FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウイルス感染拡大や円高を嫌気した売り

前日の米国株式市場は不安定な値動きとなり、積極的な買い材料に欠ける中、日本国内での新型コロナウイルスの感染拡大が警戒され、前場を通して下げ幅を拡大する展開となった。外為市場でドル/円が円高基調となっていることも自動車や輸出関連株の重石となった。結局、前営業日比329円安の2万8279円と続落して終了した。7月第1週の海外投資家は3週ぶりに137億円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:アジア株軟調からリスク回避でやや円買い優勢

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが入り109.82円付近まで下落した。前日に行われたパウエル米FRB議長の議会証券がハト派色の濃い内容となり、FRBによる緩和的な金融政策は当面続くとの思惑もドルの重石となった。しかし、今晩の経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、109.90円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、109.80円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、FRBの早期テーパリング観測が後退しているため、利益確定やポジション調整のユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ、1.1840ドル台へ値を上げた。

 

サウジアラビアとUAEの合意報道:ゴールドマン・サックスレポート

ゴールドマン・サックスは14日付リポートで、『UAEとサウジアラビアは生産協定に近づいているようで、UAEが要求していたより高い基準値(2022年4月から3.65万バレル/日量)と、サウジアラビアが要求していた生産協定の延長(22年12月まで)の両方を認める合意に向けた進展を報じている。OPECプラスの全加盟国がすべてこの決定を支持していることから、このような合意が確認されれば、21年12月までに毎月0.4万バレル/日糧の清算が徐々に増加することになるだろう』と指摘した。この合意に関してはゴールドマンのベースケースに対して強気であり、その結果、OPECプラスの生産予測に対する下振れリスクを意味しているという。他の条件に変化がない場合、『これは、夏の1バレル当たり80ドルと22年のブレント価格予測の75ドルに対する2~4ドルの上方リスクを表す』とも指摘した。明確なOPECプラスの生産合意の欠如やデルタ株による潜在的な需要の下リスクに関して、予測の変更をしていないとするものの、今回の合意に関しては『最近実現した北米の生産量の増加を相殺する以上の、強気の供給カタリストである』との見解を示した。

 

独経済はコロナ危機からの回復が本格化

ドイツ経済省は14日に公表した月報で、国内経済は新型コロナウイルス危機からの回復が本格化していると指摘した。中間製品の供給障害にもかかわらず工業部門の見通しは引き続き明るいとの見方を示した。『中間製品の供給障害は打撃を与えるが、経済全般の前向きな動きを損なうものではない』と分析した。昨年実施した付加価値税(VAT)の一時的な引き下げの反動で、今年後半のインフレ率が3%以上になる可能性があると予想した。インフレ率は2022年に大幅に鈍化すると付け加えた。

 

トルコの政策金利は据え置きが決定:本日は祝日で12円後半でもみ合いか

トルコ中銀会合では、市場予想通りに政策金利を19%で据え置きが決定された。声明ではトルコ経済に対し楽観的な見方が示さたが、インフレ見通しのリスクには言及した。依然として現在の引き締め的な金融スタンスを断固として維持することが表明された。本日はトルコ祝日(民主化と国民統一の日)ということもあり、トルコ勢不在の中でリラ/円は12円後半でもみ合うことになりそうである。本日は2016年にトルコでクーデター未遂が起きた日である。同国軍の一部反乱勢力がエルドアン政権の転覆を図ったが1日で失敗に終わった。記念行事が行われるかは定かではないが、エルドアン大統領が演説を行う見込みである。先日、大統領はトルコの経済や通貨は外国やテロ勢力から攻撃を受けていると述べた。本日も低水準で推移するリラについて、言い訳的な発言がでるかもしれない。また、持論である『金利を引き下げればインフレは低下する』を訴える可能性もある。

 

暴動で浮き彫りになった南アが抱える問題点

ズマ前大統領の収監をきっかけに、デモ隊が暴徒化した一連の騒動はいったんは収まっている。暴動が行われた地域では住民が率先して片付けに動き、地域のショッピングモールを守るために立ち上がる動きもみせている。また、今回の騒動を扇動していたズマ派の人物も特定されてきている。そのため、暴動が収束する可能性はあるが、今回の暴動により南アが抱えている問題がより浮き彫りになったとも言える。全年代を通して3割以上、若年層は6割以上の失業率を抱えている南アだが、この雇用問題だけでなくワクチンの普及率が低いことなども要因となり、国内情勢は不安定な状況である。ラマポーザ現南ア大統領は汚職・莫大な債務・瀕死の国営企業問題の解決に努力を重ねていることで、海外からの評価は高いが、国内は上述の問題もあり、今後の政権運営はますます難しくなる。

 

カナダ中銀は資産購入の規模を縮小

カナダ中銀は14日、カナダ経済の回復見通しを踏まえ、資産購入の規模を週20億カナダドルに縮小すると決めた。政策金利は11会合連続で現行0.25%で据え置き、『インフレ率が持続的に目標2%に達するまで』現行金利水準を維持する方針を改めて示した。加中銀は声明で『世界経済は新型コロナ感染拡大から力強く回復している』との認識を示し、『カナダ経済もワクチン普及や行動制限緩和などで年後半は強い持ち直しが見込める』とした。ただ、新型コロナ変異ウイルスへの懸念が高まり、『経済回復は非常にまだらでウイルスの動向次第』との見解を示した。

 

米FRBの金融緩和縮小の壁は高い

最新6月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)は予想を上回り、数十年ぶりの大幅な上昇となった。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は注目となっていた下院金融サービス委員会での半期に一度の証言において、インフレが年内高止まりするが、その後、低下するとの予想を繰り返した。インフレを押し上げている中古車価格の急騰もいずれ収まり、上昇は一時的だとの見解を示した。パンデミックによる供給混乱がくすぶり不透明性がまだ高く、インフレリスクに時期尚早に対応することは間違いだと慎重な姿勢を強調した。金融緩和縮小の壁は高い。インフレが一時的と見ているのは連銀高官だけではない。FRBが公表した地区連銀報告(ベージュブック)でも、物価圧力は一時的との一般の意見も一部見られたことが分かっている。議長は緩和縮小の条件となっている『一段の顕著な進展』を達成するには『程遠い』とし、市場にあった速やかな緩和縮小の思惑が後退した。

 

欧米市場のイベント

○15:00   6月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   3-5月英失業率(ILO方式、予想:4.7%)
○19:00   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   7月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:18.0)
○21:30   7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:28.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:36.0万件/331.3万人)
○21:30   6月米輸入物価指数(予想:前月比1.2%)
○22:15   6月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.6%)
          設備稼働率(予想:75.6%)
○22:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○24:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○米独首脳会談(ワシントン)
○トルコ(民主化と国民統一の日)、休場

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