FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:リスク回避の動きから年初来安値を下回る

朝方に安く始まった後も、上値の重い展開が続いた。新型コロナウイルスの感染拡大による内需回復の遅れが引き続き警戒されたほか、米中の景気が減速してグローバル企業の業績に影響しかねないとのリスクも警戒された。景気敏感株が弱かったほか、中国株や香港株が軟調に推移したことも重石となった。トヨタ伊自動車の減産見通しが伝わる中、輸送用機器セクターの戻りも鈍かった。取引時間中には一時、節目となる2万7000円を割り込む場面があった。結局、前営業日比267円安となる2万7013円と続落して終了した。1月6日付けた年初来安値(2万7055円)を約7ヵ月ぶりに下回った。

 

東京外国為替市場:日本株の下落を横目に109.60円近辺でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行して109.90円付近まで値を上げた。しかし、週末を控えて積極的な上値追いは手控えられた。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大を眺めたドル売り・円買いに押される展開になり、109.65円付近へ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.1685ドルを挟んで小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

7月本邦全国消費者物価指数は12ヵ月連続で下落

総務省が発表した7月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合指数が99.8と前年同月比0.2%下落した。下落は12ヵ月連続となった。今春に値下がりした携帯電話通話料が指数を押し下げた。携帯通信料は前年同月比39.6%下落した。NTT傘下のNTTドコモのオンライン専用プラン『アハモ』など、携帯大手各社が割安な新料金プランを開始した影響が出た。一方、原油高によるエネルギー価格の上昇を背景に生鮮食品を除く総合の下落幅は前月の0.5%低下に比べて縮小した。『光熱・水道』の灯油が25.2%上昇し、『交通・通信』のガソリンが19.6%上昇した。災害発生件数の増加に伴い火災・地震保険料も押し上げに寄与した。生鮮食品を除く総合指数は前月比では0.4%上昇した。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は前年同月比0.6%下落した。マイナスは4ヵ月連続。生鮮食品を含む総合は0.3%下落した。

総務省は5毎にCPIの基準改定を実施している。今回の発表から、これまでの『2015年基準』から「2020年基準」に切り替わった。

 

トルコの外貨準備高のデータに今後も注目

トルコ中銀が発表した週間データによれば、13日時点の外貨準備高(グロス、金保有高を除く)は673.5億ドルと前週比0.56%減となった。年初来では約35%拡大しているとはいえ充分な金額とは言えず、外貨準備高枯渇への懸念を払しょくするには至っていない。今後も準備高のデータやニュースには目を向けておく必要がある。

 

トルコが難民問題で欧州をけん制

イスラム原理主義勢力・タリバンがアフガニスタンを掌握したことで、同国からの難民増加に対する懸念について、エルドアン・トルコ大統領は欧州が責任を持って対処すべきとの意見を述べた。大統領は、トルコは『移民・難民の保管庫』になるつもりはないとし、難民問題でトルコと協力したいとする欧州をけん制した。世界で最も難民を受け入れていると言われるトルコではあるものの、直近の世論調査では国民の多くがこれ以上の引き受けに難色を示している。エルドアン大統領の発言も国内向けであるが、欧州との関係性に絡むことでもあり、今後の動向が注目される。

 

南アでは4基の発電ユニットが使用停止

国内のニュースとしては、昨日国営電力会社エスコムがボイラーチューブの漏れを修理するためなどが原因で、4基の発電ユニットが使用できなくなった。これにより、急な負荷制限を実施する可能性を示唆した。あまりにも頻繁に負荷制限が行われることで市場の反応は限られているが、南アにとってネガティブなニュースではある。

 

米国では雇用関連指標は改善方向

労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数は2.9万件減の34.8万件と、前回37.7万件から予想以上に減少した。4週連続の減少となり、パンデミック以降で最小となった。失業保険継続受給者数も282万人と、やはりパンデミック以降で最小となった。同時刻に発表された米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は19.4と、7月21.9から上昇予想に反して低下した。昨年12月来で最低となった。

 

バイデン米大統領は同盟国防衛を強調:台湾も同様と失言

バイデン米大統領は18日放送の米ABCテレビのインタビューで、日本や韓国など同盟国が侵略を受ければ『米国は約束を守る』と述べ、防衛義務を果たす方針を強調した。米軍撤収に伴う混乱が続くアフガニスタンとは『根本的な違いがある』と明言した。防衛義務を果たすかどうかを疑う見方を一蹴した。米軍のアフガン撤収を巡る混乱で同盟国の一部には米国の対応を批判する声があがっており、懸念をぬぐう狙いがあるとみられる。バイデン氏は北大西洋条約機構(NATO)の名をあげて『(加盟国の防衛義務を定めた)北大西洋条約第5条の神聖なる約束がある』と力説したうえで『それは日本、韓国も同じだ』と語った。
バイデン氏は続いて『台湾も同じだ』とも述べた。ただ、米国は台湾防衛の意思を明確にしない『戦略的曖昧さ』と呼ばれる政策をとっており、同氏の発言はこれと異なる。就任前から失言癖で知られるだけに、口を滑らせた可能性がある。

 

欧米市場のイベント

○15:00   7月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.8%)
○15:00   7月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.4%/前年比6.0%)
○15:00   7月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.2%/前年比5.7%)
○15:00   4-6月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○21:30   6月カナダ小売売上高(予想:前月比4.4%/自動車を除く前月比4.6%)
○24:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○21日02:00   バイデン米大統領、アフガニスタン退避の状況について説明

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ