FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード強く小動きの展開

前日の米国市場が休場で手掛かりに乏しい中、欧州株式市場の上昇が支えとなり反発した。ただ、上値上値は重く、市場では国内での新型コロナウイルスの感染再拡大や週末の指数連動型ETF関連の分配金基準日を控え、換金売りを警戒する声が聞かれた。ただ、売り材料はないものの、買い進む材料もなく、盛り上がりに欠ける展開となった。全般休場明けの米国市場の動向を見極めたいとの様子見ムードが強かった。結局、前営業日比45円高の2万8643円と反発して終了した。東証2部指数は18年1月以来の過去最高値を更新した。

 

東京外国為替市場:110円台後半でドルの上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸出企業などのドル売り・円買いに押され、110.79円付近まで下落した。原油先物相場を眺めた資源国通貨高・ドル安が波及した面もあった。ただ、休場明けとなるNY市場の米国株価動向や6月米ISM非製造業景況指数を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の反発を眺めたドル買い・円売りが入り、110.85円を挟んでもみ合いとなった。午後は、新規手掛かり材料に乏しく、110.80円台を中心とした狭いレンジ取引となった。ユーロ/ドルは、米FRBによる早期のテーパリング観測の後退を手掛かりとしたユーロ買い・ドル売り基調が続き、1.1880ドル台へじり高となった。

 

OPECプラスの閣僚協議が中止:減産延長を巡る溝

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる『OPECプラス』は5日、同日予定してい閣僚協議を中止した。次回は未定となっている。焦点となっている8月以降の協調減産幅が宙に浮き、原油相場に上昇圧力がかかっている。市場ではOPECプラスが8月以降の減産縮小を決めるとみられていた。協議中止で現行の規模の減産が続き、需給が引き締まるとの見方が浮上した。協議中止の背景には、減産延長を巡る溝がある。減産縮小とは別に、22年4月までとした協調減産を22年末まで継続する案が今回検討されたが、アラブ首長国連邦(UAE)が反対した。同国は増産投資を進めており、減産の基準となる生産量を引き上げるよう求めている。8月以降の減産縮小には同意している。

 

トルコのインフレ悪化を確認:来週の金融政策会合に注目集まる

トルコの6月CPI上昇率は前年比17.53%となり、市場予想の17%及び5月の16.59%を上回った。また、PPI前年比は5月の38.33%から42.89%へ一段と上昇した。利下げしたいトルコ中銀もこれでは動けず、利上げ催促的なリラ売り反応と利下げ見送り期待でのリラ買いが交錯した。足もとのインフレ悪化を確認し、市場の目は来週のトルコ中銀金融政策決定会合に向き始めた。

○エルドアン・トルコ大統領発言
『インフレの原因となっている構造的問題を緩和する必要』
『トルコ中銀は高インフレ問題を解決する決意を表明した』
『政府の成長政策はリラをより魅力的にしている』
『トルコの第2四半期GDP成長率は20%以上を予想』

 

南ア政府が賃金交渉に歩み寄り:ストライキ回避の可能性

南ア政府と公務員組合との間で平行線をたどっていた賃金交渉ではあるが、政府側がゼロ回答から1.5%の賃金引き上げと、月額1000ランドの一時現金給付を提案した。これにより公務員の最低水準労働者(レベル1)にとって11.7%の賃金調整になる。また、レベル6の公務員はCPI(+4.2%を基準)に2.1%を増額した給与、レベル10の公務員はCPIと同程度となるとされている。先週公務員組合は2%の賃上げと月額1500ランドの現金給付を求めていたことで、いまだに開きはあるが早ければ今週予定されていた組合のストライキが回避される可能性が高まっている。

 

7日のFOMC議事録のタカ派度合いが焦点

今週の為替相場で注目されるのは、7日の米FRBによるFOMC議事録である(6月15-16日開催分)。同会合では参加メンバーの中期見通しで『2023年末までに2回の0.25%利上げ』という予測が示され、3月FOMCでの『2023年以降』という中心予測が前倒しされた。同時に量的緩和について、縮小議論の開始が示唆されている。7日の議事録により、改めてFRBによる金融緩和見直しへの前進姿勢が確認されると為替相場では全般ドル高の材料となる。ただし米国株には悪材料になるため、クロス円ではリスク回避による円高と外貨安の圧力が警戒されやすい。一方で6月FOMCの内容については、すでに織り込みも進んできた。米国では前週末2日に6月の雇用統計が改善増加となる一方、失業率は悪化の上昇となっている。FRBによる緩和縮小や利上げについては、過度な前倒し観測が後退してきた。その中で7日のFOMC議事録が想定の範囲内のタカ派(緩和見直し前向き)内容にとどまったり、雇用懸念などで基本的な緩和長期化の姿勢が示されると、全般ドル安の材料となる。

 

米国市場では6月ISM非製造業景況指数が公表

5月実績は64.0で過去最高だった。経済活動の正常化によって需要が増加している。6月については、受注残の増加や新規受注は高い水準を維持する可能性があるが、雇用指数は伸び悩んでいる。60の大台を維持する見込みだが、5月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、会見
○15:00   5月独製造業新規受注(予想:前月比1.0%/前年同月比59.4%)
○16:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:10   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:30   6月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:63.8)
○18:00   7月独ZEW景況感指数(予想:75.2)
○18:00   7月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00   5月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比4.4%/前年比8.2%)
○22:45   6月米サービス部門PMI改定値(予想:64.8)
○22:45   6月米総合PMI改定値
○23:00   6月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:63.5)

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