FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:個人投資家の利益確定売りが重荷

週末に雇用統計を消化した後の米国株式市場が底堅く推移したことを受け、東京株式市場では好決算銘柄を中心に買いが先行した。その後は、機関投資家不在の『夏枯れ相場』で個人投資家の利益確定売りが重荷となり、急速に上げ幅を縮小しもみ合い相場となった。市場では、朝方の香港市場でのハンセン指数の急速な下げに伴い、日経平均株価も連れ安となったとの見方もあった。短期筋が日経平均先物に継続的に売りを出し、下落に転じる場面もあった。結局、前営業日比68円高の2万7888円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:材料難から110円台前半でもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、110.40円付近まで値を上げた。しかし、今晩の米国株価動向を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な上値追いは手控えられた。その後、日経平均株価が急速に上げ幅を縮小すると、持ち高調整などのドル売り・円買いに110.30円近辺へ押し戻された。午後は、手掛かり材料に乏しく、110.30円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。明日発表される7月米消費者物価指数(CPI)を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1740ドル近辺でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率が低下しユーロ買い比率は上昇

QUICKが算出した6日時点の店頭のFX6社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末から6.1ポイント低下の58.3%だった。前週の円相場は週末にかけて弱含む場面が目立った。個人投資家は相場の流れに逆らう『逆張り』の傾向が強く、円買い・ドル売りに持ち高を傾ける動きが活発だった。前週の円相場は週半ばにかけて1ドル=108円台後半まで上昇したものの、米雇用関連指標の改善を受けた米長期金ンりの上昇を背景に週末には110円台前半まで下落した。1週間を通じては円安・ドル高が進む結果となり、個人投資家による逆張りの円買い・ドル売りが増えた。他の通貨ペアでも円を買って、外貨を売る動きが目立った。円に対するオーストラリアドル買い比率は4.6ポイント低下の72.1%、ポンド買い比率は1.2ポイント低下の43.5%だった。一方、円に対するユーロ買い比率は2.8ポイント上昇の34.7%だった。

 

トルコ中銀・金融政策会合への警戒感がリラの重石

8月12日に開かれるトルコ中銀・金融政策決定会合への警戒感もリラの重しに繋がっているとの声も聞こえる。物価高騰にもかかわらず、エルドアン・トルコ大統領は『金利が下がればインフレも低下する』という自説を振りかざし、金融当局に対し利下げ圧力を強めている。今週の中銀会合に対する市場コンセンサスは『政策金利、19%で据え置き』ではあるが、トルコメディアによれば、一部からは『金融政策委員会(MPC)がハト派スタンスに傾くのではないか』との見方も出てきた。 7月トルコ消費者物価指数(CPI)が前年比18.95%と2019年4月以来の水準まで上昇するなか、もしトルコ中銀が引き締め姿勢を維持できないようであれば、『中銀の独立性』への信頼度はガタ落ちし、リラを手放す動きが進む可能性が高い。12日までは中銀会合に向けての思惑でリラは振らされることになる。

 

南アフリカではズマ前大統領が初めて出廷する予定

昨日は南アフリカが『女性の日』で祝日だったこともありランドの市場流動性が低いなか、軟調な貴金属市場などが嫌気された。なお、本日は、先月に法廷侮蔑罪で収監されたズマ前大統領が初めて出廷する予定である。出廷するクワズールナタール州のピーターマリッツバーグ高等裁判所には、多数のズマ支持者が集まる可能性が高いとされている。そのため南アの国家警察は、クワズールナタールを含め各地で前回のようなデモ(暴動)などに発展しないように警戒を強めている。今回のように警察がしっかりとした対策を準備しているときには、デモは拡大し難いと思われるが、現地の状況には注意を怠らないようにしておいたほうが良い。

 

メキシコの7月CPIに注目:予想:前年比5.8%、前年比コア4.8%

本日の最新7月消費者物価指数(CPI)が注目される。メキシコ中銀が目標とする3%±1%からはまだまだ高いインフレを保つ中、中銀の見通しでは4-6月のピークを過ぎて本日発表される7月CPIから低下傾向に入るとの予想を立てている。ただ、現時点で予想は前回の+5.88%からわずかに低下する程度になっている。これにより、インフレ高は一時的ではないと市場が判断した場合はさらなる追加利上げへの期待が高まりやすいと思われる。そして、12日にはメキシコ中銀の政策金利発表が控えている。市場予想は4.50%への連続利上げとなっており、声明で追加利上げについて言及があれば、ペソ買いが強まることになる。そういった意味でも、今週は週後半の金融政策決定会合を控えて期待感からペソは底堅く推移しそうである。

 

アトランタ連銀総裁は22年の利上げ開始を予想

アトランタ連銀のボスティック総裁は、もし、今後、1,2カ月間の雇用統計が7月分のような良好な結果がでれば著しい更なる進展目標が達成すると、緩和縮小を示唆した。もし、雇用が急増した場合、9月の緩和縮小決定を支持する可能性もあるとした。同総裁は、2022年の利上げ開始を予想していることも明らかにした。

 

米雇用は過熱感を示唆していとの見方も強まりつつある

米労働省が発表した米国の6月JOLT求人件数は1007.3万件となった。予想927.0万件を上回り、初めて1000万件の大台に乗った。5月分も920.9万件から948.3万件へ上方修正された。過去6カ月間に330万件の求人が新たに加わった。産業別ではプロフェッショナル、ビジネスサービスで22.7万件増、小売りで13.3万件増、宿泊、食品サービスで12.1万件増だった。 依然、1100万人近くの失業者は様々な緊急パンデミック失業者支援の支給を受けている。7月雇用統計の結果に一致する形で、労働市場のスラックも改善基調にある。雇用の過熱感を示唆しているとの見方も強まりつつある。数人の連邦準備制度理事会(FRB)高官も、9月にも緩和縮小計画を発表し、年内の開始を推奨している。8月の雇用が同様に強く、デルタ株の経済への影響も限定的になった場合は、年内の緩和縮小開始も現実味を帯びてくる。

 

米債務上限巡り議会は超党派で対応を:イエレン米財務長官

イエレン米財務長官は9日、連邦政府の債務上限が今月から復活したことを受け、議会が上限引き上げに向け超党派で対応するよう改めて訴えた。声明で、債務上限の引き上げは政府の歳出を増やすことが目的ではなく、『単純に財務省が以前に取り決めた支払いを可能にするもので、こうした義務が果たせない場合、米経済や全ての国民の生活に取り返しのつかない損害を及ぼすことになる』と警告した。2年間続いた債務上限の適用停止措置は7月末に失効し、現行の債務水準である28兆5000億ドルに上限が設定された。議会予算局(CBO)では上限復活に伴い10月にも資金が枯渇する恐れがあるとしている。財務省はすでに公務員の退職年金基金などへの拠出を停止するなどの措置を発表している。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月ノルウェーCPI(予想:前月比0.8%/前年比2.9%)
○16:00   6月トルコ失業率
○18:00   8月独ZEW景況感指数(予想:56.7)
○18:00   8月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:00   7月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.93%)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比3.5%)
○21:30   4-6月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比1.1%)
○23:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○11日02:00   米財務省、3年債入札

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