FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:アジア株の軟調な値動きを嫌気した売り

米国株安を嫌気して、寄り付きから3桁の下落となった。米国株市場でフィラデルフィア半導体指数が3日続落したことを嫌気し、半導体関連株が軟化したほか、先駆した海運株も利益確定売りに押された。また、中国などアジア株の軟化が嫌気されたほか、NYダウ先物が方向感なく推移していることが意識された。一方で、相場を取り巻く環境の不透明感から、医薬品や食料品などディフェンシブ銘柄が活況となった。14時半すぎに『トヨタ自動車が9月の世界生産を計画比で4割減らす』と伝わると、日経平均は下げ幅を300円超に広げた。結局、前営業日比304円安の2万7281円となった。1月6日以来約7か月半ぶりの安値となった。8月第2週の海外投資家は1576億円の買い越しとなり、2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米FRBの早期テーパリング着手への観測からドル買い

ドル/円は、米FRBが早期にテーパリングに着手するとの観測からドル買い・円売りが進み110.20円近辺まで上昇した。原油先物の下落を嫌気した資源国通貨安・ドル高が波及した面もあった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、欧米金融政策スタンスの違いを意識したユーロ売り・ドル買い基調が続き、1.1666ドル付近まで下落し、昨年11月以来の安値を付ける場面もあった。

 

インフレ高進なら株式と債券双方のリターンに打撃:SWF

ノルウェーが誇る世界最大の政府系ファンド(SWF)運営機関トップは、インフレが高進すれば株式と債券双方のリターンが打撃を受けると警告し、潜在的なインフレの衝撃をかわす余地は限られているとの認識を示した。タンゲンCEOは18日にブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、『われわれは極めて長期の投資家だ。また、規模があまりに大きいため、身軽に動くことがやや困難だ』と発言した。『カウンターパーティー(取引相手)にとってもある意味、大き過ぎる』と話した。NBIMが運営するSWFの規模は1兆4000億ドル(約154兆円)に上る。『現在は債券利回りが極端に低く、株式相場が極めて高い状況だ。従ってインフレ動向に大きな変化があった場合は、ポートフォリオの両方の部分が打撃を受ける』と発言した。『過去には、その片方が起きていれば、もう片方はなかった。しかし今回は、両方が同じ方向に動き得る』と語った。

 

金ETF(GLD)から資金流出続く:年初来で86億ドル超の流出

18日の米国市場で金を投資対象とするSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)から資金が流出した。QUICK Fact Set Workstationによれば、1億1718万ドルの流出となり、過去1週で4億ドル超の流出となった。この日のGLDは前日比0.07%高の167.10ドルで小反発して終えたが、戻したところでは売りが出やすかった。GLDは米国でインフレ懸念が取り沙汰されている割に今年のフローは流出傾向にあり、年初来で86億ドル超の流出となっている。

 

トルコに流れ込むアフガニスタン難民が今後の問題に

アフガニスタンを占領したイスラム原理主義勢力・タリバンが穏健的な声明を発表したため、エルドアン大統領は協力する姿勢を示した。今後は、トルコがタリバンと欧米との仲介役になり得るかが注目される。ただし、いくらタリバンが柔和な態度を示してもアフガニスタンから逃れたい人々は途絶えない。イラン経由でトルコを目指すアフガニスタン人も多く、毎日500人から1000人がイラン経由で入国しているとトルコメディアは報じている。既に約370万人のシリア難民を抱えるトルコとしてはこれ以上の難民を許容できるのか問題になってくる。

 

南アランドは利上げが難しいことから重しに

昨日発表された7月の消費者物価指数(CPI)は、市場予想通りの4.6%となった。南ア準備銀行(SARB)の目標とする3.0-6.0%の中心値をやや上回ったが、この3カ月の中では低い結果となっている。クガニャゴSARB総裁は、この結果について『インフレは大きなリスクではない』と述べている。先月のデモなどによる国内情勢不安もあることで、SARBの利上げは現時点では考えにくいことで、他の新興国の金利と比較すると低金利なことがランドの重しとなる。

 

米7月FOMC議事要旨:今後のコロナ感染や経済の進展次第の状況

米連邦準備制度理事会(FRB)は7月に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の中で、経済が一段と進展し、緩和縮小を巡り、ほとんどの参加者が年内の実施が適切と主張したことが明らかになった。ただ、他のメンバーは、来年初旬が適切だと主張し見解が分かれた。見通しにも、かなりの不透明感があると指摘されている。特に、新型コロナウイルスのデルタ変異株が不透明性に繋がり、見通しの下方リスクになる可能性も警告されている。緩和縮小の条件とされている経済の『著しい一段の進展』も、まだ達成できていないとしており、タイミングはまだ不透明のままである。デルタ株流行が予想より悪化した場合、見通し修正もあり得るとしており、今のところ、年内の緩和縮小を適切と考えている委員も、今後の展開次第では、見通しを修正する可能性は十分にある。緩和を続けていることにより、金融安定リスク上昇を指摘するメンバーもいれば、一方で、物価の下方圧力の再発リスクを指摘するメンバーもおり、緩和縮小の軌道にあるものの、方針はあまり固まっていない模様である。緩和縮小のタイミングはデルタ株の行方や8月雇用統計、政府の失業者緊急支援措置が失効したあとの労働市場の状況などの行方次第となる可能性がある。

 

GSの米成長予想を下方修正:デルタ変異株の影響

米銀ゴールドマン・サックス・グループ(GS)のエコノミストは、2021年の米経済成長予想を引き下げた。新型コロナウイルスのデルタ変異株による影響は予想以上で、サプライチェーンのさらなる混乱とインフレ率上昇の前兆とみている。ゴールドマンは今年の米国内総生産(GDP)成長率を6%と予想した。従来の予想は6.4%だった。ゴールドマンは、22年については4.5%と、従来の4.4%からわずかに引き上げた。
デービッド・メリクル氏らエコノミストは18日の顧客向けリポートで、『成長とインフレへのデルタ変異株の影響は予想していたよりやや大きいことが判明しつつある』と指摘。『デルタ変異株などの混乱で、供給がひっ迫している耐久財の価格は年内さらに上昇する公算が大きい』との見方を示した。

 

欧米市場イベント

○15:30   4-6月期スイス鉱工業生産指数
○17:00   6月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○17:30   7月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比3.7%)
○21:30   8月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:23.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:36.3万件/280.0万人)
○23:00  7月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.8%)
○インド(イスラム教新年)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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