FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:戻り売り圧力が警戒され高値もみ合い

前日の米国株式市場の上昇を受けて朝方から堅調地合いを維持し、引き続き好決算銘柄を中心に物色される展開となった。ただ、戻り売り圧力が警戒され、中ごろから高値圏でのもみ合いに終始した。午後になると材料が乏しくなり値動きは次第に小さくなった。結局、182円高の2万8070円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:110.70円が上値目処として意識される展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、110.69円付近まで値を上げた。日経平均株価の続伸でリスク選好が高まったことも、円売りを誘った。ただ、7月14日につけた高値110.70円が意識されると上げはは一服した。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、110.65円を挟んで方向感に乏しい値動きが続いた。今晩発表される7月米消費者物価指数(CPI)や米FRB当局者の講演を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1720ドル前後でこう着した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の社債市場の急落が世界の債券ファンドにも波及

中国当局による締め付けの動きが国内の社債市場を大きく揺るがし、世界の市場に余波が広がっている。その媒介役となっているのが、中国の証券を近年積み増してきた欧米の資産運用大手だ。新興国を専門とする投資家はかねてからこうした衝撃にさらされてきた。だが中国の債券は今や、世界で広く保有されるようになっており、価格変動はパシフィック・インベストメント・マネジメント(ピムコ)やブラックロックといった途上国を専門としていない会社が運用する債券ファンドにも影響を与えている。中国社債の保有が多い世界の債券ファンドは、5日までの1カ月間の運用成績が、それぞれのベンチマークをアンダーパフォームした。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が調査会社モーニングスターのデータを分析した。背景には、中国当局による規制強化や政策シフトを嫌気して民間教育サービス、テクノロジー、不動産会社の株式・社債が売り込まれたことがある。

 

トルコではポジティブ材料が重なりリラを下支え

欧州序盤に発表された6月トルコ失業率が10.6%と前回13.2%から大幅に改善したこと、トルコ南西部で発生した山火事の被害が縮小していること、ドル/円が110円台で堅調に推移していることなどが支えとなった。トルコの電子取引プラットフォーム『トレンドヨル』が、ソフトバンクグループなどから計15億ドルの調達で合意との報道もリラ買いの材料となった。しかし、 昨日発表されたトルコ失業率は大幅に改善されたが、まだコロナ制限が完全に解除される前でもあり、求職人数が減ったということが要因の1つである。15歳から24歳の若年層失業率は22.7%と前回から0.2%悪化しており、トルコ労働市場は依然として楽観視はできない。

 

南アのズマ前大統領は刑務所から病院へ移行

ズマ前大統領の高等裁判所への出廷は、前大統領が刑務所から病院へ移されたことで延期になった。ただ、これにより懸念されていたデモや暴動が回避はされたとは言えず、逆に病気を理由にズマ支持者は前大統領の解放を訴えている。前大統領の弁護士は『ズマ氏は心的外傷を抱え、18カ月の措置入院が必要』と述べていた。どこの国の政治家も不利な状況に陥ると病院に入るのは変わらないようである。いずれにせよ、前大統領が残した負のレガシーが現政権にとって様々な面で負担になり続けそうである。

 

メキシコ中銀の金融政策決定会合待ちの様相

市場は12日に予定されているメキシコ中銀の金融政策決定会合を見極めたいとの見方がすでに広がっている可能性がある。現時点では0.25%の連続利上げがコンセンサスとなっているが、重要なのはさらなる利上げを声明文で示唆するかどうかである。そして、7月に入っても収まらないインフレ高に対してどう表現するのかに焦点が向けられており、それまでは様子見ムードが広がる可能性が高い。

 

米労働市場の過熱感:年内の緩和縮小開始も現実味を帯びる

7月雇用統計は6月に続き2カ月連続で100万人近くの雇用が増加、失業率も低下したほか、賃金も上昇、労働参加率も上昇するなど労働市場の強い回復を示す結果となった。続いて発表された6月JOLT求人件数も1007.3万件と、初めて1000万件の大台に乗った。5月分も920.9万件から948.3万件へ上方修正。過去6カ月間に330万件の求人が新たに加わった。一方、依然、1100万人近くの失業者は様々な緊急パンデミック失業者支援の支給を受けている。現状では、7月時点の総失業者数870.2万人に比べ求人件数は137.1万件上回るなど、企業の人手不足の状況を反映。 労働市場への自信を示すとして、特に注目される自発的な退職者数は23.9万人増の3.9万人。退職率(Quits rate)は2.7%と、5月2.5%、昨年1.9%から上昇した。解雇者は一段と減少し、過去最低水準近辺の130万人を維持するなど、労働市場の過熱感も強まりつつある。数人の連邦準備制度理事会(FRB)高官も、9月にも緩和縮小計画を発表し、年内の開始を推奨。市場は現状で2022年初旬の緩和縮小開始を予想しているが、8月の雇用が同様に強く、デルタ株の経済への影響も限定的になった場合は、年内の緩和縮小開始も現実味を帯びてくる。

 

米10年債利回りが1.43%を超えると利回り上昇加速の可能性

米国債がさらに売られれば(利回りは上昇)、住宅ローン関連のヘッジが活発化し、10年物利回りが1.43%を超えるとさらに加速する可能性がある。モルガン・スタンレーのストラテジストらはこのようにみている。ストラテジストの計算によれば、住宅ローンのサービサーは利回りが1.43%になると、0.93%に低下した場合に比べてポートフォリオのデュレーションが2倍に伸びるため、それに対応してヘッジのための米国債売却(コンベクシティヘッジ)が必要になる。これは、利回りがさらに1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇するごとに10年物米国債47億ドル(約5200億円)相当の売り圧力となることを意味する。

 

米国市場では7月消費者物価コア指数が公表:予想:前年比+4.3%

6月実績は前年比+4.5%だった。中古車、ホテル宿泊費、レンタカー、衣料品、航空運賃などの価格が主に上昇した。7月については、中古車、ホテル宿泊費、航空運賃などの価格は高止まりが予想されており、インフレ率は6月実績に近い水準になると予想される。

 

欧米市場のイベント

○15:00  7月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.9%/前年比3.8%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   6月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.2%)
○21:00   6月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比9.1%)
○21:30   7月米CPI(予想:前月比0.5%/前年比5.3%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比4.3%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○23:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○12日01:00   ジョージ米カンザスシティ連銀総裁、講演
○12日02:00   米財務省、10年債入札
○12日03:00   7月米月次財政収支(予想:3070億ドルの赤字)

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