FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:自立反発狙いの買い優勢

このところ軟調だった反動で自立反発狙いの買いが優勢となったほか、上海総合指数や香港ハンセン指数などのアジア株の底堅い動きも支援した。ただ、市場では引き続き国内での新型コロナウイルス新規感染者数の増加を警戒する声が聞かれるほか、政局の不安定化を懸念する声も少なくなかった。結局、前営業日比161円高の2万7585円で終了した。

 

東京外国為替市場:手掛かり材料難から109円台半ばでもみ合い相場

ドル/円は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、109.50円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りはなかった。午後のドル/円は、米長期金利上昇を眺めたドル買い・円売りが入り、109.68円付近までじり高となった。ただ、19日早朝に公表される米FOMC議事要旨を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。短期筋による利食い売りも見られ、小幅に値を下げて109.65円前後での動きとなった。ユーロ/ドルは1.1715ドル前後で方向感に乏しい値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英賃金上昇率が過去最大:かつてないほどの人手不足

英国の賃金が過去最大の伸びを記録、先月の新たな求人件数は初めて100万件を超えた。新型コロナウイルス対策に伴うロックダウン(都市封鎖)規制が緩和され、かつてないほどの人手不足に陥っている。政府統計局(ONS)の17日発表によれば、6月まで3カ月間の平均賃金は前年同期比8.8%増と、過去最大の上昇率となった。今回の統計内容にはコロナ禍の影響である程度のゆがみがあるものの、足元の賃金上昇圧力はペースが加速している。賃金上昇や求人増加は、英国が過去300年で最も深刻な景気低迷から急速に回復していることを裏付けるが、イングランド銀行(英中央銀行)は労働市場の逼迫は一時的だとみる。

 

イランがウラン濃縮を加速:西側諸国の協議に影を落とす可能性も

国際原子力機関(IAEA)の報告書から、イランがウラン濃縮度を兵器扱いに近い水準に引き上げていたことが分かった。イランは4月に中部ナタンズ核関連核施設で発生した電気系統の問題を受け操業に影響が出たことを受け、ウラン濃縮度を20%から60%に引き上げた。兵器級のウラン濃縮度は90%である。核合意再建に向けたイランと西側諸国の協議に影を落とす可能性がある。

 

トルコは地域和平に向けた役割を果たすことができるか

国際社会が注目しているアフガニスタン情勢に関し欧州連合(EU)は、ほぼ全土を掌握したイスラム原理主義勢力タリバンを承認するかどうかは別にして、まずは話し合わなければならないという方針を示し始めた。両者が協議する上で今後、タリバンのリーダーに『同盟国』と名指しされたトルコが仲介役となる可能性もある。 トルコが地域和平に向けての役割を果たすことができれば、同国の国際的な信用度はかなり増すことになる。ただ気をつけなければならないのは、イスラム原理主義に絡んだ何らかの怒りをトルコが買ってしまうことである。2015年から17年のように同国がテロの標的となってしまうようだと、再びリラが下値を模索することになる可能性もある。

 

南アの7月インフレ指標が公表:暴動後は利上げ論は後退

本日は注目度が高い南アの消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。市場は前年比で+4.6%と予測し、3カ月連続で南ア準備銀行(SARB)の目標レンジ3-6%の中心値を上回ると予想している。本来ならばインフレ高止まりにより利上げ予想も出てくるが、先月の南アの暴動以来利上げ論が大幅に後退している。余程大きく市場予想との乖離がない限りは、市場の反応は限られる。また小売売上高も発表されるが、暴動前の6月の数値のため市場が反応するのは難しい。

・7月南アフリカCPI(予想:前月比1.1%/前年比4.6%)
・6月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比9.6%)

 

米国ではデルタ変異株流行が消費に悪影響

商務省が発表した7月小売売上高は前月比-1.1%になった。6月+0.7%から伸びは再びマイナスに落ち込んだ。そして、市場予想も下回った。ガソリンスタンドや外食の売り上げが伸びた一方、自動車・自動車部品、衣料品やスポーツ用品の売り上げが減少した。変動の激しい自動車を除いた7月小売売上高も前月比-0.4%と、6月+1.6%から予想外のマイナスに落ち込んだ。国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車・建材・給油を除いたコントロールグループと呼ばれる7月小売売上高は前月比-1.0%になった。伸びは6月+1.4%からマイナスに落ち込み、下落率は予想のほぼ4倍になった。7-9月GDPの成長が抑制される可能性を示唆した。政府支援により押し上げられた需要が一段落したほかパウエルFRB議長も警戒していた新型コロナウイルスのデルタ変異株流行で、消費者マインドが再び悪化した。

 

バイデン米大統領の支持率は就任以来最低

16日に実施したロイター/イプソスの週間世論調査によると、バイデン米大統領の支持率は前週から7ポイント下がって46%となり、就任以来最低を記録した。米国が支援してきたアフガニスタンの民主政権崩壊と、イスラム主義組織タリバンによる政権掌握が影響したとみられる。16日に行った別の調査では、今年に入ってからバイデン氏が遂行したアフガンの外交・軍事政策について肯定的な評価は5割に届かず、過去の3人の大統領が進めてきたアフガン政策に対する評価を下回った。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比2.3%)
○15:00      CPIコア指数(予想:前年比2.2%)
○15:00   7月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.3%/前年比3.6%)
○17:00   7月南アフリカCPI(予想:前月比1.1%/前年比4.6%)
○18:00   6月ユーロ圏建設支出
○18:00   7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.2%)
○18:00   7月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.7%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   6月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比9.6%)
○21:30   7月カナダCPI(予想:前月比0.3%/前年比3.4%)
○21:30   7月米住宅着工件数(予想:160.0万件、前月比▲2.6%)
         建設許可件数(予想:161.0万件、前月比1.0%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○19日01:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○19日02:00   米財務省、20年債入札
○19日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月27日-28日分)

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