FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード強く商いも低調

先週末の米国株高は材料とはならず、国株式市場が休場となることなどから模様眺めムードに支配され商いも低調だった。指数寄与度の大きいソフトバンクGやファーストリテイリングの2銘柄が弱材料を受けて大きく値を崩したこともあり、指数を押し下げた。また、新型コロナウイルスの国内感染の広がりが続く中、積極的に運用リスクを取る動きが限られた。外国為替市場で円安・ドル高の流れに一服感が出たことも、自動車など輸出関連銘柄の一部の売りを促した。結局、前週末比185円安の2万8598円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:新規の手掛かり材料に乏しく111.10円前後でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行し、111.19円付近まで上昇した。しかし、2日に発表された6月米雇用統計の失業率が悪化し、米連邦準備制度理事会(FRB)が早期に量的緩和を縮小するとの観測が後退しているため、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の反落を眺めたリスク回避の円買いが入り、111.10円を挟んだもみ合いとなった。午後は、新規の手掛かり材料に乏しく、111.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。本日は独立記念日の振替休日で米国市場が休場となるため、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、1.1855ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国ではインド型変異株の感染拡大で不透明感強まる

イングランドのロックダウンの完全解除は4週間延期され、19日に解除される見通しだが、インド型変異株の感染拡大で不透明感が強まっている。新たに保健相に就任したジャヴィド氏は、『コロナ感染リスクをゼロにするのは難しくコロナとともに暮らしていく道を見つけることが必要』と、変異株の感染がさらに拡大し、死者数や入院患者の増加につながらない限り、予定通り措置を緩和する可能性を示唆しているほか、ジョンソン英首相も19日の完全解除に自信を示している。ただ、変異株の感染が急増し、1日のコロナ新規感染者数が2万人超と1月末以来の多さになるなど、感染の再拡大への懸念も強まっていることも事実である。

 

トルコでは6月のインフレ指標が公表:政策金利の思惑を呼ぶ

本日発表されるトルコの6月インフレ指標が注目される。5月分の消費者物価指数(CPI)は前年比16.59%と予想外に伸びが鈍化したが、今回は再び17%付近まで加速する見込みである。また、上昇力が強まるばかりの生産者物価指数(PPI)は前回、前年比で38%台まで伸び率を高めており、18年10月以来の40%超えが視野に入ってきている。カブジュオール・トルコ中銀総裁は先週末、インフレ指標が持続的な下落を示すまで政策金利はインフレ率よりも高く維持されると、これまでと変わらない考えを示した。引き締めスタンスの継続と受け取られるものの、もし5月CPIのように伸び率が鈍るようなことが少しでもあれば、エルドアン大統領が望む利下げに踏み切りやすくなるとの懸念はくすぶっている。ほか、インフレ結果を受けたトルコ政府高官からの発言や、トルコ中銀が進めているとされる他中銀との通貨スワップ枠締結に向けた動きにも注視する必要がある。

 

減産規模の縮小方針と期間延長を支持:イラク石油相

イラクのアブドルジャッバール石油相は4日、石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟産油国を加えた『OPECプラス』が、当初2022年4月までとしていた減産期間を22年末まで延長することを支持すると表明した。8月以降に減産規模をさらに縮小する方針にも合意するとした。また同相は、原油価格が22年末まで1バレル=70ドル以上で推移するとの見通しを示した。さらに、イラクの7月の原油輸出量は日量290万バレルとなり、現在のOPEC協定を完全に順守することになると述べた。公式統計によると、6月の原油輸出量も同程度だった。

 

22日の南ア準備銀行の金融政策委員会まではランドは方向感ない展開か

市場は、次の南アのビッグ・イベントとなる22日の南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)までは、方向感のない値動きになりそうである。先週、ナイドゥSARB副総裁は金利について『成長を支えるために金融緩和政策を維持する』とした一方で、消費者物価指数(CPI)が上昇していることで『現在はマイナス金利の状態で、50ベーシス利上げしても、まだマイナス金利である。金利を永久に(現在の)3.5%に維持することはできない』とも発言している。デルタ株の拡大を抑えることができ、経済への不安を払しょくできれば、年後半の利上げ期待も高まる。

 


6月米雇用統計結果ではFRBの緩和策の維持を正当化

6月の雇用統計の非農業部門の雇用者数は予想以上に伸び8月来で最大となったものの、失業率は上昇した。労働参加者も増えなかった。賃金も予想に一致する伸びにとどまった。市場は雇用統計が、労働市場の過熱を示せばFRBが8月下旬にジャクソンホールで開催するFRBの年次会合で緩和縮小計画が明らかにされるのではとの思惑もあったが、まちまちの結果を受けて思惑が後退した。6月雇用統計の結果は明確な緩和縮小の必要性を示さず、FRBが当面緩和策を維持することが正当化された。政府の失業保険支援策が支給されており、引き続き多くの労働者が雇用に復帰していない。一部の州では6月中に、支援策を打ち切ったため、7月雇用統計を睨む展開となった。

 

米国では8月1日に法定債務上限が復活:デフォルトリスクに注意

米国は8月1日に法定債務上限が復活するが、イエレン米財務長官は、連邦政府の債務上限を早急に引き上げるか上限適用を停止するよう議会に要請するとともに、このままでは8月中にも米国が債務不履行(デフォルト)に陥る深刻なリスクがあると警告している。また、バイデン米政権の大規模財政支出に関する議会での審議が難航していることも、『財政の崖』への警戒感を高めており、ドルの上値を抑える要因となりつつある。

 

欧米市場イベント

○16:00   6月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月1.50%/前年比17.00%)
○16:50   6月仏サービス部門PMI改定値(予想:57.4)
○16:55   6月独サービス部門PMI改定値(予想:58.1)
○17:00   6月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:58.0)
○17:30   6月英サービス部門PMI改定値(予想:61.7)
○6日02:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○米国(独立記念日の振替休日)、休場

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