークイットが発表した8月製造業PMI速報値は61.2と、7月63.4から低下し、予想も下回り4月来で最低となった。また、8月サービス業PMI速報値は55.2と、7月59.9から予想以上に低下し、昨年12月来で最低となった。さらに、8月総合PMI速報値は55.4と、7月59.9から低下しやはり昨年12月来で最低となった。

 

米国の感染ピークが過ぎていることを示唆

B of Aセキュリティーズは23日付リポートで、『ワシントン大学のIHMモデルなどの証拠からは、米国は現在、主にデルタ変異によって引き起こされる新型コロナウイルスの新規感染のピークレベルを超えていることを示唆している』と指摘した。入院者数の動向もピークを過ぎたことと矛盾しないほか、検査陽性率も低下基調にあり、感染のピークが過ぎていることを示唆しているという。実際には新型コロナの新規感染数がピークを迎えていない場合であっても、「この節目を目前に控えていることを示唆している」との見方を示した。英国を指針とすると、症例数の減少は急速に進む可能性があり、IHMEの予測では、『10月11日までに1日あたりの感染者数がピーク時から50%減少し、次回の米FOMCの開催時期である9月22日までには、40%近く減少すると予想されている』とも指摘した。これは、「米国で新型コロナウイルスの感染状況が悪化したため、2021年前半にこれまでのところ低調だったリオープニング取引を再開する良い兆しだ」との見解を示した。

 

今週末のパウエルFRB議長の講演に市場は注目

今週の為替相場では26‐28日に米カンザスシティー連銀が開催する国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)が注目イベントになっている。パウエルFRB議長は、米東部時間27日午前10時(日本時間:27日午後11時)に『経済見通し』についてオンライン講演を行う予定になっている。すでに11月にかけての量的緩和縮小(テーパリング)は織り込まれつつあるが、米国ではFRBによる超緩和策が一因となる形での物価上昇や住宅価格高騰が国民不満を高めている。バイデン米大統領の支持率低下の一因にもなってきた。その中でパウエル氏が緩和縮小や先行きの利上げに前向きメッセージを示すと、為替相場では全般的なドル高が支援されやすい。ただし、予想以上に緩和見直しへの前のめり発言が見られると、米国株は過去最高値推移による高値警戒もあって調整株安となる。為替相場ではリスク回避により、クロス円主導で短期的な円全面高も想定される。一方で現在の米国では変異種(デルタ株など)を含めたコロナ感染の再増加などで、景気の減速が懸念され始めた。その中でパウエル議長から金融緩和見直しへの慎重姿勢や当面の様子見が示唆されると、全般的なドル安の材料となりやすい。

 

欧米市場のイベント

○15:00   4-6月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比1.5%/前年同期比9.2%)
○15:00   4-6月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比9.6%)
○23:00   7月米新築住宅販売件数(予想:前月比3.6%/70.0万件)
○23:00   8月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:24)
○25日02:00   米財務省、2年債入札
○先進7カ国(G7)緊急首脳会議(オンライン形式)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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