FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:好業績銘柄を中心に幅広く買われる

米国株安は悪材料視されず、寄り付きから200円を超える上昇となった。すぐに節目の27500円を超えてきたことから、先週金曜の大幅安は月末要因との見方が強まり、買いが買いを呼ぶ展開となった。好決算の発表が相次いでいることも手伝い、業績好調銘柄を中心に幅広く買われる展開になった。また、中国・上海株などアジア株式市場の上昇も投資家心理を明るくした。結局、前営業日比497円高の2万7781円と大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好も狭いレンジ内でのもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸出勢などのドル売り・円買いが先行し、109.60円付近まで下落した。30日に発表された6月米個人消費支出(PCE)コアデフレータ―が予想を下回り、FRBのテーパリング観測がやや後退していることもドルの重石となった。ただ、今晩に発表される7月米ISM製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の大幅高や上海総合株価指数の持ち直しを眺めたリスク選好の円売りが見られ、109.70円付近へ戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.18ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

タンカー攻撃でイスラエルとイランの緊張感高まる懸念

中東オマーンの沖合で7月29日、日本企業が所有するタンカーが、何者かによる攻撃を受け、イギリス人とルーマニア人の船員2人が死亡したと、イギリスに拠点を置くこのタンカーの運航会社などが明らかにした。イスラエルのメディアによると、この船舶運航会社は、イスラエル人が経営するグループ企業の1つだという。イスラエルのベネット首相は1日、会見で『イランが、イスラエルを狙い無人の航空機を使ってタンカーを攻撃した』と述べて、イラン側による攻撃だと主張し、強く非難した。一方、イランの国営通信によると、イラン外務省のハティーブザーデ報道官は1日の記者会見で、『イスラエルは、イランに対する根拠のない主張をやめるべきだ。イスラエルこそが地域を不安定にしている』と述べて、関与を否定した。

 

トルコの景気回復期待はあるもののインフレ率上昇が足かせ

7月トルコ経済信頼感が18年のトルコショック前の水準まで回復したことや、外国人観光客数が着実に増加したことなどを市場は好感している。また一部通信社によるアナリスト調査でも、トルコ経済が第2四半期にしっかりと成長したことや、今後の更なる成長拡大を見込む向きが多く、景気回復への期待感の高まりがリラの支えとなっている。そのため、3日に発表される7月トルコ消費者物価指数(CPI)が大きな材料となる。前月比は前回からの鈍化予想だが、前年比では6月の17%半ばから18%台まで加速が見込まれている。予想通りであれば19年5月以来の物価上昇率となり、現行の政策金利が19%であるため、実質金利マイナスへの警戒感が高まる。

 

南アでのロックダウンの水準引き下げは時期尚早との声も

南アの新型コロナウイルスの状況は、感染者数と陽性率が抑えられていることで、先週からロックダウンの水準を4から3に引き下げられた。しかしながら、死亡者数は増えており、専門家の間からは規制緩和は時期尚早との声が多くでている。一部では、暴動を受けて南ア政府が国民の不満のガス抜きを行うための緩和ではないかという声も上がっている。

 

メキシコ自体の格下げへと進展するリスク:国営石油会社ぺメックスの格下げ

米格付け会社ムーディーズが巨額債務を抱える国営石油会社ペメックスの格付けを『Ba2』から『Ba3』に引き下げたことを発表した。その要因としては、石油とガスの生産量の伸びが管理目標を下回っていること、燃料生産を増やす見通しについて今後3年間で悪化していること、政府の支援に頼り過ぎていることを挙げている。そして、今後格上げへと上方修正するヒントとして、①流動性を強化すること、②適度な生産成長を実現するのに十分な設備投資を内部資金で賄うこと、③債務削減のためのフリーキャッシュフローを生み出す企業の能力とした。先日にはヨリオ財務次官が政府支援については継続する意向を示すなど、政府に頼りきりの体質は全く変わっていないようであり、ぺメックスの更なる格下げ、さらにはメキシコ自体の格下げへと進展する可能性も出てきた。

 

米連邦債務上限の適用停止措置が期限切れ

7月31日に、連邦債務上限の適用停止措置が期限切れとなり、8月1日から復活していることで、債務上限引き上げを巡るバイデン米政権・民主党と野党共和党との攻防にも要警戒となる。イエレン米財務長官は、連邦政府の債務上限を早急に引き上げるか、上限適用を停止するよう議会に要請するとともに、このままでは8月中にも米国が債務不履行(デフォルト)に陥る深刻なリスクがあると警告している。米国は、第2次世界大戦以降、98回も債務上限を調整してきており、今回の99回目の債務上銀引き上げも最終的には合意に到達することになるが、協議が難航した場合は、2011年8月の米国債格下げショックの再現もありえることで要警戒となる。

 

米インフラ包括法案は上院採決に向け前進

5500億ドル(約60兆3200億円)規模の米インフラ包括法案は、上院議員による文面の最終調整が1日にほぼ終了した。今週中の上院での可決に近づく重要な一歩となる。
上院のシューマー民主党院内総務は同法案について、『数日中に』上院採決の準備が整う見通しだと述べた。交渉に当たった超党派のグループが1日午後、2701ページにおよぶ法案を綿密にチェックし若干の修正を行った。共和党の交渉担当者の一人であるロムニー上院議員は記者団に対し、『両党間に意見の相違はない。細かい点を全て正しているだけだ』と話した。法案成立に必要となる下院での審議は、夏の休会明けの9月以降になる。

 

米国市場では7月ISM製造業景況指数が公表:予想:60.7

6月実績は60.6にどどまり、5月実績を下回った。深刻な原材料と労働力の不足が影響した。7月については6月時点の状況と大きく変わっていないことから、景況指数の改善は期待できない。新規受注は引き続き高い水準を維持する見込みだが、6月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独小売売上高指数(予想:前月比2.0%/前年比3.0%)
○15:30   7月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○15:30   6月スイス小売売上高
○16:00   7月トルコ製造業PMI
○16:30   7月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:66.0)
○16:50   7月仏製造業PMI改定値(予想:58.1)
○16:55   7月独製造業PMI改定値(予想:65.6)
○17:00   7月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:62.6)
○17:30   7月英製造業PMI改定値(予想:60.4)
○22:45   7月米製造業PMI改定値(予想:63.1)
○23:00   7月米ISM製造業景気指数(予想:60.8)
○23:00   6月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○3日03:00   7月ブラジル貿易収支(予想:89.75億ドルの黒字)
○カナダ(市民の日)、休場

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