FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:経済市場か遅延と需給悪化懸念から売り優勢

東京都に4度目の緊急事態宣言が発令される見通しとなるなど、経済正常化が遅れるとの見方が株価の重石となった。また、今日と明日で約8000億円のETF換金売りが観測されるなど需給悪化も懸念材料となった。そのため、日本株は下落して寄り付き、買い材料が見当たらない中、安値もみ合いに終始した。中国当局によるネット起業などへの規制強化で上海株や香港株が下落したことも重荷となった。結局、前営業日比248円安の2万8118円と続落して終了した。6月第5週の海外投資家は2737億円と2週連続の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:サポートを割り込む円買い強まる

ドル/円は、日経平均株価の続落や米長期金利低下がドル売り・円買いを誘い110.40円付近まで下落した。しかし、今晩の米国株価動向や週間の新規失業保険申請件数を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、110.60 円付近へ戻した。午後に入ると、世界的な株安を背景に海外勢などから仕掛け的なドル売り・円買いが持ち込まれ、サポートとして意識されていた110.40-45円水準を割り込んだ。ユーロ/ドルは米長期金利の低下を眺めた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.1805ドル付近へ値を上げた。

 

本邦1~6月の企業倒産件数は1990年以来の少なさ

東京商工リサーチが発表した1~6月(上半期)の全国企業倒産件数は、前年同期比24%減の3044件だった。上半期の倒産件数としては1990年以来の低さとなった。新型コロナウイルス対応の資金繰り支援が倒産件数を押し下げた。負債総額は同7%減の6116億5900万円だった。産業別では10産業のうち『不動産業』『運輸業』を除く8産業で減少した。『農・林・魚・鉱業』『建設業』『製造業』『卸売業』『小売業』の5産業は、30年間で最も少なかった。上半期、新型コロナに関連した倒産は762件あった。

 

6月の東京都心オフィス空室率上昇

オフィス仲介の三鬼商事が発表した6月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は、前月比0.29ポイント上昇の6.19%だった。16ヵ月連続で上昇し、2014年7月以来6年11ヵ月ぶりの高さとなった。募集を残したまま竣工した大規模な新築びりがあったほか、既存ビルで大型解約がみられた。既存びりの空室率は前月比0.26ポイント上昇の6.12%と、14年6月以来の水準に上昇した。新築ビルは9.85%と同0.88ポイント上昇した。竣工した4棟のうち3棟(千代田区と港区)が満室稼働とならなかった。

 

OPEC交渉難航の背景にUAEの新戦略

原油増産を巡る石油輸出国機構(OPEC)内部の交渉が難航している背景には、需要が干上がる前にできるだけ多くの原油を販売するという新戦略を抱えるアラブ首長国連邦(UAE)の存在がある。複数の関係者によると、UAEの戦略は、中東の主要産油国の中でも極めて顕著な石油政策シフトと位置づけられる。中東産油国の政府は長年、はるか将来まで原油の買い手不足を心配していないとしてきた。だが関係者によれば、世界有数の原油埋蔵量を誇るUAEは、こうした慣例を破ろうとしている。 UAEの戦略の説明を受けた関係者は『同国の炭化水素資源に価値があるうちに、その価値を最大化すべき時期だ』とし、『新エネルギーと、同様に重要である新たな収入源の双方に投資し、経済を多角化するための収入を生み出すことが投資の目標だ』と話した。

 

トルコ中銀の早期利下げに対する警戒感は後退

週初に発表された6月トルコインフレは予想以上に加速しており、トルコ中銀の早期利下げに対する警戒感は後退したが、それだけでリラを買い進むのは難しい。なお14日の中銀会合では、政策金利は19.00%で据え置かれると予想するアナリストが大半を占めている。足もとのインフレ動向をみると金利に手を付けることはできないのは明らかであるが、エルドアン大統領や金融当局者の発言には警戒が必要である。また先月報じられた『トルコ中銀が他中銀と通貨スワップ枠の締結を目指している』件については、その後の進展状況は伝わってきていない。そろそろ何か出てきても良いころであり、気にかけておく必要はある。 

 

南アに絡んだ2つのニュース

1つ目のニュースは世界最大の資産運用会社であるブラックロックが、南アを含め新興市場の株式と通貨の見通しをオーバーウェイトからニュートラルに格下げした。格下げの要因は2点あり、1点目は新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れている中で、デルタ株が蔓延していることにある。また、2点目はインフレの可能性が高まり、新興国がより迅速に利上げに傾くリスクがあるとしている。これまで続いていた、ランド買いの中長期的なトレンドが変わりかねないかもしれない。
2つ目のニュースは本日、日本時間の早朝に、ズマ前大統領が警察に身柄を拘束されたと報じられている。前大統領は法廷侮蔑罪で有罪となったが、収監には抵抗をしていた。しかし、ついに拘束された。いまだにズマ支持者がいることで、政局や治安の乱れには要警戒となる。

 

6月FOMC議事要旨ではFRBテーパリング急がない姿勢示す

米連邦準備制度理事会(FRB)は6月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。6月会合で緩和縮小開始の手段を協議したことが明らかになった。また、インフレ見通しリスクは上方と指摘された。数名のメンバーが前回の会合で予想されていたよりも早く、緩和縮小の条件が達成できると見ていることも明らかにされた。しかし、経済活動のプロセスが強弱まちまちで、著しい進展の基準はまだ満たされておらず、最終的に全般的に経済の回復は終了しておらず、リスクは残るとの見解で一致した。 緩和縮小を巡り新たな情報はなく、連邦準備制度理事会(FRB)がテーパリングを急ぐ姿勢が示されなかった。タカ派的な内容を織り込んだドル買いが後退した。

 

欧米市場イベント

○14:45   6月スイス失業率(季節調整前、予想:2.9%)
○15:00   5月独貿易収支(予想:151億ユーロの黒字)
○15:00   5月独経常収支
○19:35   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00   6月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.51%)
○20:00   欧州中央銀行(ECB)、金融政策の戦略見直しの結果を公表
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:0.10%で据え置き)
○21:00   6月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.59%)
○21:30   ラガルドECB総裁、会見
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:35.0万件/333.5万人)
○24:00   EIA週間在庫統計
○9日04:00   5月米消費者信用残高(予想:184億ドル)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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