FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高の流れにつれた大幅高

前週末の米国株高の流れを受けて朝方から買いが先行し、その後も高値圏での堅調な推移が続いた。東京市場では米景気の減速懸念が和らいだほか、内閣府が発表した5月機械受注統計が市場予想を上回ったことが投資家心理にプラスに作用した。外需がけん引する形での業績改善への期待も追い風となった。前週末までに日経平均先物を売っていた短期筋による買い戻しも指数を押し上げた。結局、前営業日比628円高の2万8569円と4営業日ぶりに上昇した。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢のドル買いで持ち直し

ドル/円は、米長期金利低下を眺めた持ち高調整などのドル売り・円買いが先行し、110.01円付近まで下落した。しかし、9日の欧州市場でつけた109.91円が下値の目処として意識されると下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、110.20円付近まで値を持ち直した。午後は、日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら、110.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。今後の米国株価動向や米国債入札の結果を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1870ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

前週のFX概況はドル買い比率上昇

QUICKが9日時点の外国為替証拠金(FX)6社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は61.6%と前の週末から13.2ポイント上昇した。5月上旬以来およそ2ヵ月ぶりの高水準となった。円は8日に一時1ドル=109.54円と約1ヵ月ぶりの高値を付け、個人投資家の間では相場の流れに逆らう『逆張り』でドルの買い持ち高を積み増す動きが広がった。

 

14日のトルコ中銀の金融政策会合の結果待ち

トルコでは14日にトルコ中銀・金融政策決定会合が開かれるため、今週のリラ/円は前半が会合に向けた思惑、結果発表後は今後の金利見通しで上下することになる。トルコ中銀の政策金利については、19%で据え置きが大多数の予想であり、注目は声明文となる。前回は、カブジュオール氏がトルコ中銀総裁就任後に一度取り除かれた『現行の引き締め的な金融政策を断固として維持する』との文言が再び追加された。先週発表された6月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比17%半ばまで加速しており、いくらエルドアン大統領が金利引き下げを求めていても、中銀・金融政策委員会(MPC)は前回同様にタカ派スタンスを継続せざるを得ないと予想される。もし、利上げに含みを持たせることができたならば、ポジティブサプライズとして受けとめられてレンジを上限に移すことができるかもしれない。逆に中立的なスタンスと捉えられれば、インフレ抑制策が手詰まりのなかで(カブジュオール総裁は否定しているが)実質金利マイナスへの警戒感が高まり、リラの下値余地を試すことになる。

 

南アでは前大統領収監の抗議デモが暴徒化

南アフリカでは新型コロナウイルスの感染が拡大していて、ラマポーザ大統領は11日夜の演説で先月末に強化した外出制限などの措置をさらに2週間延長すると発表した。
こうした中、ズマ前大統領が7日、在任中の汚職疑惑に関連して収監されたことに対して支持者の抗議デモが続いていて一部が暴徒化している。地元メディアによると高速道路が封鎖され、複数のトラックが放火されたり最大都市のヨハネスブルクの中心部で酒の販売店などが略奪されたりしている。

 

インフレ懸念とテーパリング議論開始に無頓着:NY連銀のPD調査

米FOMC開催の約2週間前から、NY連銀がプライマリー・ディラー(PD)と市場参加者に対してアンケート調査を実施する同調査はFOMC議事要旨の公表翌営業日に公表される。FOMC参加者は質問項目の作成には関わっていないものの、同調査の結果はFOMCスタッフから参加者に報告される。6月のFOMCは前回4月から大きくタカ派へと舵を切った。しかし、PD調査によると直前の予想は『2022年1~3月期から資産購入ペース減(テーパリング)の開始』、その1年半後の『23年7~9月期での利上げ開始』と4月開催のFOMC前の調査とほぼ変わっていない。5月中旬に発表された米消費者物価指数(CPI)の上振れによるインフレ懸念や、テーパリング議論の開始を示唆する米FRB高官に発言などを織り込んだ様子はない。かなりのサプライズであったはずの6月FOMC 以降、むしろ米金利は低下基調である。テーパリングが米金利に与える影響は限定的と市場参加者が考えている可能性はあるが、FRBが繰り返すように『インフレは一時的』として物価上昇及び金利上昇に対しての警戒は不要とタカを括っているかのようである。FRBがインフレ警戒へと舵を切り、市場参加者に対して警鐘を鳴らす時期が近づいているのもしれない。

 

米国では財政の崖への警戒感:8月1日に連邦債務上限が復活

米国では8月1日に法定債務上限が復活するが、イエレン米財務長官は、連邦政府の債務上限を早急に引き上げるか上限適用を停止するよう議会に要請するとともに、このままでは8月中にも米国が債務不履行(デフォルト)に陥る深刻なリスクがあると警告している。6月財政赤字は、8月1日に連邦債務上限が復活し、財政の崖への警戒感が高まりつつあることから注意したい。2021会計年度(20年10月~21年9月)の5月までの財政赤字は、2兆637ドルとなり、過去最大の3兆1319億ドルを記録した2020会計年度(19年10月~20年9月)の同時期の1兆8802億ドルを上回っている。米議会予算局(CBO)は、2021会計年度の財政赤字は3兆ドルと、過去最大の昨年度に近づくとの見通しを示している。 

 

勢い失うバイデン増税計画

ジョー・バイデン氏が第46代米大統領に就任してから間もなく6ヵ月になる。リアル・クリア・ポリティクスがまとめたバイデン大統領の仕事に関する世論調査は支持が52.6%、不支持は42.9%だった。6月22日から7月8日の期間に実施した8社の調査結果の平均値で、支持率は就任直後の55.7%から低下したものの安定している。CNBCは、バイデン大統領が就任から6ヵ月を迎えるが、選挙公約の増税に関する見通しがウォール街で分かれていると報じた。連邦法人税率を21%から28%に、個人所得税の上限を37%から39.6%に引き上げる提案をしたが、バイデン大統領の増税計画はモメンタムを失いつつあるとしている。野党の共和党は経済回復が依然として不安定と主張し、あらゆる増税に反対する。超党派議員はホワイトハウスとインフラ投資案について合意したものの、財源をめぐる協議は始まる兆しすらない。バイデン政権はいま、議会通過が困難な国内の増税案より、国際的な課税ルールの見直しによる税収増加に絞っているように見える。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   5月トルコ失業率
○18:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:00   5月メキシコ鉱工業生産(季調済)
○21:00   5月インド鉱工業生産(予想:前年同月比32.0%)
○13日00:30   米財務省、3年債入札
○13日01:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○ユーロ圏財務相会合

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ