FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:戻り上値の重さを嫌気して4日続落

前日のNYダウ最高値更新を好感したほか、自立反発を狙った買いが優勢となった。ただ、新型コロナウイルスの変異種『デルタ』の感染拡大が依然として警戒されており、積極的な上値追いの原動力にはならなかった。市場では緊急事態宣言の延期・対象地区拡大により、経済正常化の遅れを懸念する声も聞かれた。後場には下げに転じて安値引けとなった。結局、前営業日比98円安の2万7424円と4日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買い強く上値の重い展開

ドル/円は、日経平均株価の上げ幅縮小を眺めたドル売り・円買いが入り109.20円付近まで下落した。アフガニスタン情勢が緊迫化していることもリスク回避の円買いを誘った。ただ、前日比の海外市場でつけた109.12円が下値目処として意識されると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、109.30円付近へ値を切り返した。午後は、手掛かり材料難から109.30円前後で方向感の乏しい展開が続いた。ユーロ/ドルは、1.1770ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国は雇用支援に向け財政・金融政策強化へ

中国国務院(内閣に相当)は、『クロスシクリカル』な調整を一段と進め、経済運営を妥当なレンジに維持し、効果的な投資の促進に向け地方債を活用する方針を表明した。このほか、主要コモディティー(商品)の価格上昇への対応策を改善し、銀行の預金準備率引き下げで得られた資金を中小企業支援に利用する方針なども示した。中国国家統計局が発表した7月の鉱工業生産と小売売上高はともに前年同月比の伸び率が6月から鈍化し、市場予想も下回った。輸出の減速に加え、新型コロナウイルスの国内感染拡大や洪水で景気の下振れ圧力が強まる兆候が見られている。

 

アフガニスタン情勢でトルコのプレゼンスが高まるか注目

国際社会が警戒感を高めているアフガニスタン情勢では、トルコの役割が重要となってきている。国外への脱出を望む人たちで混乱に陥ったカブール空港では、米国防省がトルコ軍などと制御に努めていることを表明した。また、エルドアン・トルコ大統領は先週、(イスラム原理主義勢力)タリバンと話し合う用意があると述べ、アフガニスタンのほぼ全域を掌握したタリバンのリーダーは『トルコは同盟国である』との見解を示したとも報じられている。地域和平に向けてトルコのプレゼンスが高まれば、今後の欧米との関係改善にも繋がる可能性もある。

 

南ア準備銀行総裁のインタビューが話題

市場を動意づけてはいないが、週末に行われたクガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁のインタビューが話題になっている。総裁は『SARBは物価の安定と最大の雇用を追求するという二重の使命を持っていると思っている人たちがいるが、持続可能な雇用を生み出すのは低金利やより多くのお金を印刷することではないことを認識する必要がある』と述べている。これは雇用についてSARBに責任がないということではなく、構造改革などの根本的な改革がない状況で、SARBの金融政策だけでは雇用を増やすことはできないという意味である。来週に南アの4-6月期失業率が発表されることで、雇用悪化が金融政策に影響を与えるものではないと事前にくぎを刺したとも言える。

 

コロナ感染の再増加などで米FRBの金融緩和見直し姿勢に注目

米国市場では、本日パウエルFRB議長の講演と質疑応答が予定されている。また、18日にはFRBが7月27-28日に開催したFOMCの議事録が公表される予定となっている。
米国では変異種(デルタ株など)を含めたコロナ感染の再増加などで、景気の減速が懸念され始めた。その中でFRBから金融緩和見直しへの慎重姿勢が示されると、為替相場ではドル安の材料となりやすい。

 

米国市場では7月小売売上高が公表:予想は前月比∸0.2%

6月実績では、主要13分野のうち9分野で売上高が増加したが、自動車・同部品ディーラーの売上高は減少した。7月については、衣料品、電気製品の売上高は前月並みとなる可能性があるが、自動車円同部品ディーラー、オンラインの売上高は減少する可能性があることから、全体の売上高は減少する可能性がある。

 

米国市場では7月鉱工業生産が公表:予想は前月比+0.5%

原材料の供給不足や出荷遅延、熟練労働者の不足などで生産が抑制されており、製造業の生産水準はさえない状態が続いている。この状況は7月も大きく変わらないと予想されており、やや小幅な伸びにとどまる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   4-6月英失業率(ILO方式、予想:4.8%)
○18:00   4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値(予想:前期比2.0%/前年比13.7%)
○21:00   菅首相、新型コロナウイルス対応について記者会見
○21:15   7月カナダ住宅着工件数(予想:27.50万件)
○21:30   6月対カナダ証券投資
○21:30   7月米小売売上高(予想:前月比▲0.2%/自動車を除く前月比0.1%)
○22:15   7月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
         設備稼働率(予想:75.7%)
○23:00   6月米企業在庫(予想:前月比0.8%)
○23:00   8月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:80)
○18日02:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、討議に参加
○18日04:45   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演

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