★日経平均株価:動意の乏しい中押し目買いと売り方の買い戻し
米金融政策スタンスへの影響の観点から注目を集める米雇用統計の発表を前に動意の乏しい展開となった。もっとも雇用統計に向けては、市場予想から大きくかい離しなければ相場へのインパクトは限定的との見方もある。最近の続落で押し目買いや売り方の買い戻しやが入りやすかった。また、外国為替市場での円安・ドル高進行が輸出関連株の支えになった。結局、前営業日比76円高の2万8783円と5日ぶりに反発して終了した。
★東京外国為替市場:新規の手掛かり材料に乏しく111円台半ばでもみ合い
ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、一時111.66円付近まで上昇し、昨年3月25日以来の高値を更新した。日経平均株価の上げ幅が一時100円を超えたことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、昨年3月24日につけた111.71円が重要な抵抗線として意識されると上げは一服した。その後は米国市場の3連休を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買い入り、111.60円を挟んでもみ合う展開になった。午後は、新規の手掛かり材料に乏しく、111.50円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。今晩発表される6月米雇用統計を前に、様子見ムードが広まった。ユーロ/ドルは、このところECB当局者がハト派的な発言が相次ぎ、金融緩和政策は当面続くとの観測から1.18ドル台半ばで上値の重い展開になった。
★GPIFの2020年度運用状況を発表
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2日午後3時30分、2020年度の運用状況を発表する。国内外の株高を背景に過去最高の収益率が予想されており、運用成果の目安とする基準指標(ベンチマーク)の収益率を5年ぶりに上回るかどうかが焦点の一つとなる。5年に一度の見直しにより、GPIFの基本ポートフォリオは20年度から国内外の株式と債券に25%ずつ。外国債の割合を従来の15%から高める一方、国内債は35%から引き下げた。2年目を迎えた今回の資産構成割合の課題などを巡り、現在の市場環境や今後の見通しを踏まえた宮園雅敬理事長の記者会見での発言も注目される。
★ドイツとフランスの選挙動向
フランスでは地域圏選挙後の世論調査が発表され、共和党のベルトラン氏の支持率が20%乗せとなった。マクロン大統領、極右のルペン候補に迫ってきた。現職大統領と極右候補の一騎打ちとみられた来年の大統領選は、ベルトラン氏を加えた三つ巴の戦いになりそうである。ドイツでは緑の党の支持低下が続くなか、首相候補のベアボック共同党首の盗用疑惑が新たに浮上し、政権奪取は困難になった。総選挙後の連立の組み合わせは、現与党のキリスト教民主同盟(CDU)と緑の党の黒緑連立が最有力だが、CDUとリベラル政党・自由民主党(FDP)の黒黄連立の可能性も出てきた。
★トルコの準備率改定はインフレ率の低下が目的
トルコ中銀は1日、物価安定目標の一環として外貨負債の準備率を200ベーシスポイント(bp)引き上げることを決定(1年以内の外貨預金に対し19%から21%、1年以上の預金は13%から15%に引き上げ)した。これにより外貨準備高が27億ドル増加することが明らかにされた。また、昨日発表された6月トルコ製造業PMIは51.3と2カ月ぶりに景況感判断の境目となる50を上回った。今回の準備率改定は、金融政策の実効性を高めて16-17%台で推移するインフレ率の低下を促すことが目的とされた。しかしながらトルコでは、電気料金が15%前後、ガス料金も10-20%引き上げられると報じられており、今後は更なる物価上昇さえも懸念される。足もとのインフレ高止まりを実感する一般市民が、外貨建てからリラ建てに預金の移行を進めるとはまだ考え難い。
★南アのポジティブニュース
南アの国内のニュースでは、世界銀行が南アで開発が予定されている米・独・仏によるウイルス開発機関に対して、5億回分の新型コロナウイルス・ワクチン生産(ジョンソン&ジョンソン)の資金を提供する契約を結んだ。南アではワクチン普及が滞っていることで、まだ先にはなるがポジティブなニュースである。
★米6月ISM製造業景況指数は予想以上に低下
米供給管理協会(ISM)が発表した6月ISM製造業景況指数は60.6と、5月61.2から予想以上に低下した。活動の拡大と縮小の境目となる50は13カ月連続で上回った。主要項目の新規受注は66.0と、67.0から低下も13カ月連続で活動が拡大した。生産は60.8と、5月の58.5から上昇した。仕入れ価格は1979年来で最高を記録した。一方で、雇用は49.9と昨年11月以降初めて活動の拡大と縮小の境目50を割り込んだ。労働者不足や部品不足で工場が閉鎖。また、適切な労働者の確保が困難になっていることが指摘されている。ただ、楽観的なセンチメントは引き続き強いとされている。パンデミックによる供給混乱が落ちつけば、さらなる強い結果が期待できる。
★米国市場では6月雇用統計が公表
予想は、非農業部門雇用者数は前月比+70.0万人、失業率は5.7%である。非農業部門雇用者数の5月実績は前月比+55.9万人だった。経済活動の拡大に伴い、飲食店、ヘルスケア、教育分野での雇用増が目立った。失業率は0.3ポイント低下して5.8%だった。6月については、供給制約や労働力不足の状態がすみやかに解消される可能性は低いとみられているが、経済活動のさらなる拡大によって非農業部門雇用者数の増加幅は5月実績を上回る見込みである。失業率については若干低下する可能性がある。
★欧米市場イベント
○15:45 5月仏財政収支
○16:00 デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:00 6月ノルウェー失業率(予想:3.0%)
○18:00 5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.2%/前年比9.5%)
○21:30 5月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲0.3%)
○21:30 5月カナダ貿易収支(予想:3.7億カナダドルの黒字)
○21:30 5月米貿易収支(予想:714億ドルの赤字)
○21:30 6月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化70.0万人/失業率5.7%/平均時給、前月比0.4%/前年比3.7%)
○21:30 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:00 5月米製造業新規受注(予想:前月比1.6%)
○3日01:00 1-3月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比▲0.7%)
○石油輸出国機構(OPEC)プラス閣僚級会合
○米債券市場は短縮取引
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