FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:4連休中の米国株高を好感した買い優勢

日経平均株価は、4連休中の米国株式市場が堅調に推移したことが好感され、主力銘柄を中心に幅広く物色された。4営業日ぶりに一時2万8000円台を回復した。しかし、これから本格化する企業の決算発表を見極めたいとのムードもあり、買い一巡後は伸び悩んだ。中国・上海や香港の株式市場の大幅下落が重荷となった。結局、前営業日比285円高の2万7833円で終了した。7月第2週(12日~16日)の海外投資家(外国人)は1101億円の買い越しとなった。買い越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下とNYダウ先物下落からやや円買い優勢

ドル/円は、米長期金利低下やNYダウ先物の下落を眺めてドル売り・円買いに押される展開となり、110.30円付近へ下落した。月末接近に伴う本邦輸出勢によるドル売り・円買いも観測された。午後は手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、110.30円前後で小動きが続いた。27-28日に開催される米FOMCを前に、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、1.17ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

前週のECB理事会ではハト派姿勢を表明

欧州中央銀行(ECB)は前週実施した定例理事会で、市場の予想通り政策金利を据え置きを決定した。そして、指針を変更した。新指針で、物価実績が中期的2%で安定するまで金利は現状またはそれ以下の水準で、行動のかなり前にインフレ見通しが2%に達している必要があると指摘した。また、物価目標からの一時的な上振れを容認する。新指針のもと超緩和策を維持することが可能になった。ラガルド総裁は、インフレが今後上昇するものの一過性の要因によるものであり来年は再び低下すると見ている。さらに、回復軌道にあるものの先行きは不透明感が強く、コロナ流行状況とワクチン接種の進展次第とした。時期尚早の利上げを回避し、市場の緩和縮小開始の思惑を弱めることに努め、ハト派姿勢を表明した。そのため、当面ユーロの上昇も限定的となりやすい。

 

トルコと欧米との関係が不安定さを増しつつある

トルコと欧米との関係が不安定さを増しつつあることは、リラを買い難くさせる要因になっている。世界でトルコのみが承認する『北キプロス・トルコ共和国』について、エルドアン大統領は先週、北キプロス分離独立の支持を表明した。キプロス島南側のキプロス共和国が加盟する欧州連合(EU)だけではなく、米国からもトルコの方針に懸念が示されている。トルコがロシアから追加で兵器購入を検討しているとの一部報道は、米国側を神経質にしている。米外交官の話として、トルコの行動次第では更なる対トルコ制裁を米国側は考えているようである。

 

南アランドの買い材料減少

6月CPIは南ア準備銀行(SARB)の目標とする3-6%の中心値を2カ月連続で上回る結果となった。しかしながら、翌日のSARB金融政策委員会(MPC)では全会一致で政策金利を据え置いただけでなく、インフレ抑制にも自信を示した。当面は現行水準の政策金利が継続される可能性が高まったことから、ランドの買い材料がひとつ減った。また、それ以外にも干ばつ、ウイルス感染拡大、電力不安など多くの問題を抱えている。南アのポジティブ要素が少なくなっている。大手投資会社が南アをはじめとする新興国への投資比率を見直している最中、暴動の激化など治安不安が露呈した。目先、南アからの資金流出の勢いが止まらない可能性もある。

 

メキシコの4-6月期GDP速報値が注目

先週に発表された7月前半の消費者物価指数(CPI)は前年比で5.75%の上昇となり、市場予想の5.65%を上回る結果となった。6月後半の5.74%上昇からインフレ鈍化の傾向は見られず、市場では8月の次回会合で追加利上げ(4.25%から4.50%へ)が実施されるとの思惑も高まりつつある。今週は30日の4-6月期メキシコGDP速報値が注目されている。他の中南米諸国と比較してコロナ後の景気回復が進んでいるとされるメキシコだが、今週のGDPでしっかりとした回復軌道に乗っていることが確認されれば、前述したインフレ懸念と合わせて中銀の追加利上げ期待もさらに高まることになる。市場の視線が各国の金融政策に向けられていることもあり、メキシコペソにとっては中長期的な支援材料となりやすい。

 

米上院民主党で「インフラ投資法案」の審議開始に向けた動議の再採決

26日には米上院でバイデン米大統領が超党派と合意した1兆2000億ドル規模の『インフラ投資法案』の審議開始に向けた動議の採決が予定されている。21日の採決では、上院民主党トップのシューマー院内総務が将来において投票を再考できる上院の規定を指摘して、賛成から反対に回ったことで、賛成49、反対51で否決された。共和党は、財源問題が解消されていないことから、審議入りに向けた採決の延期を求めているものの、民主党は26日に再び採決を行う意向を示している。

 

27-28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文に注目

タカ派的なシナリオとしては、声明文で正式にテーパリングの協議が表明され、8月26-28日のジャクソンホール会合でパウエルFRB議長が9月のFOMCでのテーパリング開始を発表する、というシナリオとなる。ハト派的なシナリオとしては、7月のFOMC声明文でも6月の同様にテーパリングへの言及がない場合だろう。市場のテーパリングに対する期待感は強く、それだけにハト派的なシナリオとなった場合の反応は大きくなる可能性が高い。

 

米政府は今月末で連邦債務上限の適用停止措置の期限

米政府では31日に連邦債務上限の適用停止措置が期限切れとなることから、今月中の上限引き上げが求められている。イエレン米財務長官は、連邦政府の債務上限を早急に引き上げるか上限適用を停止するよう議会に要請するとともに、このままでは8月中にも米国が債務不履行(デフォルト)に陥る深刻なリスクがあると警告している。引き続きこれらの動向にも注意が必要となる。

 

欧米市場イベント

○17:00   7月独Ifo企業景況感指数(予想:102.1)
○20:00   6月メキシコ失業率(季節調整前、予想:4.48%)
○20:00   ブリハ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:00   6月米新築住宅販売件数(予想:前月比4.0%/80.0万件)
○27日02:00   米財務省、2年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ