FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:景気敏感株売りで上値の重い展開

米景気減速や新型コロナウイルスの感染拡大、中国株の軟調な動きなどへの警戒感が重石となって、朝方に安く始まった後も、景気敏感株などで上値の重い展開が続いた。また、国内感染拡大の動きも重石となり、外食や百貨店、空運、鉄道、不動産などは弱い値動きになった。結局、前営業日比139円安の2万7641円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:109.00円が意識され下げは一服

ドル/円は、日経平均株価の反落やアジア株安を眺めたドル売り・円買いが入り、109.20円付近へ下落した。前日に発表された7月米ISM製造業景況指数が低調な数字だったことも、ドルの重石となった。午後に入っても軟調地合いは続き、米長期金利が小幅に低下すると、さらにドル売り・円買いが進んで109.13付近まで値を下げた。ただ、心理的節目の109.00円が視野に入りすると下げは一服した。その後は値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、109.20円付近へ値を切り返した。ユーロ/ドルは、1.18ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

4-6月期のGDPの予測では回復ずれ込み予測:コロナ感染拡大から

内閣府が8月16日公表する2021年4-6月期の実質GDP(国内総生産)速報値について、民間シンクタンク12社の予測が2日、出そろった。平均値は前期比0.2%増、年率換算で0.8%増と、1-3月期(年率3.9%減)から2四半期ぶりのプラス成長となる見込み。ただ、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言下で個人消費の低迷が続き、低い伸びにとどまる見込。7-9月期も低成長となり、コロナ禍からの回復はずれ込むとの見方が強まっている。

 

7月末の公募投信残高は9ヵ月ぶりに減少:154.39兆円

7月末時点の国内公募投資信託の純資産総額(残高)はQUICK資産運用研究所の推計で154.39兆円となり、前月末から2.29兆円減った。9ヵ月ぶりに減少し、過去最高の記録更新が途切れた。ファンド本数は5883本(同8本減)だった。内訳はETF(上場投資信託)の残高は58.83兆円と、過去最高だった前月末から2.35兆円減少した。60兆円を下回るのは3ヵ月ぶりとなる。国内株式の下落が響いたほか、日銀による買い入れがなく、資金流入も少なかった。一方、ETF以外は辛うじて前月比プラスを維持した。5ヵ月連続で過去最高を更新し、95.56兆円(前月末は95.50兆円)に増えた。ETFを除く追加型株式投信に9000億円を超える資金が流入したことが大きい。また、米国株式相対的に堅調だったことも支えとなった。

 

米国株を2週連続の買い越し:BofAセキュリティーズのリポート

BofAセキュリティーズの3日付けの顧客フローのリポートによると、同社の顧客は7月26日~30日の1週間に米国株を8億1000万ドル買い越した。2週連続の買い越しとなる。この週は決算シーズンでアマゾン・ドットコムなどの弱い業績見通しなどが嫌気され、S&P500指数が週間で0.37%安となって2週ぶりに下げた時だった。主体別出来高ではヘッジファンド(HF)が2億1200万ドルの売り越しで、3週ぶりの売り越しだった。機関投資家は12億2000万ドルの売り越しで、4週連続の売り越しだった。個人投資家は6億4200万ドルの買い越しで、4週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは16億100万ドルで、3週連続で10億ドルを上回って活況だった。傾向としては機関投資家以外の主体の買い越しが続いたが、個別株売り・上場投信信託(ETF)買いの動きで全体の買越額は低調だった。企業の自社株買いは3月末以来の高水準を回復したものの、前年同期比で39%増とはいえ、コロナ禍前の2019年と比べれば18%減で未だ低調な状況になっている。

 

7月トルコ消費者物価指数に注目:実質金利マイナスへの警戒感高まる

本日は、7月トルコ消費者物価指数(CPI)が注目される。CPI前月比は前回から鈍化が予想されているが、前年比は18%台と19年5月以来の水準まで加速が見込まれている。市場予想通りであれば、実質金利マイナスへの警戒感が再び高まってくる。このところ、エルドアン大統領による金利への言及は伝わってこないが、利下げを望む考えは変わってないと思われる。今のところトルコ中銀は大統領の圧力をかわし引き締め姿勢を継続しているが、これ以上の利上げができるとも思えない。中銀が先週発表したインフレレポートでは、年末にかけての著しいインフレ低下を見込んでいた。しかしながら、物価対策が行き詰まるなかで『著しい』低下が本当に叶うのか疑問が残る。

・16:00 7月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月1.54%/前年比18.50%)

 

南アでは暴動の影響が経済指標にも大きく反映

南ア国内では、7月の製造業PMIは6月の57.4から43.5に低下するなど、非常に悪い指標も発表された。特に事業活動指数が大きく落ち込み、前例がないと言われるほどの26.6という結果になった。トヨタ自動車が南ア工場の稼働を停止したことでもわかるように、暴動の影響が指標にも大きく反映されている。本来ならばこれらのネガティブな結果で、ランドは売られても良いかとは思うが、先週から下値が徐々に切りあがってきていることもあり、当面はレンジ取引になり、次の動きを探る展開になるのではないかと思われる。

 

ウォーラー理事は2回の雇用統計次第ではハト派からタカ派に

昨日はウォーラーFRB理事がCNBCのインタビューに答えて、テーパリングに対するより具体的な見解を表明した。先週末は次期FRB議長の最有力であるブレイナードFRB理事が『9月の労働市場の数字を確認してから』との認識だったが、ウォーラー理事は『今月と来月発表のあと2回の雇用統計でNFPが80万人から100万人となるのであれば、9月FOMCでテーパリングの開始を決定する可能性がある』との考えを示した。また、『2022年の利上げ環境を整えるためにテーパリングに早期に着手する必要がある』との見解も表明している。実は、このウォーラー理事は、6月のドットチャートでは、2022年末の予想を『利上げなし』に投票していたとの認識となっていたわけで、昨日の発言が本意からであるのならば、既に利上げ予想に傾いているといえる。

 

欧米市場イベント

○16:00   7月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲5.3)
○16:00   7月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月1.54%/前年比18.50%)
○18:00   6月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.4%/前年比10.3%)
○23:00   6月米製造業新規受注(予想:前月比1.0%)
○4日03:00   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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